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22.舞台俳優 アリャン・シャー
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「第三食堂では、いつもこんなものをだしているのか?」
ティーカップを手に、シヴァが俺に聞く。
「ステーキは明日の定食ですけど、ブレンドティーは、食堂のメニューにはなかったと思います」
なにしろ、これは俺が自分で楽しむために独自に調合したお茶なのだ!
「そうか、ならこれは特別なのだな……」
なにやら満足気なシヴァの顔。
もしかして甘いのが、好きなのかな?
それなら、もっとフルーツとかデザートとか、用意しておけばよかった!
「明日の夜の予定は?」
ふいに聞かれ、俺はキョトンとした。
「え?」
「明日の夜は? また予定が入っているのか?」
「明日の夜……、あ、そうだ! 俺、王都の舞台を見に行くんです! 友達と一緒に。っていうのも、その主役の舞台俳優が、俺の友達のこい……、いえ、知り合いなので!!」
そう、何と俺の友達のラムの恋人は、今を時めくイケメン舞台俳優なのだ!!
もちろん二人の関係は公にはできないので、俺はラムと恋人のアリャンとの逢瀬のカムフラージュも兼ねて、よくラムと一緒にアリャンの舞台を観に行くのだった。
「友達……? 舞台俳優……、知り合い?」
シヴァが眉根を寄せる。
「はい、アリャン・シャーって知ってます? 今話題の舞台の主役の!
褐色の肌に、ターゴイズブルーの瞳の、あのすごく男前の!」
「すごく、男前……」
低い声で、シヴァが繰り返す。
「ええ、すごく演技も上手くて! 王都でもすごい人気なんですよ。俺も、もちろんファンで……」
目を輝かせて説明する俺とは対照的に、シヴァの表情はなぜか曇りっぱなし!
「ファン、だと……? ほう、それはそれは……、つまりはお前の秘密の相手のうちの一人というのが、その男なのだな。
それは確かに、俺には言えないわけだな!」
「は!?」
ちょっと待って!? 何をどう考えたらそういう解釈になるワケ……!?
だって、アリャンは友達のラムの恋人で……!
シヴァの思考回路が、俺には意味不明!!
「よし、よくわかった。どうやらお前にはマナーを教えてやらないといけないようだ。
男の前で、他の男の話を嬉しそうにすると、いったいどんな目に遭わされるのか……」
「わ、あっ……!」
気づくと視界が変わっていて、シヴァの息遣いが耳元で聞こえた。
そう、つまり、俺は……
シヴァにお姫様抱っこされていた!!
「今日もじっくり可愛がってやる」
シヴァは俺を冷めた目で見下ろすと、そのまま俺をベッドに運んだ。
――もしかして、これが正しい展開だったりする!?
ティーカップを手に、シヴァが俺に聞く。
「ステーキは明日の定食ですけど、ブレンドティーは、食堂のメニューにはなかったと思います」
なにしろ、これは俺が自分で楽しむために独自に調合したお茶なのだ!
「そうか、ならこれは特別なのだな……」
なにやら満足気なシヴァの顔。
もしかして甘いのが、好きなのかな?
それなら、もっとフルーツとかデザートとか、用意しておけばよかった!
「明日の夜の予定は?」
ふいに聞かれ、俺はキョトンとした。
「え?」
「明日の夜は? また予定が入っているのか?」
「明日の夜……、あ、そうだ! 俺、王都の舞台を見に行くんです! 友達と一緒に。っていうのも、その主役の舞台俳優が、俺の友達のこい……、いえ、知り合いなので!!」
そう、何と俺の友達のラムの恋人は、今を時めくイケメン舞台俳優なのだ!!
もちろん二人の関係は公にはできないので、俺はラムと恋人のアリャンとの逢瀬のカムフラージュも兼ねて、よくラムと一緒にアリャンの舞台を観に行くのだった。
「友達……? 舞台俳優……、知り合い?」
シヴァが眉根を寄せる。
「はい、アリャン・シャーって知ってます? 今話題の舞台の主役の!
褐色の肌に、ターゴイズブルーの瞳の、あのすごく男前の!」
「すごく、男前……」
低い声で、シヴァが繰り返す。
「ええ、すごく演技も上手くて! 王都でもすごい人気なんですよ。俺も、もちろんファンで……」
目を輝かせて説明する俺とは対照的に、シヴァの表情はなぜか曇りっぱなし!
「ファン、だと……? ほう、それはそれは……、つまりはお前の秘密の相手のうちの一人というのが、その男なのだな。
それは確かに、俺には言えないわけだな!」
「は!?」
ちょっと待って!? 何をどう考えたらそういう解釈になるワケ……!?
だって、アリャンは友達のラムの恋人で……!
シヴァの思考回路が、俺には意味不明!!
「よし、よくわかった。どうやらお前にはマナーを教えてやらないといけないようだ。
男の前で、他の男の話を嬉しそうにすると、いったいどんな目に遭わされるのか……」
「わ、あっ……!」
気づくと視界が変わっていて、シヴァの息遣いが耳元で聞こえた。
そう、つまり、俺は……
シヴァにお姫様抱っこされていた!!
「今日もじっくり可愛がってやる」
シヴァは俺を冷めた目で見下ろすと、そのまま俺をベッドに運んだ。
――もしかして、これが正しい展開だったりする!?
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