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【番外編】
ソラルの里帰り 〜その6〜
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レオンの舌が、当然のように俺の唇を割って中に入ってくる。
「んっ、あっ……」
レオンにしっかりと抱きとめられているため、俺は身動きが取れない。
レオンの舌が俺のそれに絡まり、口の中全部を舐めつくされる。
まわりにはざわめきが起こった。
「レオンっ、駄目っ、みんな……、見てっ、あっ!」
「構わない……だろっ、俺たちは、婚約してるんだからっ……」
あまりにも濃厚なキスに、俺は身をよじる。
だって、ここはリーズの結婚式の会場で、今はダンスの時間で…‥。
なかなか離れない俺たちに、女の子たちの黄色い悲鳴も聞こえてくる。
「だってっ、恥ずかしいっ、やだレオンっ、んあっ、レオン駄目、俺っ…‥」
レオンに舌を吸われ、俺はレオンの背中をつかんだ。
「ソラル……っ、愛してるっ、誰にも、誰にも、渡さないっ」
「あっ、ああ……、俺も、……愛してる、から……」
レオンの熱を身体に感じ、俺の身体も反応しはじめている。
これは、ちょっとどころでなく、とんでもなくヤバい!!
「ソラル、ソラル……っ」
ますます身体を密着させてくるレオンに、
「ここでこれ以上は、駄目っ、だから……、あとは今夜、ゆっくりっ…‥!」
息も絶え絶えにあえぐと、レオンは突然がばっと身体を離した。
「レオン……?」
目の前のレオンは、艶めかしく唇を舐めた。
「そうだな、……さすがに、これ以上は俺もまずい。あとは、今夜、たっぷりと……、それに、わかってるよな? ソラル。
あの変質者とイチャイチャしたら、夜は俺が満足するまでお仕置きする約束だったよな?」
「は!?」
――絶対絶対、そんな約束していない!
それに、
「どこをどうみたらイチャイチャになるんだよっ! あんなの、一方的に……っ」
「一方的に、なに? 隙だらけのソラルが、あっという間に俺以外の男にキス、されそうになったって?」
青と緑の中間色の不思議な色合いの瞳。
――やばい、やばいよ、これは。絶対に、絶対に、すごく、すごーく怒っているヤツですよ!!
「レオン……、あの……」
突然、音楽が鳴りだした。おそらく、俺たちのいざこざに気を使った楽団が、慌ててワルツの曲を演奏し始めたのだ。
「あっ、レオン、ほら、ワルツ! ワルツだよ! 一緒に踊ろう!」
俺はレオンに手を差し出す。レオンは一瞬たじろいだ。
「レオン・ジラール、俺と踊ってくれますか?」
「……っ、卑怯だぞ! ソラル!」
俺がほほ笑みかけると、レオンは怒った顔のまま俺の手を取った。
「まだ男とは、誰とも踊ってないんだろうな?」
「もちろん! 君が初めてのダンスの相手だよ、レオン!」
――まったく俺の婚約者は、本当にどうしようもないほど嫉妬深くて可愛い。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
レオンはダンスもとても上手だった。何をさせても超一流のレオン。もう今更何も驚かない。
「ねえ、レオン、君のお母さんのことで話があるんだ」
レオンに腰を引き寄せられた俺は、意を決して口を開いた。
「知ってる」
「え!?」
「全部、聞いた」
「聞いた!?」
「婚約指輪……」
「指輪が、どうかしたの?」
「聞いてた……、指輪から、全部……」
言い淀むレオンに、俺の顔色は変わった。
「レオン、もしかして、この婚約指輪ってまだ俺の知らない機能があったりする!?」
レオンが俺の耳元に顔を寄せた。
「ソラル……、ソラルは俺が恐ろしいか……?」
俺は目を見開く。
俺の目の前にいるのは、心細げな眼をした一人の美しい青年だった。
「レオン……」
「言われたんだ……。あの時……、軍の変態野郎どもを蹴散らしたとき……。
――お前は魔物そのものだって、お前の存在そのものが、魔獣と変わらない忌むべきものだって……」
「そんな、こと……」
「俺はソラルがいないと生きていけない。でも、きっと、ソラルはそうじゃない。
だから……、俺はソラルに嫌われたら、もう終わりだ」
――だから、ずっと過去を隠していた……?
恐ろしいほどの魔力を持ちながら、それを誰にも言わずにいた……?
俺はレオンをぎゅっと抱きしめた。
「怖くなんて、ない。俺は、レオンのことが大好きだよ!」
レオンの身体から力が抜ける。
「レオン、ありがとう。俺のために、この国のために、レオンの力を使ってくれて……。
第一騎士団長になってくれて、俺の部下になってくれて、俺の婚約者になってくれて、
ありがとう……、大好きだよ、レオン!」
「ソラルっ!!」
「わあっ!」
なんと、俺はレオンに抱き上げられていた。
「ソラル、俺も、大好きだよ!」
レオンが俺のおでこにキスすると、きゃあああっ!と女の子たちから悲鳴があがる。
「はい、レオン。これ、私がとってた宿屋の鍵。まだチェックアウトしてないわよ」
なぜかレオンに鍵をさしだすテオドア。
「ありがたく受け取っておく!」
レオンの瞳が美しくきらめいた。
「さあ、行こうか!」
――どこにっ!?
その時俺は、泡を吹いて地面に転がっているミハイルにようやく気が付いた。
……なんか……、ゴメン。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「んっ、あっ……」
レオンにしっかりと抱きとめられているため、俺は身動きが取れない。
レオンの舌が俺のそれに絡まり、口の中全部を舐めつくされる。
まわりにはざわめきが起こった。
「レオンっ、駄目っ、みんな……、見てっ、あっ!」
「構わない……だろっ、俺たちは、婚約してるんだからっ……」
あまりにも濃厚なキスに、俺は身をよじる。
だって、ここはリーズの結婚式の会場で、今はダンスの時間で…‥。
なかなか離れない俺たちに、女の子たちの黄色い悲鳴も聞こえてくる。
「だってっ、恥ずかしいっ、やだレオンっ、んあっ、レオン駄目、俺っ…‥」
レオンに舌を吸われ、俺はレオンの背中をつかんだ。
「ソラル……っ、愛してるっ、誰にも、誰にも、渡さないっ」
「あっ、ああ……、俺も、……愛してる、から……」
レオンの熱を身体に感じ、俺の身体も反応しはじめている。
これは、ちょっとどころでなく、とんでもなくヤバい!!
「ソラル、ソラル……っ」
ますます身体を密着させてくるレオンに、
「ここでこれ以上は、駄目っ、だから……、あとは今夜、ゆっくりっ…‥!」
息も絶え絶えにあえぐと、レオンは突然がばっと身体を離した。
「レオン……?」
目の前のレオンは、艶めかしく唇を舐めた。
「そうだな、……さすがに、これ以上は俺もまずい。あとは、今夜、たっぷりと……、それに、わかってるよな? ソラル。
あの変質者とイチャイチャしたら、夜は俺が満足するまでお仕置きする約束だったよな?」
「は!?」
――絶対絶対、そんな約束していない!
それに、
「どこをどうみたらイチャイチャになるんだよっ! あんなの、一方的に……っ」
「一方的に、なに? 隙だらけのソラルが、あっという間に俺以外の男にキス、されそうになったって?」
青と緑の中間色の不思議な色合いの瞳。
――やばい、やばいよ、これは。絶対に、絶対に、すごく、すごーく怒っているヤツですよ!!
「レオン……、あの……」
突然、音楽が鳴りだした。おそらく、俺たちのいざこざに気を使った楽団が、慌ててワルツの曲を演奏し始めたのだ。
「あっ、レオン、ほら、ワルツ! ワルツだよ! 一緒に踊ろう!」
俺はレオンに手を差し出す。レオンは一瞬たじろいだ。
「レオン・ジラール、俺と踊ってくれますか?」
「……っ、卑怯だぞ! ソラル!」
俺がほほ笑みかけると、レオンは怒った顔のまま俺の手を取った。
「まだ男とは、誰とも踊ってないんだろうな?」
「もちろん! 君が初めてのダンスの相手だよ、レオン!」
――まったく俺の婚約者は、本当にどうしようもないほど嫉妬深くて可愛い。
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レオンはダンスもとても上手だった。何をさせても超一流のレオン。もう今更何も驚かない。
「ねえ、レオン、君のお母さんのことで話があるんだ」
レオンに腰を引き寄せられた俺は、意を決して口を開いた。
「知ってる」
「え!?」
「全部、聞いた」
「聞いた!?」
「婚約指輪……」
「指輪が、どうかしたの?」
「聞いてた……、指輪から、全部……」
言い淀むレオンに、俺の顔色は変わった。
「レオン、もしかして、この婚約指輪ってまだ俺の知らない機能があったりする!?」
レオンが俺の耳元に顔を寄せた。
「ソラル……、ソラルは俺が恐ろしいか……?」
俺は目を見開く。
俺の目の前にいるのは、心細げな眼をした一人の美しい青年だった。
「レオン……」
「言われたんだ……。あの時……、軍の変態野郎どもを蹴散らしたとき……。
――お前は魔物そのものだって、お前の存在そのものが、魔獣と変わらない忌むべきものだって……」
「そんな、こと……」
「俺はソラルがいないと生きていけない。でも、きっと、ソラルはそうじゃない。
だから……、俺はソラルに嫌われたら、もう終わりだ」
――だから、ずっと過去を隠していた……?
恐ろしいほどの魔力を持ちながら、それを誰にも言わずにいた……?
俺はレオンをぎゅっと抱きしめた。
「怖くなんて、ない。俺は、レオンのことが大好きだよ!」
レオンの身体から力が抜ける。
「レオン、ありがとう。俺のために、この国のために、レオンの力を使ってくれて……。
第一騎士団長になってくれて、俺の部下になってくれて、俺の婚約者になってくれて、
ありがとう……、大好きだよ、レオン!」
「ソラルっ!!」
「わあっ!」
なんと、俺はレオンに抱き上げられていた。
「ソラル、俺も、大好きだよ!」
レオンが俺のおでこにキスすると、きゃあああっ!と女の子たちから悲鳴があがる。
「はい、レオン。これ、私がとってた宿屋の鍵。まだチェックアウトしてないわよ」
なぜかレオンに鍵をさしだすテオドア。
「ありがたく受け取っておく!」
レオンの瞳が美しくきらめいた。
「さあ、行こうか!」
――どこにっ!?
その時俺は、泡を吹いて地面に転がっているミハイルにようやく気が付いた。
……なんか……、ゴメン。
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