9 / 10
9
しおりを挟む
「寝込み襲うと、か、そんな事ない。です」
「何で片言なの?」
「だって!鳴海くんが……って!」
「どうしたの?」
「鳴海くん!め、眼鏡!」
「あ、やべっ!」
そう言って鳴海くんは急いで眼鏡をかけた。
けれどもそれも後の祭り。
「鳴海くんって……真夏くんに似てるんだね」
「似てる?」
「あ、ごめん。知ってる?真夏くんの事。今はやりのアーティスト!あっ!年齢的にも私たちとおなじだよ!」
「ってか、そこまで条件そろっていて「似てる?」ってレベルなの?瀬野川にとっては」
「え?」
「おれさー、似てるってのは始めて言われた。眼鏡外して自分の本性見せて」
「どういう事?」
「ああ、瀬野川がそう思ってんなら別にそれでいいよ」
鳴海くんはそう言って少しだけ不満そうな顔をすると、にこりとわらった。
笑うとまるで真夏の太陽みたいでさらに似ているって思った。
「瀬野川ってずるいよね。うん、本当にずるい」
「何がずるいの?」
「だって、おれ瀬野川見たときにすぐわかったよ」
「わかった?」
頭に疑問符が沢山浮かんだ。
どういう事なんだろう。
さっきから鳴海くんは訳のわからない事ばかり言うんだから。
「まあ、わからないままでもいいけれどさ」
「……うん?」
「ちょっとさみしいかな?」
今度は少しだけ寂しそうに笑う。その顔が誰かと重なった気がした。
「あっ!鳴海くんって!」
「うん」
「真夏くんと双子とか?!」
「双子ぉーー?!」
鳴海くんは吹き出すと、楽しそうに私の顔を見て笑う。
「俺が双子って……あ」
「あ」
一瞬時が止まって、鳴海くんの言った意味を半数する。
「「俺が」双子って言ったよね?鳴海くん」
「……言ったね……」
「って事はだよ?鳴海くんって。真夏くん?」
「……やっとわかったの?」
「いっ?!」
「いっ?!ってどういう事だよ?」
私の反応を見て鳴海くんが顔をしかめた。
「いや、びっくりしすぎて変な声が出た」
「あははっ!変わってねぇなぁ、さくら」
「だって、名前、違うし」
「ああ、あの時から芸名勝手に付けて名乗ってたから」
「そんなのわかんないよ!あのときの男の子が鳴海くんで、実は真夏くんだったなんて!」
「真実は小説より奇なりだよなー」
「本当にそれ!」
私は鳴海くんを見て笑ってしまった。
目の前に真夏くんがいたという緊張感よりも、「ああ。だからなんだ」って事がふっと腑に落ちて安心してしまったからかもしれない。
鳴海くんが転校して来たときからなんだかもやもやするものがあった。
始めて会った人なんだと思いながらも、妙に親近感があって、たまにだけれど始めてあった人なのかな?なんて事も実は思っていた。
けれども「鳴海健人」って名前に思い当たりはなくて、ここの所数日、うやむやになった気持ちの中で何だかよくわからない気持ちを抱えていたのだ。
それが真夏くんだったとわかれば全て解決する。
「でも、どうして?」
「はいっ!もうタイムアップ!しかもさくらが俺を追いかけて来た上に寝込みまで襲おうとするなんて。真夏くんが聞いたら泣くよな、きっと」
「もうっ!だから寝込み襲ってないし!ただまつげが長くてきれいだなーとは思ったけれえど」
「見とれていたって事?」
「ちがうっ!も!もう!真夏くんって!こんな性格だった?!」
うぐぐっと、言葉に詰まってそういえば、真夏くんが私の頬を両手で押さえた。
「はい。学校でその名前は禁句。俺の名前、言ってみ?」
「なるみけんとくんです」
「はい、良くできました。それでお願いします」
「はい。それにしても真夏くんって「鳴海健人」って名前だったんだ」
「そうだよ。まあ、どこにもその情報出していないからわかんないよね」
「うん」
「でも、さくらには色々と気付いて欲しい所ではあったけれど」
「……ごめん」
「まあ、わかんないよね。あれから何年経ってんだ?って感じだし」
「5年くらいかな?」
「うん。そうだね。でも、俺が真夏って事はかくしておいてね」
「もちろん!あ、じゃあ私、先に帰るから」
「うん」
そう言って笑うと、鳴海くんは眼鏡をかける。
いつもの雰囲気。けれども本当の顔を知っている私は今までと違って鳴海くんをとても近くに感じた。
「何で片言なの?」
「だって!鳴海くんが……って!」
「どうしたの?」
「鳴海くん!め、眼鏡!」
「あ、やべっ!」
そう言って鳴海くんは急いで眼鏡をかけた。
けれどもそれも後の祭り。
「鳴海くんって……真夏くんに似てるんだね」
「似てる?」
「あ、ごめん。知ってる?真夏くんの事。今はやりのアーティスト!あっ!年齢的にも私たちとおなじだよ!」
「ってか、そこまで条件そろっていて「似てる?」ってレベルなの?瀬野川にとっては」
「え?」
「おれさー、似てるってのは始めて言われた。眼鏡外して自分の本性見せて」
「どういう事?」
「ああ、瀬野川がそう思ってんなら別にそれでいいよ」
鳴海くんはそう言って少しだけ不満そうな顔をすると、にこりとわらった。
笑うとまるで真夏の太陽みたいでさらに似ているって思った。
「瀬野川ってずるいよね。うん、本当にずるい」
「何がずるいの?」
「だって、おれ瀬野川見たときにすぐわかったよ」
「わかった?」
頭に疑問符が沢山浮かんだ。
どういう事なんだろう。
さっきから鳴海くんは訳のわからない事ばかり言うんだから。
「まあ、わからないままでもいいけれどさ」
「……うん?」
「ちょっとさみしいかな?」
今度は少しだけ寂しそうに笑う。その顔が誰かと重なった気がした。
「あっ!鳴海くんって!」
「うん」
「真夏くんと双子とか?!」
「双子ぉーー?!」
鳴海くんは吹き出すと、楽しそうに私の顔を見て笑う。
「俺が双子って……あ」
「あ」
一瞬時が止まって、鳴海くんの言った意味を半数する。
「「俺が」双子って言ったよね?鳴海くん」
「……言ったね……」
「って事はだよ?鳴海くんって。真夏くん?」
「……やっとわかったの?」
「いっ?!」
「いっ?!ってどういう事だよ?」
私の反応を見て鳴海くんが顔をしかめた。
「いや、びっくりしすぎて変な声が出た」
「あははっ!変わってねぇなぁ、さくら」
「だって、名前、違うし」
「ああ、あの時から芸名勝手に付けて名乗ってたから」
「そんなのわかんないよ!あのときの男の子が鳴海くんで、実は真夏くんだったなんて!」
「真実は小説より奇なりだよなー」
「本当にそれ!」
私は鳴海くんを見て笑ってしまった。
目の前に真夏くんがいたという緊張感よりも、「ああ。だからなんだ」って事がふっと腑に落ちて安心してしまったからかもしれない。
鳴海くんが転校して来たときからなんだかもやもやするものがあった。
始めて会った人なんだと思いながらも、妙に親近感があって、たまにだけれど始めてあった人なのかな?なんて事も実は思っていた。
けれども「鳴海健人」って名前に思い当たりはなくて、ここの所数日、うやむやになった気持ちの中で何だかよくわからない気持ちを抱えていたのだ。
それが真夏くんだったとわかれば全て解決する。
「でも、どうして?」
「はいっ!もうタイムアップ!しかもさくらが俺を追いかけて来た上に寝込みまで襲おうとするなんて。真夏くんが聞いたら泣くよな、きっと」
「もうっ!だから寝込み襲ってないし!ただまつげが長くてきれいだなーとは思ったけれえど」
「見とれていたって事?」
「ちがうっ!も!もう!真夏くんって!こんな性格だった?!」
うぐぐっと、言葉に詰まってそういえば、真夏くんが私の頬を両手で押さえた。
「はい。学校でその名前は禁句。俺の名前、言ってみ?」
「なるみけんとくんです」
「はい、良くできました。それでお願いします」
「はい。それにしても真夏くんって「鳴海健人」って名前だったんだ」
「そうだよ。まあ、どこにもその情報出していないからわかんないよね」
「うん」
「でも、さくらには色々と気付いて欲しい所ではあったけれど」
「……ごめん」
「まあ、わかんないよね。あれから何年経ってんだ?って感じだし」
「5年くらいかな?」
「うん。そうだね。でも、俺が真夏って事はかくしておいてね」
「もちろん!あ、じゃあ私、先に帰るから」
「うん」
そう言って笑うと、鳴海くんは眼鏡をかける。
いつもの雰囲気。けれども本当の顔を知っている私は今までと違って鳴海くんをとても近くに感じた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
期待していた学生生活とは大違いでした。
kp.HT 61
青春
中学二年生の天野柚奈は2組の皆と思い出に残る少しづつ成長していきながら
青春を味わう短編型2年ストーリー。
甘酸っぱいことが多くてドキドキとキュンキュンが重なり合う話を青春時代を振り替えながら
読んでいってください。
夏の抑揚
木緒竜胆
青春
1学期最後のホームルームが終わると、夕陽旅路は担任の蓮樹先生から不登校のクラスメイト、朝日コモリへの届け物を頼まれる。
夕陽は朝日の自宅に訪問するが、そこで出会ったのは夕陽が知っている朝日ではなく、幻想的な雰囲気を纏う少女だった。聞くと、少女は朝日コモリ当人であるが、ストレスによって姿が変わってしまったらしい。
そんな朝日と夕陽は波長が合うのか、夏休みを二人で過ごすうちに仲を深めていくが。
星鬼夜空~僕の夏休み~
konntaminn
青春
ぼくの夏休みに起きた、不思議な物語。必然の物語
ただ抗うことができる運命でもあった。
だから僕は頑張る。
理想の物語のために。
そんな物語
出てくる登場人物の性格が変わることがあります。初心者なので、ご勘弁を
冬の水葬
束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。
凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。
高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。
美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた――
けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。
ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。
サバイバル・ゲーム
オダ暁
青春
<内容紹介>
狭い闇に一昼夜閉じ込められると人はどうなるか?この話に答えがあるかも。
<人物紹介>
奈美子
三十路の会社員。独身、三峰俊郎をずっと片思い。
三峰俊郎
美奈子と同じ会社のサラリーマン。受け付け嬢のエミと交際中。
エミ
上の彼らと同じ会社の受け付け嬢。三峰俊郎と交際中。
掃除のおばさん
人生に不満だらけの中年女性。ぐうたらな亭主がいる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる