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83.溺れる

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 部屋には荒い息と、腰を打ち付ける音が響いていた。

「あっ、あっ、あ、あ、あ……!」

「イーサンっ、イーサンっ、はっ、止まらないっ……」

 俺の片足を肩にかけ、貪るように身体をつなげてくるシヴァ。


「シヴァっ、なかっ、すごいっ、あ、あ、あ……!」

 俺の内部を、何度もシヴァが行き交って……。




 ――時間の感覚がまるでない。

 いったいいつから始まって、いつ終わって、また始まって……、その繰り返しが俺の脳内を麻痺させていた。


 俺たちはお互いの身体に、すっかり溺れていた。
 いくら抱き合っても、全然、足りない。

 昇りつめては、また欲しくなる。


「イーサンっ、くっ、出すぞっ……」

「あっ、シヴァっ、いっぱい、奥に出してっ」

 肉と肉がぶつかり合う音。
 お互いもう、溶け合うくらい、抱き合って……。



「くっ、歯止めが効かないっ……」

 シヴァは歯を食いしばると、ますますその動きを速めた。


「シヴァっ、ああっ、気持ちいい……、気持ちいいよっ……!」


 シヴァに揺さぶられながら、俺はシヴァに手を伸ばす。

 その手をシヴァは、しっかりと握り返した。


「ああ、俺も……、すごく気持ちいいよ……、イーサンっ、愛してる!!」

「あっ、俺もっ、シヴァ、愛してる!!」


「しっかり、受け止めてくれ」

 シヴァが俺の足首をつかんで結合をさらに深める。


「んっ、ああああああっ!」

 体の最奥で、熱いしぶきを感じたとき、俺自身も白濁を散らしていた。






 ――いつの間にか眠っていたのだろう。


 気づくと窓の外には、闇が一面に広がっていた。

 静かな夜……。


 俺はベッドのなかで、シヴァのたくましい胸の腕に頭を持たせかけていた。


「イーサン、起きたのか?」

 シヴァは俺の髪をゆっくりとすいてくれた。

「あ、ちょっと寝てた、俺?」


「イーサン、すごく……、良かった。素晴らしかった……」

 照れたような表情のシヴァに、背中をそっと撫でられる。


「俺も……」

 初めてなのに、びっくりするくらい、感じてしまった。


「君に初めて会ったときに、抱いてしまわなくてよかった」

 シヴァは俺の額にキスを落とす。

「なんで……?」

「君のこんな姿を目にしていたら、俺は途中で確実に狂ってしまっていただろう。
よかった。こうして君を抱くのが、お互い愛し合っていることがわかってからで……」

「うん……?」

 俺はシヴァの背中にぎゅっとしがみついた。


「……しかし、イーサン、君にはもう少し自覚を持ってもらわないといけないようだな。
君はもうすぐ、誰の伴侶になるのか……」

 シヴァの瞳が、不可思議な色を宿す。


「え? だって、俺、別に……」

「そうだな。まずは身体にしっかりおぼえこませることが先決だろう」

 そう言うとシヴァは、まだとろけた状態の俺の後ろに手を伸ばしてきて……。


「えっ、ちょっと待って! だって、さっきまで、あんなに、いっぱい! それに、もう、俺……っ」

「大丈夫、君は寝ていたらいい。俺が全部するから」

 俺の顔に、黒い影がかかる。


「えっ、ちょっと、待って、そんなっ、ちょっとくらい休んで……、あっ、シヴァっ、あ、ああああっ!」






 結局三日三晩にわたり、ほとんどをこの水精宮のベッドルームで過ごした俺たち。


 七色の美しい羽根を持つ鳥を見るのは、次の機会にお預けとなってしまったのだった……。


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