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第28話 ホワイト企業を目指す

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 カルラさんとの授業の合間に工場での従業員とのコミュニケーションも忘れずに時々様子を見に来ている。
 最近はベラさんに任せっきりだったから、気になっていた。

「こんにちは~!」

 工場に入り大声で元気よく挨拶をした。

「ミリアーナ様、こんにちは。こちらは特に問題もなく順調です。いつも気に掛けて頂き、ありがとうございます」

 ベラさんは私の姿を認めると駆け寄って来た。

「何か困ったことはない?人手が足りないとか、材料が足りないとか。何でも言ってね」

 周りの従業員は会釈をすると、次の場所へ移動して忙しなく動き回っていた。
 もう少し人員を補充したいところだ。

「はい、ありがとうございます。何かありましたら連絡いたします」

 ベラさんも忙しそうなので、後は任せて話しを切り上げた。

 工場裏には小さなハーブ畑があり、従業員のちょっとした憩いの場となっていた。
 ハーブ畑では、大きな身体を屈めて草むしりをしている男性の姿が目に入った。
 腕は日に焼けていて肩幅はガッシリとしている。

「ノアさ~ん!お疲れ様で~す!」

 ノアと呼ばれた男性が、呼ばれた方向に顔を向ける。

「ミリアーナお嬢様、いらしてたんですか?お出迎えもせず、すみません」

 首まで日に焼けた顔は薄っすらと汗をかいていた。

「草むしりをしていたの?無理しないでね」

 足元に積まれた雑草は小さな山になっていた。

「お気遣いありがとうございます。体力だけが自慢ですので、心配ありませんよ」

 ニカッと白い歯を見せて笑うと、手の甲で汗を拭った。
 本当にノアさん達は真面目だ。

「それでも今日は日差しが強いので、水分補給はちゃんと摂りましょうね」

 ノアさんをベンチに座らせて、ちょっと待ってて、と告げると疲労回復のハーブティーを用意するため、工場のキッチンへ向かった。
 そこでベラさんにも声をかけて工場裏へと戻った。

 木製のシンプルなテーブルにカップを置き、ハーブティーを淹れた。

「はい、疲労回復のハーブティーです。小まめに水分補給してくださいね」

 身体が資本だからね。
 倒れたら元も子もない。

「…ふぅ、美味しい。生き返ります」

 そう言うと一気に飲み干していく。
 汗をかいていたから、喉が渇いていたのだろう。
 私は空いたカップにハーブティーのお替りを淹れた。

「ベラさんもちゃんと休憩を取ってくださいね。他の皆さんにも休憩と水分補給を摂るように伝えておいてください」

「はい、そのように伝えておきます。ミリアーナ様に心配かけたくはありませんから」

 うん、お願いしたからね。
 家はブラック企業じゃないから、鬼のようにガンガン働け、何てこと絶対言わないし、ホワイト企業を目指しているからね。
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