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54.イーサンのお友達
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「目を離して悪かった、イーサン。アミュレットの件で、すこし確認しておかなければならないことがあったんだ」
俺の肩をしっかり抱きながら、シヴァは言った。
「いえ、俺のことはいいので、もちろんアミュレットの件を優先させてください!」
「……」
俺の言葉にシヴァは少し不満そうな顔をした。
メインホールに招待客たちが続々と到着するなか、会場の入り口あたりで黄色い悲鳴が上がった。
「アリャン・シャーよっ!!」
「どうしてあの舞台俳優が、ここに?」
「見てくださいっ、隣にいるのは白魔導士の……」
「まあ残念! 私あの方のファンだったのに!」
人だかりに目をやると、やはりそこには背の高いアリャン、そしてアリャンと腕を組んで入場してくるラムの姿があった。
ラムは深いグリーンのベロアの生地の上着に同色のタイを凝った形に結んでいる。肩にはケープがかかっており、ラムの可愛らしさを引き立てていた。
隣にいるアリャンは、舞台俳優らしい華やかないでたちだった。ラムとの衣装と合わせているのか、上質の黒いベルベッドのロングジャケットには深緑色の刺繍が施されている。
襟元と袖口には銀のチェーンで飾られ、胸元の白いバラはラムとおそろいだ。
周りの人たちより頭一つ背の高いアリャンが、先に俺たちを見つけたようだ。
なぜか浮かない表情のラムにアリャンが合図すると、ラムは一瞬驚いた顔をしてこちらを見て、次の瞬間憤怒の表情で俺たちに近づいてきた。
「ちょっとっ! なんで、イーサンがここにいるのっ!? しかもなんでシヴァと一緒に!!」
「ラム、久しぶり! あの、話せば長くなるんだけど……」
「初めまして。イーサンのパートナーのシヴァ・ミシュラです」
俺の腰をぐっと引き寄せ、ラムに平然と挨拶するシヴァ。
「はあっ!? パートナー、だって!?
イーサンっ、いったいどういうことっ!」
問いただそうと、俺の腕を取ろうとするラムを、シヴァが制した。
「イーサンのお友達、ですね。いつもイーサンと仲良くしていただいて、ありがとうございます。
隣にいらっしゃるのは、あなたのパートナーですか?
とても、お似合いですね」
張り付いたような笑み。まるで上滑りのシヴァの誉め言葉に、ラムの顔をますます赤くなった。
「……くっ、この……、許さないぞっ、僕だって、好き好んで……」
「ラム、やめろ。落ち着け!」
隣のアリャンがラムの肩を抱く。
「だって、アリャン! 知ってるだろう、イーサンはっ!」
「いいから、ラム! 今日の目的を、忘れるなよ」
低く響く良い声でアリャンが言うと、ラムはやっと落ち着きを取り戻した。
俺の肩をしっかり抱きながら、シヴァは言った。
「いえ、俺のことはいいので、もちろんアミュレットの件を優先させてください!」
「……」
俺の言葉にシヴァは少し不満そうな顔をした。
メインホールに招待客たちが続々と到着するなか、会場の入り口あたりで黄色い悲鳴が上がった。
「アリャン・シャーよっ!!」
「どうしてあの舞台俳優が、ここに?」
「見てくださいっ、隣にいるのは白魔導士の……」
「まあ残念! 私あの方のファンだったのに!」
人だかりに目をやると、やはりそこには背の高いアリャン、そしてアリャンと腕を組んで入場してくるラムの姿があった。
ラムは深いグリーンのベロアの生地の上着に同色のタイを凝った形に結んでいる。肩にはケープがかかっており、ラムの可愛らしさを引き立てていた。
隣にいるアリャンは、舞台俳優らしい華やかないでたちだった。ラムとの衣装と合わせているのか、上質の黒いベルベッドのロングジャケットには深緑色の刺繍が施されている。
襟元と袖口には銀のチェーンで飾られ、胸元の白いバラはラムとおそろいだ。
周りの人たちより頭一つ背の高いアリャンが、先に俺たちを見つけたようだ。
なぜか浮かない表情のラムにアリャンが合図すると、ラムは一瞬驚いた顔をしてこちらを見て、次の瞬間憤怒の表情で俺たちに近づいてきた。
「ちょっとっ! なんで、イーサンがここにいるのっ!? しかもなんでシヴァと一緒に!!」
「ラム、久しぶり! あの、話せば長くなるんだけど……」
「初めまして。イーサンのパートナーのシヴァ・ミシュラです」
俺の腰をぐっと引き寄せ、ラムに平然と挨拶するシヴァ。
「はあっ!? パートナー、だって!?
イーサンっ、いったいどういうことっ!」
問いただそうと、俺の腕を取ろうとするラムを、シヴァが制した。
「イーサンのお友達、ですね。いつもイーサンと仲良くしていただいて、ありがとうございます。
隣にいらっしゃるのは、あなたのパートナーですか?
とても、お似合いですね」
張り付いたような笑み。まるで上滑りのシヴァの誉め言葉に、ラムの顔をますます赤くなった。
「……くっ、この……、許さないぞっ、僕だって、好き好んで……」
「ラム、やめろ。落ち着け!」
隣のアリャンがラムの肩を抱く。
「だって、アリャン! 知ってるだろう、イーサンはっ!」
「いいから、ラム! 今日の目的を、忘れるなよ」
低く響く良い声でアリャンが言うと、ラムはやっと落ち着きを取り戻した。
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