22 / 43
第22話 決戦の時
しおりを挟む
しかし俺は思い出した。
明日の夜と言えば、俺のことを心配したユーゴ様が家にやってくる日!!!!
俺はホッと胸をなでおろす。
ユーゴ様が同席してくれていれば、ルイ王子もまさか目の前で俺をブチ犯すなんてことはしないだろう。
いや、たとえ怒りのあまり凶行に及んだとしても、ユーゴ様がきっと止めに入ってくれる!
ユーゴ様と二人で説得すれば、ルイ王子もわかってくれるに違いない。なんとかして騎士団長の辞任をルイ王子に認めてもらわなければ!
俺は運命のめぐり合わせに感謝しながら、第6騎士団に戻った。
だが……、
「団長、明日の夜、お時間はありますか?」
――なんで、こうも予定を被せてこようとするんだ!? お前たちはっ!!??
「あ、あ、明日の、夜!? 明日の夜は、その……、ちょっと都合が悪くて」
「何か先約が?」
レオンの蛍光色の瞳が、俺を追い詰める。
きっとそうだ。そうに違いない。
レオンは、俺に決闘状を突きつけにこようとしているのだ!!
「いや、そのっ、ほらっ! 実家の両親が来るんだよ。たまには王都の観光でもしたいって!」
またバレバレのウソでごまかそうとする俺。もちろん見逃してもらえるはずもなく、
「そうなのですか。それは好都合です。ご挨拶をしたいので、ぜひ私も……」
「いやいやいやっ! 挨拶とかっ、いいから! 大丈夫、大丈夫!」
滅しようとする俺の両親に挨拶してなんになるというのだ!? 前もっての予告?
――お宅の息子さんを下剋上しようとしていますが、どうぞよしなに…‥って!?
っていうか、そもそも両親は来ない、来るのは昔の愛人とセフレだ!!
――絶対に、鉢合わせさせるわけにはいかない!!!!
「ほら、たまには家族水入らずですごしたい、みたいな?
両親には、ほら、今度、紹介するから!」
「そうですか……」
しばらく考えるような表情になったレオンは、急ににっこりとほほ笑んだ。
「団長がお忙しいなら、仕方がないですね。
では、私は明日は、第二騎士団との共同作戦に参加することにいたします。
早朝から翌日まで戻りませんので、」
「あっ、そう、そう、なんだ! わかった。気を、つけてね」
俺はきっとあからさまにほっとした表情をしていたのだろう……。
「はい、団長もご両親とごゆっくりお過ごしください」
「うん、ありがとう……」
その時レオンの笑顔に感じた胸騒ぎは、もちろん気のせいなんかじゃなく、俺はこのときのことをのちのちたっぷりと後悔することになるのだった……。
翌日、俺は朝から緊張していた。
果たしてルイ王子は話し合いに応じて、俺の第6騎士団長の辞任を認めてくれるのか……。
昨日のレオンの様子からも、おそらく猶予はほとんどない。
俺は無事、レオンの前から姿を消すことができるのか……。
レオンが言っていた通り、レオンは朝から任務に出ており第6騎士団にはいなかった。
明日まで戻ってこないというのだから、何としても今日中に何らかの解決をはからなければならない。
気もそぞろで一日を過ごし、終業時刻がくるやいなや、俺は団長室を飛び出した。
だが駆け足で家路へと急ぐ俺の前に、あの男は現れた。
「そんなに急いで、どこに行かれるのですか?」
低い美声。
逆光で、表情が良く見えない。
――最初からわかってた。……俺が、アイツの裏をかけるはずなんて、なかった。
優秀すぎる俺の部下、レオン・ジラール。
「……レオン、どうして……?」
二の腕をつかまれ、強引に裏小路に連れ込まれた俺。
レオンの綺麗な瞳には、俺だけが映っていた。
「残念でしたね。デュポン団長。でも、もうゲームオーバーです」
レオンは抱き込むようにして俺の身体を支えると、俺の眉間に人差し指をあてる。
流れ込んでくるレオンの魔力に俺は思わず目を閉じ、そして…‥、
――俺の記憶は途切れた。
明日の夜と言えば、俺のことを心配したユーゴ様が家にやってくる日!!!!
俺はホッと胸をなでおろす。
ユーゴ様が同席してくれていれば、ルイ王子もまさか目の前で俺をブチ犯すなんてことはしないだろう。
いや、たとえ怒りのあまり凶行に及んだとしても、ユーゴ様がきっと止めに入ってくれる!
ユーゴ様と二人で説得すれば、ルイ王子もわかってくれるに違いない。なんとかして騎士団長の辞任をルイ王子に認めてもらわなければ!
俺は運命のめぐり合わせに感謝しながら、第6騎士団に戻った。
だが……、
「団長、明日の夜、お時間はありますか?」
――なんで、こうも予定を被せてこようとするんだ!? お前たちはっ!!??
「あ、あ、明日の、夜!? 明日の夜は、その……、ちょっと都合が悪くて」
「何か先約が?」
レオンの蛍光色の瞳が、俺を追い詰める。
きっとそうだ。そうに違いない。
レオンは、俺に決闘状を突きつけにこようとしているのだ!!
「いや、そのっ、ほらっ! 実家の両親が来るんだよ。たまには王都の観光でもしたいって!」
またバレバレのウソでごまかそうとする俺。もちろん見逃してもらえるはずもなく、
「そうなのですか。それは好都合です。ご挨拶をしたいので、ぜひ私も……」
「いやいやいやっ! 挨拶とかっ、いいから! 大丈夫、大丈夫!」
滅しようとする俺の両親に挨拶してなんになるというのだ!? 前もっての予告?
――お宅の息子さんを下剋上しようとしていますが、どうぞよしなに…‥って!?
っていうか、そもそも両親は来ない、来るのは昔の愛人とセフレだ!!
――絶対に、鉢合わせさせるわけにはいかない!!!!
「ほら、たまには家族水入らずですごしたい、みたいな?
両親には、ほら、今度、紹介するから!」
「そうですか……」
しばらく考えるような表情になったレオンは、急ににっこりとほほ笑んだ。
「団長がお忙しいなら、仕方がないですね。
では、私は明日は、第二騎士団との共同作戦に参加することにいたします。
早朝から翌日まで戻りませんので、」
「あっ、そう、そう、なんだ! わかった。気を、つけてね」
俺はきっとあからさまにほっとした表情をしていたのだろう……。
「はい、団長もご両親とごゆっくりお過ごしください」
「うん、ありがとう……」
その時レオンの笑顔に感じた胸騒ぎは、もちろん気のせいなんかじゃなく、俺はこのときのことをのちのちたっぷりと後悔することになるのだった……。
翌日、俺は朝から緊張していた。
果たしてルイ王子は話し合いに応じて、俺の第6騎士団長の辞任を認めてくれるのか……。
昨日のレオンの様子からも、おそらく猶予はほとんどない。
俺は無事、レオンの前から姿を消すことができるのか……。
レオンが言っていた通り、レオンは朝から任務に出ており第6騎士団にはいなかった。
明日まで戻ってこないというのだから、何としても今日中に何らかの解決をはからなければならない。
気もそぞろで一日を過ごし、終業時刻がくるやいなや、俺は団長室を飛び出した。
だが駆け足で家路へと急ぐ俺の前に、あの男は現れた。
「そんなに急いで、どこに行かれるのですか?」
低い美声。
逆光で、表情が良く見えない。
――最初からわかってた。……俺が、アイツの裏をかけるはずなんて、なかった。
優秀すぎる俺の部下、レオン・ジラール。
「……レオン、どうして……?」
二の腕をつかまれ、強引に裏小路に連れ込まれた俺。
レオンの綺麗な瞳には、俺だけが映っていた。
「残念でしたね。デュポン団長。でも、もうゲームオーバーです」
レオンは抱き込むようにして俺の身体を支えると、俺の眉間に人差し指をあてる。
流れ込んでくるレオンの魔力に俺は思わず目を閉じ、そして…‥、
――俺の記憶は途切れた。
応援ありがとうございます!
57
お気に入りに追加
1,663
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる