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43.いつか捨てられる運命
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「へえーっ、それじゃアンタ、シヴァとの関係を切るどころか、結局そのままシヴァをアンタんちに住まわせちゃったの?
それにしても、泣き落としとは、シヴァもとんだ策士だわねー!
もしかしてヒモ男の才能も、あったりして!」
いつものごとく、ランチタイムが終わったころに第三食堂にやってきたキリカ。
今日の季節のメニューは、焔火の肉詰めパプリカがメイン。森の霧茸スープと夜風草のサラダもついている。そしてデザートは 銀霜のリンゴコンポート。
「ヒモなんかじゃないよ! いいっていうのにいつもいろいろ買ってきてくれてるし。食材だけじゃなくて、身の回りのものとか、俺の服とかも……」
「そりゃ、金ならいくらでもあるんでしょうよ! アイツ、もともと名家のボンボンだもんね! でもさ、イーサン、いろいろ買ってもらう代わりに、もちろん夜はいろいろアンタがしてあげるんでしょ?」
肉詰めの緑のパプリカに豪快にかぶりつくキリカ。
「そりゃ、一緒のベッドで寝てるわけだし……」
そうなのだ。ラグやら、枕やら、シーツやら、いろいろ買ってきてくれるわりに、シヴァはあの狭いベッドを買い替えるつもりは一切ないようだった。
おかげでいつも俺たちはぴったりくっついて眠らなければならず、そうなると必然的にそういう流れになってしまうわけで、結局毎晩のように俺たちはエッチなことをたっぷりしてしまっていた!!
俺が嫌がっていると思っているせいか、もちろん、シヴァは最後まですることはないのだけれど……。
「はーっ、それじゃシヴァの思うつぼじゃない! イーサン、アンタを見てるとタラのことを思い出しちゃうわよ!」
キリカは水を飲んで一息つくと、憐みの視線を俺に向けた。
「タラ?」
「第2騎士団だった時に同僚だった子よ。アンタみたいに田舎から出てきた赤毛のいい子でね。純朴でうぶだったところもアンタそっくり。
何事にも一生懸命で、まっすぐですれてなくてね。んで、もちろん、入団してすぐに女たらしで有名な先輩騎士に目をつけられたってわけ」
「純粋な子が、女たらしに……」
「そう! 男に免疫がない年頃の娘が、口とあっちのほうは抜群にうまい男に言い寄られたんだから、もちろんひとたまりもなかったわよ。
タラはあっという間にその男に自ら純潔をささげて、そのあとは、その男の言いなりの、尽くしまくり!
最後は、アンタみたいに、男のほうがタラの部屋に入り浸るようになって、食事から、洗濯から、下の世話から!
あの子、出勤するときの男にブーツまで履かせてやってたっていうんだから、もうあきれてものも言えなかったわよ」
「……で、その人どうなっちゃったの?」
「それがね、本当にひどい話なの!」
キリカは怒りに任せて、透明なジュレのかかったリンゴをフォークでぶっ刺した!
「その男、結局どこぞの貴族のご令嬢と婚約してね、タラのことはポイよ!
そして、裏切られたタラは激高して、その男の結婚式の前日に自分の剣で男を一刺し……!」
「殺しちゃったのっ!?」
「ううん、結局男がうまくかわしてかすり傷。でも騎士団でも大問題になって!
ただ、男の所業の悪さは第2騎士団でも有名だったから、タラには同情の声が集まって、捕まったりはせずに騎士団をやめるだけで済んだの」
「そう、なんだ……」
男の裏切りに、殺意をいだくまでになったタラという女性。
俺も、シヴァに捨てられたらそんな風に豹変するのだろうか?
「で、ムカつくのがその男!
そのまま何事もなかったようにそのご令嬢と結婚してさー。今では子供もいるのよ!
そんでもって、いまでも第二騎士団で懲りずに若い女を物色しているみたいよ!
イーサンも気をつけなさいよね! アンタの決意はわかったけど、結局、最後に傷つくのは立場の弱い人間なんだから!」
憤懣やるかたないといった表情で、キリカは俺を見る。
「わかった……」
「このこと、ラムには黙っとくわね。イーサンも言っちゃだめよ。あの子、最近魔獣討伐以外の任務で忙しいみたいだから、今のところ大丈夫だと思うけど、
もしこのことを知ったら、シヴァに何をするかわかったもんじゃないわ!
だいたいあの子、イーサンのこと好きすぎるのよ!」
ご馳走様、とナプキンで口を拭うと、キリカはあわただしく席を立った。
「うん、いろいろありがと、キリカ……」
いつか、俺もタラみたいに、シヴァにあっさり捨てられちゃうんだろうか……?
それと……、
毎朝、出勤前にシヴァは俺にブーツを履かせてくれるんだが、それはいったいどう解釈したらいいんだ!!??
それにしても、泣き落としとは、シヴァもとんだ策士だわねー!
もしかしてヒモ男の才能も、あったりして!」
いつものごとく、ランチタイムが終わったころに第三食堂にやってきたキリカ。
今日の季節のメニューは、焔火の肉詰めパプリカがメイン。森の霧茸スープと夜風草のサラダもついている。そしてデザートは 銀霜のリンゴコンポート。
「ヒモなんかじゃないよ! いいっていうのにいつもいろいろ買ってきてくれてるし。食材だけじゃなくて、身の回りのものとか、俺の服とかも……」
「そりゃ、金ならいくらでもあるんでしょうよ! アイツ、もともと名家のボンボンだもんね! でもさ、イーサン、いろいろ買ってもらう代わりに、もちろん夜はいろいろアンタがしてあげるんでしょ?」
肉詰めの緑のパプリカに豪快にかぶりつくキリカ。
「そりゃ、一緒のベッドで寝てるわけだし……」
そうなのだ。ラグやら、枕やら、シーツやら、いろいろ買ってきてくれるわりに、シヴァはあの狭いベッドを買い替えるつもりは一切ないようだった。
おかげでいつも俺たちはぴったりくっついて眠らなければならず、そうなると必然的にそういう流れになってしまうわけで、結局毎晩のように俺たちはエッチなことをたっぷりしてしまっていた!!
俺が嫌がっていると思っているせいか、もちろん、シヴァは最後まですることはないのだけれど……。
「はーっ、それじゃシヴァの思うつぼじゃない! イーサン、アンタを見てるとタラのことを思い出しちゃうわよ!」
キリカは水を飲んで一息つくと、憐みの視線を俺に向けた。
「タラ?」
「第2騎士団だった時に同僚だった子よ。アンタみたいに田舎から出てきた赤毛のいい子でね。純朴でうぶだったところもアンタそっくり。
何事にも一生懸命で、まっすぐですれてなくてね。んで、もちろん、入団してすぐに女たらしで有名な先輩騎士に目をつけられたってわけ」
「純粋な子が、女たらしに……」
「そう! 男に免疫がない年頃の娘が、口とあっちのほうは抜群にうまい男に言い寄られたんだから、もちろんひとたまりもなかったわよ。
タラはあっという間にその男に自ら純潔をささげて、そのあとは、その男の言いなりの、尽くしまくり!
最後は、アンタみたいに、男のほうがタラの部屋に入り浸るようになって、食事から、洗濯から、下の世話から!
あの子、出勤するときの男にブーツまで履かせてやってたっていうんだから、もうあきれてものも言えなかったわよ」
「……で、その人どうなっちゃったの?」
「それがね、本当にひどい話なの!」
キリカは怒りに任せて、透明なジュレのかかったリンゴをフォークでぶっ刺した!
「その男、結局どこぞの貴族のご令嬢と婚約してね、タラのことはポイよ!
そして、裏切られたタラは激高して、その男の結婚式の前日に自分の剣で男を一刺し……!」
「殺しちゃったのっ!?」
「ううん、結局男がうまくかわしてかすり傷。でも騎士団でも大問題になって!
ただ、男の所業の悪さは第2騎士団でも有名だったから、タラには同情の声が集まって、捕まったりはせずに騎士団をやめるだけで済んだの」
「そう、なんだ……」
男の裏切りに、殺意をいだくまでになったタラという女性。
俺も、シヴァに捨てられたらそんな風に豹変するのだろうか?
「で、ムカつくのがその男!
そのまま何事もなかったようにそのご令嬢と結婚してさー。今では子供もいるのよ!
そんでもって、いまでも第二騎士団で懲りずに若い女を物色しているみたいよ!
イーサンも気をつけなさいよね! アンタの決意はわかったけど、結局、最後に傷つくのは立場の弱い人間なんだから!」
憤懣やるかたないといった表情で、キリカは俺を見る。
「わかった……」
「このこと、ラムには黙っとくわね。イーサンも言っちゃだめよ。あの子、最近魔獣討伐以外の任務で忙しいみたいだから、今のところ大丈夫だと思うけど、
もしこのことを知ったら、シヴァに何をするかわかったもんじゃないわ!
だいたいあの子、イーサンのこと好きすぎるのよ!」
ご馳走様、とナプキンで口を拭うと、キリカはあわただしく席を立った。
「うん、いろいろありがと、キリカ……」
いつか、俺もタラみたいに、シヴァにあっさり捨てられちゃうんだろうか……?
それと……、
毎朝、出勤前にシヴァは俺にブーツを履かせてくれるんだが、それはいったいどう解釈したらいいんだ!!??
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