冷たい貴方とそんな夢を見た

かれは

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辺り一帯は静かになった。

私は無事に守り切ったのだ。

大事な人を。

私の足元には凍りついた愚かな人間たちがいる。

それを見下ろしほっと胸を撫で下ろす。

そして急いで彼の元に向かう。

私は彼の元にしゃがみ込んだ。

そして声をかけた。

私、頑張ったよね。

褒めてよ。

ねぇ。

彼の表情は変わらない。

返事も無い。

そんなことはわかっているはずなのそれでも応えてほしかった。

あなたの声が聞きたい。

そう思ってしまった。

動かない貴方を、声を発さない貴方をこんなにも愛していたのに。

なんでこんな気持ちになるんだろう。

なんでこんなにも寂しく感じてしまうのだろう。

私は冷い女。

貴方は私と一緒。

だよね。

いや、違う。

貴方は私とは違う。

ごめんね。

貴方を傷つけたのは私の方だった。

貴方の声も、笑う顔ももう一度でいいから見たかった。

許して。

そしてもし生まれ変わってまた出会えたなら。

その時は貴方の声を出して笑っている姿を見たい。 

はしゃいでる貴方を見たい。

一緒に笑いたい。

それだけが私の願い。





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