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第8話 スキル?
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アルベルトさん達が屋敷に来てから数ヶ月経ち、私達は忙しさを増していた。
話し合いの結果、商会近くに空き家があるので、その場所を工場にして二階、三階は従業員の居住場所とした。
破格の家賃に訝しんだが、先行投資だと笑顔で言われたそうだ。
父曰く、アルベルトが言うのなら間違いないだろうと、遠慮なく借りたとのこと。
最初は少ない従業員で稼働していたが、需要に供給が追いつかず、アルベルトさんに事情を説明したら何処からか働き手を探して連れて来てくれた。
そのおかげで、今では交代制の作業で従業員に無理をさせる事なく週一で休んでもらっている。
人を増やしたことで売り上げが伸びているので、いずれ借金も返済出来るだろう。
ということで、私は新たな商品開発に勤しんでいた。
あれこれ無い知恵を絞りひたすら唸る。
傍から見たら気味が悪く近寄りがたかっただろう。
この世界はあまり文明が発達しておらず、必要な機材が圧倒的に足りないのだ。
ある日、裏庭で野草を片手にどうやったら精油出来るか必死に考えていた。
すると頭の中にポーンという音がしたと思ったら文字が現れた。
『スキル野草マスター、解放します。精油しますか?』
その文字を読んで、何の疑問も持たずに速攻でイエスと答えていた。
凄いね!知恵熱起こしそうなほどうんうん悩んでいたのが、嘘みたいにあっという間に解決しちゃった。
その後は、調子に乗って色んな野草で精油していたら、意識がなくなりいつの間にか倒れていたみたい。
どうやら魔力切れで倒れたようだけど、下手したら死んでいた、と言われて青ざめたことは言うまでもない。
スキルって魔力使うの?て聞いたら、十歳以下の身体が出来上がっていない状態で使うのはとても危険な事だと、鬼のような形相で怒られた。
魔法は十歳を迎えるまで封印ということで、せっかく精油したんだし、これらを使って香水を作ることにした。
分量の調整と野草選びに時間が掛ったが、バランス良く出来たと思う。
上機嫌な私は、母の元へ急いで向かった。
「お母さま~。私から贈り物です!」
逸る気持ちが抑えられず、ノックするのを忘れてしまった。
「まあ、ミリーから?何かしら、嬉しいわ」
母は全く気にしていない様子で、受け取るといそいそと箱から小瓶を取り出した。
「香水?でも、こんなに良い匂いの物は初めてだわ」
瓶の蓋を開け手で仰いで匂いを嗅ぐ。
「手首と耳の後ろにほんの少し付けてください」
「ええ、分かったわ」
母は言われるままに付けた。
「まあ~、上品な匂いね。気に入ったわ。ミリー、ありがとう」
「へへへ」
褒められて上機嫌になる私。
後で、父にも爽やかな匂いの香水を渡したら、いい子いい子されてご機嫌になる私。
でも、魔法はまだダメだよ、と念を押されたので、ちょっと反省。
話し合いの結果、商会近くに空き家があるので、その場所を工場にして二階、三階は従業員の居住場所とした。
破格の家賃に訝しんだが、先行投資だと笑顔で言われたそうだ。
父曰く、アルベルトが言うのなら間違いないだろうと、遠慮なく借りたとのこと。
最初は少ない従業員で稼働していたが、需要に供給が追いつかず、アルベルトさんに事情を説明したら何処からか働き手を探して連れて来てくれた。
そのおかげで、今では交代制の作業で従業員に無理をさせる事なく週一で休んでもらっている。
人を増やしたことで売り上げが伸びているので、いずれ借金も返済出来るだろう。
ということで、私は新たな商品開発に勤しんでいた。
あれこれ無い知恵を絞りひたすら唸る。
傍から見たら気味が悪く近寄りがたかっただろう。
この世界はあまり文明が発達しておらず、必要な機材が圧倒的に足りないのだ。
ある日、裏庭で野草を片手にどうやったら精油出来るか必死に考えていた。
すると頭の中にポーンという音がしたと思ったら文字が現れた。
『スキル野草マスター、解放します。精油しますか?』
その文字を読んで、何の疑問も持たずに速攻でイエスと答えていた。
凄いね!知恵熱起こしそうなほどうんうん悩んでいたのが、嘘みたいにあっという間に解決しちゃった。
その後は、調子に乗って色んな野草で精油していたら、意識がなくなりいつの間にか倒れていたみたい。
どうやら魔力切れで倒れたようだけど、下手したら死んでいた、と言われて青ざめたことは言うまでもない。
スキルって魔力使うの?て聞いたら、十歳以下の身体が出来上がっていない状態で使うのはとても危険な事だと、鬼のような形相で怒られた。
魔法は十歳を迎えるまで封印ということで、せっかく精油したんだし、これらを使って香水を作ることにした。
分量の調整と野草選びに時間が掛ったが、バランス良く出来たと思う。
上機嫌な私は、母の元へ急いで向かった。
「お母さま~。私から贈り物です!」
逸る気持ちが抑えられず、ノックするのを忘れてしまった。
「まあ、ミリーから?何かしら、嬉しいわ」
母は全く気にしていない様子で、受け取るといそいそと箱から小瓶を取り出した。
「香水?でも、こんなに良い匂いの物は初めてだわ」
瓶の蓋を開け手で仰いで匂いを嗅ぐ。
「手首と耳の後ろにほんの少し付けてください」
「ええ、分かったわ」
母は言われるままに付けた。
「まあ~、上品な匂いね。気に入ったわ。ミリー、ありがとう」
「へへへ」
褒められて上機嫌になる私。
後で、父にも爽やかな匂いの香水を渡したら、いい子いい子されてご機嫌になる私。
でも、魔法はまだダメだよ、と念を押されたので、ちょっと反省。
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