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15.男の本能
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「イーサン……」
ラムが暗い目で俺を見る。
「イーサンってば、健気ねー」
キリカはグラスを掲げると、俺に乾杯するそぶりをした。
「ごめんな、ラム」
悔し気に唇をかみしめるラムの頭を、俺はポンポンと叩いた。
「舞台俳優のいい男の恋人がいるラムには、ずっとかなわない相手に片想いし続けたイーサンの気持ちなんてわかんないわよ」
キリカはつぶやくように言うと、魔法樹のタルトをみんなに切り分けてくれた。
「さ、食べましょ。飲みましょ!
それはそうと、イーサン、アンタ、少しでも長くシヴァとこの関係を続けたかったら、
簡単に手に入るようなお手軽な存在になったりしたら、絶対だめよ!」
「え……?」
それって、どういうこと!?
「だいたい、男ってのはねー。狩人なのよ!!」
ぶどう酒片手に、持論を語り始めるキリカ。
ちなみに、目下恋人募集中!
「か、りゅうど?」
「そう! 騎士団の奴らにも多いのよね!
手に入れるまでは猪突猛進って感じなのに、いざ目当ての子がふりむくと、すっかり熱が冷めちゃうってやつ!
イーサン、あんたも、気をつけなさいよ!
シヴァに夢中な様子を一度でも見せたら、あの男すっかりアンタへの興味を失くすに違いないんだから!」
「そんな……!」
「たしかに、騎士の男って、そういうタイプ多そうだよねー。恋愛をゲームみたいに楽しんでるやつらばっかりって感じ! 軽蔑するぅ!」
魔法樹のタルトを頬張ったラムが、うんうんと頷く。
「恋愛、ゲーム……」
俺は青ざめる。
でもあの夜、俺は大胆にも自分からシヴァを誘ったし、シヴァの前ではほとんどメロメロだし、はっきりいって、もういろいろと手遅れな気がする!!
「イーサン、いまシヴァがあんたにこだわってるのは、他にもあんたと関係する男がいるって信じてるからなのよ。ったく、男って奴は本当にイヤらしいんだからっ!!」
キリカがダンっと、テーブルを拳でたたいた。
「そうだ、そうだ! いわゆる男の本能の競争心ってやつだよ! あのシヴァは、いもしないほかの男と張り合ってイーサンに執着しているにすぎないんだよ!
イーサンが自分だけにぞっこんだって知ったら、きっとポイってイーサンのこと捨てちゃうんだ!!」
キリカとラムの言葉に、俺は絶望する。
「じゃあ、俺は、いったい、どうすれば……」
「シヴァのことを翻弄するのよ! ロマンス小説に出てきたっていう伝説の男娼みたいに!」
とキリカ。
「シヴァがどんなに情熱的に迫ってきたって、身体だけの関係でそれ以上はないって、すげなくするんだ!」
とラム。
「あと、すごーく大事なことが、一つ!」
「大事なこと?」
「「ぜーーったいに、シヴァに最後まで許しちゃ、ダメっ!!」」
二人の声がきれいにそろった。
ラムが暗い目で俺を見る。
「イーサンってば、健気ねー」
キリカはグラスを掲げると、俺に乾杯するそぶりをした。
「ごめんな、ラム」
悔し気に唇をかみしめるラムの頭を、俺はポンポンと叩いた。
「舞台俳優のいい男の恋人がいるラムには、ずっとかなわない相手に片想いし続けたイーサンの気持ちなんてわかんないわよ」
キリカはつぶやくように言うと、魔法樹のタルトをみんなに切り分けてくれた。
「さ、食べましょ。飲みましょ!
それはそうと、イーサン、アンタ、少しでも長くシヴァとこの関係を続けたかったら、
簡単に手に入るようなお手軽な存在になったりしたら、絶対だめよ!」
「え……?」
それって、どういうこと!?
「だいたい、男ってのはねー。狩人なのよ!!」
ぶどう酒片手に、持論を語り始めるキリカ。
ちなみに、目下恋人募集中!
「か、りゅうど?」
「そう! 騎士団の奴らにも多いのよね!
手に入れるまでは猪突猛進って感じなのに、いざ目当ての子がふりむくと、すっかり熱が冷めちゃうってやつ!
イーサン、あんたも、気をつけなさいよ!
シヴァに夢中な様子を一度でも見せたら、あの男すっかりアンタへの興味を失くすに違いないんだから!」
「そんな……!」
「たしかに、騎士の男って、そういうタイプ多そうだよねー。恋愛をゲームみたいに楽しんでるやつらばっかりって感じ! 軽蔑するぅ!」
魔法樹のタルトを頬張ったラムが、うんうんと頷く。
「恋愛、ゲーム……」
俺は青ざめる。
でもあの夜、俺は大胆にも自分からシヴァを誘ったし、シヴァの前ではほとんどメロメロだし、はっきりいって、もういろいろと手遅れな気がする!!
「イーサン、いまシヴァがあんたにこだわってるのは、他にもあんたと関係する男がいるって信じてるからなのよ。ったく、男って奴は本当にイヤらしいんだからっ!!」
キリカがダンっと、テーブルを拳でたたいた。
「そうだ、そうだ! いわゆる男の本能の競争心ってやつだよ! あのシヴァは、いもしないほかの男と張り合ってイーサンに執着しているにすぎないんだよ!
イーサンが自分だけにぞっこんだって知ったら、きっとポイってイーサンのこと捨てちゃうんだ!!」
キリカとラムの言葉に、俺は絶望する。
「じゃあ、俺は、いったい、どうすれば……」
「シヴァのことを翻弄するのよ! ロマンス小説に出てきたっていう伝説の男娼みたいに!」
とキリカ。
「シヴァがどんなに情熱的に迫ってきたって、身体だけの関係でそれ以上はないって、すげなくするんだ!」
とラム。
「あと、すごーく大事なことが、一つ!」
「大事なこと?」
「「ぜーーったいに、シヴァに最後まで許しちゃ、ダメっ!!」」
二人の声がきれいにそろった。
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