上 下
23 / 43

第23話 上司の知らない部下の顔

しおりを挟む
 
 目が覚めると見たこともない豪華な天蓋付きベッドの上に、俺はいた。

 部屋の調度品からいって、かなりの資産のある貴族の家、もしくは裕福な商家……?

 だが俺は決して、誰かの親切でここに寝かされているわけではない、ということはわかる。

 俺の両腕は頭の上で一つにまとめられ、ベッドのどこかにしっかりと括りつけられていた。
 自由になる両足を蹴ってなんとか身体をよじるが、綺麗な織の敷布がめくれただけで何の解決にもならなかった。

 そして俺は、靴と上着は脱がされていたが、騎士団の制服のままだった。
 
 部屋は薄暗く、あたりはしんとしている。人の気配はない。


「レオン、だよな。レオンしかいない……」

 俺はため息をつく。

 まんまとレオンに確保されてしまった俺。ここはいったいどこなんだろう?

 あのときの団員たちの会話が脳裏によぎる。

『絶対誰にも見つかれないような場所に監禁されて……』
『骨までしゃぶりつくされて……』
『灰すらも残さないくらいに食い尽くして……』

 俺は身震いする。
 この豪華な寝台は少しイメージとは違うが、レオンが俺をここに拘束してなにかよからぬことをしようとしている……ということだけは伝わってくる。

『ゲームオーバーです』

 レオンに言われた言葉。その通り、俺にはもうどこにも逃げ場がない。
 命乞いをすれば、レオンは助けてくれるだろうか。いやもう、きっと何もかも手遅れなのだろう。
 いまさらじたばたしても仕方がない!
 もうここまでくれば俺も開き直るしかない。

 ――それに、俺にはレオンに伝えなければならないことがあった。

 卑怯な俺は、このまま何も言わずにレオンの前から消える予定だった。だが、そんなズルは神様が見逃してくれなかったんだろう。
 こうしてレオンにつかまったことで俺も腹をくくった。
 きっと、こうなったのも神の思し召し。
 今後の俺がどうなるにせよ、俺はレオンに伝えよう……。それがレオンの心に届かなくても、自己満足だと嫌悪されても、俺は……。


 ――そういえば、昨晩は緊張でほとんど眠れなかったんだっけ……。

 もともとずぶとすぎるのか、はたまた心臓に毛が生えているのか……、目を閉じた俺はそのまま眠りへ落ちてしまったのだった。



・・・・・・・・・・・・・・・・



 生温かい何かに、俺は包まれていた。
 いや、包まれているのは全身ではない。俺のとある一部分だ。

 ぬるぬるとうねるように這われると、腰のあたりがしびれたようにじんじんする。

 夢にしてはあまりにもリアルで、あまりにも淫靡なこの感覚。

「あっ……んっ……」

 じゅるっと吸われて、俺はぱっと目を開けた。

 そして……、

 眼下には信じられない光景が広がっていた。



「お目覚めですか? 団長?」

 悩ましい上目遣いで俺を見てくるのは……、

「レオンっ、な、なんで、お前ッ、そんなっ、あっ……、んっ、んあっ……」

 レオンは俺の一物に舌を這わす。レオンのまっすぐな黒髪が、俺の腰のあたりをさらさらと撫でた。

 制服のズボンの前を開けられ、レオンに恥部をさらけ出している俺。
 戸惑う俺を見てレオンはにやりと笑うと、根元からパクリとくわえこんでしまった。

「やっ、あ、あ、あっ……!」

「我慢しなくて、いい、ですよッ、ほらっ、こんなに、いやらしい蜜が、たくさんっ」

 指で俺をしごきながら、その鈴口をちゅっと吸い取られる。

「やっ、はっ、あっ、ああっ、ンっ、駄目、出ちゃう、出ちゃうから! レオン!」

「全部出して。ソラル……、声、可愛い。感じてる声、もっと聞かせて!」

「やあ、あっ、吸うなっ、駄目ッ、そんなに強くっ、ああ、あああああああ!」

 強い刺激に抗うこともできず、俺はあっという間に果ててしまった。


「ごめん、レオン、俺っ……、ちょっ、お前、何を……っ」

 レオンは止める間もなく、口の中に吐き出された精を全部飲み込んでしまった。

「これが、ソラルの……、味……。たまらないな……」

 色気のある口元をぐいとぬぐうと、あろうことかまた俺の下腹部に顔をうずめる。

「ひゃっ、まっ、待って! 待って、レオンっ、俺、出たばっかり、だから……っ、やっ、あっ、駄目っ!!!」

 足で何度もレオンの頭を蹴るが、微動だにしない。


 さっきよりさらにしつこい舌使いで、俺はあっという間に追い詰められる。

「もっとちょうだい。ソラルの……、全部……、全部飲み干してあげる」

「やっ、あっ、ほんと無理、もう出ないっ! もう無理、無理だからっ!」

 縛られた身体をよじるが、レオンは全く動じず、さらに俺をじゅるじゅると吸い上げた。

「やっ、はっ、あああああんっ!」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜の翌朝失踪する受けの話

春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…? タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。 歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け

ヒロイン不在の異世界ハーレム

藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。 神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。 飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。 ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

いつの間にか後輩に外堀を埋められていました

BL
2×××年。同性婚が認められて10年が経った現在。 後輩からいきなりプロポーズをされて....? あれ、俺たち付き合ってなかったよね? わんこ(を装った狼)イケメン×お人よし無自覚美人 続編更新中! 結婚して五年後のお話です。 妊娠、出産、育児。たくさん悩んでぶつかって、成長していく様子を見届けていただけたらと思います!

【完結済み】準ヒロインに転生したビッチだけど出番終わったから好きにします。

mamaマリナ
BL
【完結済み、番外編投稿予定】  別れ話の途中で転生したこと思い出した。でも、シナリオの最後のシーンだからこれから好きにしていいよね。ビッチの本領発揮します。

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

【完結】総受け主人公のはずの推しに外堀を埋められた!?

抹茶らて
BL
ソノア=ベルデ、子爵家次男でサムソン公爵家嫡男サムソン=シガンの護衛騎士であり、シガンを総受けとした小説『僕は総受けなんかじゃない!』の攻め要員の一人。そして、その作者である『俺』が転生した登場人物でもある。 最推しのシガンたんを見守るべく、奮闘する『俺』。シガンの総受けのはずの物語が、何故か書いたストーリー通りに進まず… どうして攻め要員がシガたんンを攻めないんだ?シガンたんはどうしてこっちへ迫って来るんだ? 『俺』は…物語は…どうなるんだ!? *R18は保険です(書き上げていないため…) *ノリと勢いで書いています *予告なくエロを入れてしまいます *地雷を踏んでしまったらごめんなさい… *ストックが無くなったら毎日更新出来ないかもしれないです

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

処理中です...