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49.正式な誘い
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それは昨日の夜のことだった。
いつものように二人で食事を終え、片付けをしようとキッチンに立つ俺に、シヴァは背後から声をかけた。
「イーサン」
振り向くと、そこには真剣な表情をしたシヴァが片膝をつき、右手を胸に当てて跪いていた。
「シヴァ?」
張り詰めた空気。
驚きで息を呑む俺。
シヴァは俺の目をまっすぐ見つめて、言った。
「イーサン……、今度の舞踏会で、俺と一緒に来てくれないか? パートナーとして、君の隣に立たせてほしい」
「パっ、パートナーっ!?」
――「イーサン、厨房でいっぱい芋を剥いてくれ」じゃなくて!?
「イーサン、俺と一緒に舞踏会に行ってほしいんだ」
正真正銘の姫君にするみたいに、片膝をついたシヴァの正式な誘いに、俺の頭はクラクラした。
「で、でもっ、俺、男です!」
「今時そういうことは関係ない!」
「そもそも俺、ダンスなんて、できません」
「次の舞踏会は、基本的に同伴者と踊るだけだ。イーサンが嫌なら、踊らなくても見ているだけでもいい。
もちろん、踊りたければ俺がきちんとステップを教える!」
ゆるぎないシヴァの瞳……。
「それに、舞踏会に着ていけるような服も……」
俺の言葉に、シヴァは悠然とした笑みを浮かべた。
「すでに注文してある。そろそろ出来上がる頃だ」
――って、どんだけ準備がいいんだよっ!? いったいいつから準備してたのっ!?
「お願いだ、イーサン。俺の相手は、君しかいない」
潤んだシヴァが俺を見つめてくる。
「……っ!!」
もちろん、こういうシヴァの懇願に俺が弱いのはわかりきっていることで……。
そして俺の心の奥底では、隠し切れない喜びが湧き上がってきて……。
「イーサンっ」
期待に満ちたシヴァの瞳……。
その時、俺はふと思い当たった。
王女の護衛騎士でなくなり、今は公的なパートナーがいないシヴァ。
しかし、王女のアミュレットを守る任務につくためには、舞踏会にその参加者として紛れ込むことは必須!
舞踏会はもちろん、一人ではなくペアで参加しなくてはならず……。
――あ、そうか。だから俺なのか。
すとんと何かが腑に落ちた俺。
今のシヴァに適当な人なんて、他にいないもんな。高貴なご令嬢をパートナーにしたりして、舞踏会で怪盗と出くわす危険な目に遭わせるわけにもいかないし!
その点、俺ならどんなことがあっても、平気そう……。
「わ、わかりました。でも、俺、なにもかもまったくわからないので、シヴァが全部教えてくださいっ!」
その瞬間、シヴァはまるで誓いを交わすかのように、俺の手を取って立ちあがった。
「大丈夫だ、イーサン。俺に、すべて委ねて……」
そのまま俺を抱き込むようにして、やさしくキスしてくるシヴァ。
「シヴァ……」
そしてシヴァの温かい腕の中で、俺は二人で共に舞踏会に向かう未来を想像した……。
――なぜか、嫌な予感しかしない……。
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それは昨日の夜のことだった。
いつものように二人で食事を終え、片付けをしようとキッチンに立つ俺に、シヴァは背後から声をかけた。
「イーサン」
振り向くと、そこには真剣な表情をしたシヴァが片膝をつき、右手を胸に当てて跪いていた。
「シヴァ?」
張り詰めた空気。
驚きで息を呑む俺。
シヴァは俺の目をまっすぐ見つめて、言った。
「イーサン……、今度の舞踏会で、俺と一緒に来てくれないか? パートナーとして、君の隣に立たせてほしい」
「パっ、パートナーっ!?」
――「イーサン、厨房でいっぱい芋を剥いてくれ」じゃなくて!?
「イーサン、俺と一緒に舞踏会に行ってほしいんだ」
正真正銘の姫君にするみたいに、片膝をついたシヴァの正式な誘いに、俺の頭はクラクラした。
「で、でもっ、俺、男です!」
「今時そういうことは関係ない!」
「そもそも俺、ダンスなんて、できません」
「次の舞踏会は、基本的に同伴者と踊るだけだ。イーサンが嫌なら、踊らなくても見ているだけでもいい。
もちろん、踊りたければ俺がきちんとステップを教える!」
ゆるぎないシヴァの瞳……。
「それに、舞踏会に着ていけるような服も……」
俺の言葉に、シヴァは悠然とした笑みを浮かべた。
「すでに注文してある。そろそろ出来上がる頃だ」
――って、どんだけ準備がいいんだよっ!? いったいいつから準備してたのっ!?
「お願いだ、イーサン。俺の相手は、君しかいない」
潤んだシヴァが俺を見つめてくる。
「……っ!!」
もちろん、こういうシヴァの懇願に俺が弱いのはわかりきっていることで……。
そして俺の心の奥底では、隠し切れない喜びが湧き上がってきて……。
「イーサンっ」
期待に満ちたシヴァの瞳……。
その時、俺はふと思い当たった。
王女の護衛騎士でなくなり、今は公的なパートナーがいないシヴァ。
しかし、王女のアミュレットを守る任務につくためには、舞踏会にその参加者として紛れ込むことは必須!
舞踏会はもちろん、一人ではなくペアで参加しなくてはならず……。
――あ、そうか。だから俺なのか。
すとんと何かが腑に落ちた俺。
今のシヴァに適当な人なんて、他にいないもんな。高貴なご令嬢をパートナーにしたりして、舞踏会で怪盗と出くわす危険な目に遭わせるわけにもいかないし!
その点、俺ならどんなことがあっても、平気そう……。
「わ、わかりました。でも、俺、なにもかもまったくわからないので、シヴァが全部教えてくださいっ!」
その瞬間、シヴァはまるで誓いを交わすかのように、俺の手を取って立ちあがった。
「大丈夫だ、イーサン。俺に、すべて委ねて……」
そのまま俺を抱き込むようにして、やさしくキスしてくるシヴァ。
「シヴァ……」
そしてシヴァの温かい腕の中で、俺は二人で共に舞踏会に向かう未来を想像した……。
――なぜか、嫌な予感しかしない……。
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