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10.小悪魔と次の約束
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「なんの、こと……?」
「お前は、こうやって、いつも男を誘っているんだろう?
いま、お前が関係している人間は誰だ? 何人いる?」
「……!!」
――そうだ! 俺って、そういう設定だった!!
この状況に舞い上がっちゃってて、すっかり忘れていたけど!
はっと気づく俺に、シヴァが怪訝な眼差しを向ける。
「あの、その……」
どうしよう! 詳細までちゃんと考えてなかった!
でもここで、実は俺は何の経験もなくて、こういうことするのはあなたが初めてです! 何て言ったら……。
確実に、捨てられる!
っていうか、この場で斬り殺される!
あくまで、今シヴァが相手にしているのは、遊び慣れたあとくされない一晩かぎりの相手なのだから!
本当はあなたのことが大好きで、初めての相手がアナタです、なんて重すぎる設定、この状況じゃどんな男だって尻尾をまいて逃げ出したくなるにきまってる!
「どうした? もしや言えないような相手なのか?」
俺はかぶりを振った。
どうする? こんなとき、遊び上手な軽薄な男だったら?
どんなふうに、答える?
その時俺は、友人のラムから借りた別のロマンス小説のあらすじが不意に頭に浮かんだ。
そこに出てきた当て馬役の美少年は、まさに今俺がなりたいと思っている小悪魔的な男たらしで、たくさんの男を遊び半分に手玉にとってはその心を踏みにじっていた……!
「……あのさ、そういうのは、言いっこなしにしようよ!」
美少年のセリフそのままに、俺は言った。
「は?」
シヴァの眉間にしわが寄る。
「お互い、ストレス発散の気持ちいいコトするだけの関係だろ? 今日限りのあなたが、俺のほかの相手のことなんか知って、どうすんの?
そんな興ざめなこと、聞かないでよ。今この瞬間は、俺はあなただけのものだよ。それで、いいでしょ?」
チュ、といかにもスレた感じで、唇に軽くキスをしてやる。
シヴァは一瞬目を丸くしたが、次の瞬間、なぜかすごく怖い顔になった。
「……そうだな。深入りは禁物だ。お前は、ただのストレス発散の相手にすぎないのだから!」
「……」
自分で言ったセリフだというのに、シヴァに反芻されるとズシリと心に重く響いた。
――俺はいったい何を期待してるんだ!?
憧れのシヴァに一夜限りだとしても情けをかけてもらえるんだ。
――これ以上の何を望む?
俺はわざとらしくにっこりとほほ笑んで見せた。
「さあ、続きをしようよ。口でしてあげようか? 俺の舌使い、みんなに好評だよ?」
これまた小説のなかからそのままパクったセリフを吐くと、シヴァはにやりと笑った。
「それは、次の機会に取っておこう。
今日は……、お前をとことん苛めてやりたい気分だ!」
「え……!?」
横たわる俺にまた覆いかぶさってくる。
そのまま、噛みつくように口づけられた。
え、ちょっと待って!?
――次の機会って……、
ナニ!?
「お前は、こうやって、いつも男を誘っているんだろう?
いま、お前が関係している人間は誰だ? 何人いる?」
「……!!」
――そうだ! 俺って、そういう設定だった!!
この状況に舞い上がっちゃってて、すっかり忘れていたけど!
はっと気づく俺に、シヴァが怪訝な眼差しを向ける。
「あの、その……」
どうしよう! 詳細までちゃんと考えてなかった!
でもここで、実は俺は何の経験もなくて、こういうことするのはあなたが初めてです! 何て言ったら……。
確実に、捨てられる!
っていうか、この場で斬り殺される!
あくまで、今シヴァが相手にしているのは、遊び慣れたあとくされない一晩かぎりの相手なのだから!
本当はあなたのことが大好きで、初めての相手がアナタです、なんて重すぎる設定、この状況じゃどんな男だって尻尾をまいて逃げ出したくなるにきまってる!
「どうした? もしや言えないような相手なのか?」
俺はかぶりを振った。
どうする? こんなとき、遊び上手な軽薄な男だったら?
どんなふうに、答える?
その時俺は、友人のラムから借りた別のロマンス小説のあらすじが不意に頭に浮かんだ。
そこに出てきた当て馬役の美少年は、まさに今俺がなりたいと思っている小悪魔的な男たらしで、たくさんの男を遊び半分に手玉にとってはその心を踏みにじっていた……!
「……あのさ、そういうのは、言いっこなしにしようよ!」
美少年のセリフそのままに、俺は言った。
「は?」
シヴァの眉間にしわが寄る。
「お互い、ストレス発散の気持ちいいコトするだけの関係だろ? 今日限りのあなたが、俺のほかの相手のことなんか知って、どうすんの?
そんな興ざめなこと、聞かないでよ。今この瞬間は、俺はあなただけのものだよ。それで、いいでしょ?」
チュ、といかにもスレた感じで、唇に軽くキスをしてやる。
シヴァは一瞬目を丸くしたが、次の瞬間、なぜかすごく怖い顔になった。
「……そうだな。深入りは禁物だ。お前は、ただのストレス発散の相手にすぎないのだから!」
「……」
自分で言ったセリフだというのに、シヴァに反芻されるとズシリと心に重く響いた。
――俺はいったい何を期待してるんだ!?
憧れのシヴァに一夜限りだとしても情けをかけてもらえるんだ。
――これ以上の何を望む?
俺はわざとらしくにっこりとほほ笑んで見せた。
「さあ、続きをしようよ。口でしてあげようか? 俺の舌使い、みんなに好評だよ?」
これまた小説のなかからそのままパクったセリフを吐くと、シヴァはにやりと笑った。
「それは、次の機会に取っておこう。
今日は……、お前をとことん苛めてやりたい気分だ!」
「え……!?」
横たわる俺にまた覆いかぶさってくる。
そのまま、噛みつくように口づけられた。
え、ちょっと待って!?
――次の機会って……、
ナニ!?
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