【完結】優秀すぎる部下の副団長が、どうやら騎士団長の俺を下剋上しようとしているらしいのだが?!

.mizutama.

文字の大きさ
上 下
29 / 43

第29話 大好きな人

しおりを挟む
・・・・・・・・・・・・・・


「そ、ソラル、それは、つまり、俺と同じようなレベルで、レオンを好きということだなっ!?
そういうことでいいなっ!?」

 ルイ王子が俺を指さして断言する。


「そうだね。ソラルは優しいから、きっと年下の副団長のことをかばって……」

 ユーゴ様が、うんうんとうなずく。


「違うっ!!!」

 俺はかぶりを振った。

「俺、レオンより10歳以上も年上だし、気持ちを伝えてもきっと嫌がられるだけだから、ずっと黙っているつもりでいたけど……!!
こんな……、こんな、わけのわからないうちに、こんなことになっちゃったけど……、
でも俺っ、本当に好きな人とセックスしたのって、初めてだったから…‥、すごく、すごくうれしかったんだ……、レオン……」

「ソラルっ!!!!!!」

 レオンが歓喜の表情で俺に飛びついてくる。


「本当に……、好きな人……、くっ……」

 ユーゴ様の絶望した顏……。


「嘘だ! レオンっ、貴様ぁああああ!!
ーー魔法だっ、そうだ。魔法を使ったな!
ソラル、こいつの母方はクアスでも有名な魔女の一族なんだっ!
ソラル、お前は幻術にかけられている!!!!
おいレオン、ソラルにかけた魔法をいますぐ解けっ!」

 ルイ王子が鬼の形相で、俺とレオンを引き剥がそうとする。

「兄上、ご存知のはずです。どのような魔術も、人の心を操るのは不可能です。
そもそも、俺がそのような術を使えていたら、とっくに今頃……、そうだ!!!」

 突然、何かを思い出したレオン。
 ルイ王子から俺を引き離すと、上着のポケットからビロード張りの小箱を取り出した。


「「それはっ……!!!」」


 ルイ王子とユーゴ様が息を飲む。


 わけも分からず立ち尽くす俺の目の前で、レオンは片膝をついた。

「最初の計画はめちゃくちゃになったけど、ソラルが俺を好きでいてくれたなんて、死ぬほど嬉しい!
ソラル……、愛しています! 俺と結婚してください!!!!」


 ーーケッコーン!!!!????


 頭が真っ白になる俺をよそに、レオンがその小箱を開ける。

 中には……、うん、なんかよくわからないが、すごく高そうな指輪が入っていて……。



「ま、まさかそこまで話が……」

 顔面蒼白になっているユーゴ様。


「認めないっ! 俺は認めないぞっ! 絶対にっ!」

 ルイ王子も髪を振り乱す。


「あ、あの……、レオン……、結婚って、俺と、レオンが……?」

「そうだよ。この国では男同士の婚姻も認められているはずだよね。
ソラル……、俺と結婚して、一生俺のそばにいてくださいっ!」


「……!!!!!!!」

 キラリと光るレオンのあの美しい瞳の色に、俺はうろたえる。

 だって、だって……。


「でも、レオン、レオンが俺のこと好きだなんて、一度も……」

「本当は今晩、正式にプロポーズするはずだったんだ。
なのに、ソラルときたら、兄上とフランドル伯爵を自宅に招いて、それを俺に隠して……っ」

 ぎり、とレオンが唇を噛む。

 ーーそういえば、たしかに事前に予定をきかれたよね!? レオンから!


「いやっ、それはっ、レオンが俺に果たし状を持ってくるとばかり思ったから、その対策を……」

「俺はそのせいで、当初の計画の変更を余儀なくされ、ソラルをさらってこのジラール家の別邸につれてきたんだ。
ソラルは俺から逃げるつもりだってわかってたから、この際仕方なく身体から堕として俺のものにしようと……」

「仕方なく、身体から……だと!? 発想が野蛮すぎる。……やはり君のような人間にソラルを渡すわけにはいかないっ!」

 ユーゴ様が、再び剣を取る。


「許さん、許さんぞっ、ソラル! そもそもお前は俺のものだっ! お前をブチ犯すのは俺だけでいいっ!
……ソラルは絶対に渡さないっ!」

 ルイ王子が手にした魔法剣に、再び赤いオーラが宿る。


「待って、待ってください、ふたりとも!」

 俺はレオンをかばうように二人の前に立ち、両手を広げた。

「ソラル……」

「ソラルっ、そこをどけっ!」


「嫌ですっ! 俺、俺……、レオンが俺のこと思ってくれてるなんてまだ信じられないけど、
でも……っ」

 俺はレオンを振り返る。


「俺、レオンと結婚したい、です。
俺はずっと独身だと思ってたし、今まで生きてきて、こんな幸せが訪れることになるなんて、まだ信じられないけど……、
俺、レオンのプロポーズを受けます。
ルイ殿下、ユーゴ様……、今の俺があるのはお二人のおかげですっ!
俺はずっとお二人のこと尊敬していて、今も大好きです。だからっ、お二人には、レオンとの結婚を認めて欲しい!
認めてもらえると、すごく嬉しいっ!」


「「……!!!!!」」


「ソラルっ、好きだっ!!」

 レオンに後ろから思いっきり抱きしめられる。

「ぐぇ、苦し……」


「ぐはっ……」

 突然、ユーゴ様が血反吐を履いた。

 口を押さえた手から、少し血がもれている。


「ユーゴ様っ、大丈夫ですかっ!?」


 ーーやはり、さっきのレオンの攻撃のせいで……!!!


「ははっ、大丈夫、大丈夫……だよ、ちょっとびっくりした、だけ、だから。
そうか、そうなんだね。ソラルは、このジラール副団長のことが……」

 ユーゴ様は取り出した手巾で口元を拭い、剣をしまった。


「わかった。ソラル。……私は、ソラルの幸せをいつも願ってるよ。
もちろん、君たちのことは、祝福する、からね……」

 微笑むユーゴ様の口元から、ひとすじの血が流れている。


 そして、ルイ王子は、さっきから剣を握りしめたまま、微動だにしない。


しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

旦那様には愛人がいますが気にしません。

りつ
恋愛
 イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?

氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。 しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。 夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。 小説家なろうにも投稿中

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

ブレスレットが運んできたもの

mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。 そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。 血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。 これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。 俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。 そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした

和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。 そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。 * 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵 * 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

処理中です...