6 / 43
第6話 Win-winの関係
しおりを挟む「デュポン、君に辞令がでている!」
当時の第六騎士団長だったクシー団長が、俺に一枚の紙を差し出した。
内容は……。
「第一騎士団との兼務を命ずる? なんなんですか、これは?」
「これは大変栄誉なことであるぞ、デュポン! 今後、第一騎士団長のルイ殿下が遠征のときには、殿下からのご指名で君が専属でお供をすることになった。
君は第六騎士団の希望だ! これからがんばって殿下を支えてやってくれ」
ポンと肩に手を置かれた俺。
もちろん俺にはわかっていた。この辞令が何を意味するかとうことくらい……。
ーーこの日から、俺は遠征先でのルイ王子の性欲処理担当となったのだった。
そして俺には『第一騎士団長キラー』という不名誉なあだ名がつけられた。
とはいえ、悪いことばかりではなかった。
まず、第6騎士団での二階級特進!
これはもちろん、第一騎士団長のルイ王子が手を回したことによるれっきとした不正人事である。
だが、出会い頭のセックスといい、その後の貪り尽くされるような情交といい、精神的にも肉体的にも俺はかなりのダメージを被ったのだから、これくらいの報奨はあって当然だろう!
そして!!
「ソラル、いいっ? ここ、ここかな?」
「ああっ、殿下っ、いいっ、そこっ、もっと、もっとぉ!!!」
「いいよっ、いっぱい、俺の出してあげるからねっ!」
「ああっ、殿下っ! 殿下ぁ……!」
ーー俺とルイ王子の身体の相性はとても良かった……。
ルイ王子というのは、もともととても野性味溢れる大変男らしい人格の持ち主であった。
見た目はその辺の令嬢も裸足で逃げ出してしまうほどの美貌の持ち主だが、内面は竹を割ったようなはっきりとした性格で、セックスのときも自分が激しく突きまくって、相手をヒイヒイいわすのがなによりのお好み。
ところが、ルイ王子の結婚相手の友好国の王女さまは、抱きしめたら折れてしまいそうなほどの儚げな女性らしい。男としてはそんな可憐な美女を娶るのは至極の喜びだと思うのだが、王族というのはいろいろと面倒なしがらみがあるようで……。
ルイ王子の本心としては、もちろん閨でも妻となった王女をめちゃくちゃに犯してヒイヒイ言わせたいらしいのだが、そこは隣国との力関係や、王宮の閨のお作法云々からも、絶対NGなのだそうだ。
というわけで、ルイ王子は王宮の閨教育の教科書通り、礼儀正しく、羽で触れるような、女性の気持ち優先の夫婦の営みを心がけているという。
もちろんまだ年若いルイ王子のこと、そんな生半可なセックスでは満足できるはずもなく、日々もんもんと性欲を持て余していたようで……。
「ああ、ソラル、最高っ、ほら、奥まで入っちゃうよ。力抜いて! このままじゃソラルの大好きなところに入れないよっ!?
どうする? ソラル……。ずっとこのままでも、いいんだよ!?」
ちなみにルイ王子は、言葉責めもとてもお得意である。
「ああんっ、殿下っ、きてっ、早くっ、俺の奥っ、殿下のいっぱい、ほしいっ!!!」
「いっぱい出すよ。ソラルが妊娠しちゃうくらい……、ほらっ!」
後ろから俺の腰を支えるルイ王子が、ぱちゅんと俺の結腸に、その亀頭をはめ込む。
「はああああんっ、んっ、やだあっ、赤ちゃん、できちゃうぅ!!!」
もちろん男同士で妊娠するはずもないのだが、ルイ王子は俺への種付プレイが大好物。
俺だって当時はノリノリだったんだから、どっちもどっちという話なのだが……。
そんなこんなで、俺とルイ王子はウィンウィンの関係を築いていた。ルイ王子は、自慢の一物を心置きなく全部埋め込んでめちゃくちゃにできる俺の身体を存分に堪能して日々のストレスを発散し、俺は俺で激しいルイ王子とのセックスを楽しみながらも、第一騎士団との兼務で倍の給料を手にしたり、しばしば届くルイ王子からの高額な贈り物に目をむいたりしていた……。
――ユーゴ様と俺の関係が甘くねっとりしたものだったとしたら、ルイ王子と俺の関係は明るくさっぱりしたものだった。
愛人という淫靡な雰囲気よりも、セフレという後腐れのない軽い関係が俺たちには似合っていた。
それに、ともに魔獣相手の前線で命を預け合うもの同士。俺たちの間には、身体の関係だけでない、友情みたいなものも確かにあったと思う。
日ごろ国の完璧な第3王子としての仮面をかぶって生きているルイ王子は、俺の前だけは素の自分でいることができた……と思うのは俺の思い上がりではないだろう。
だがお互いにとってどんな素晴らしい関係も、いつか終わりがくるときがくる。
俺とルイ王子も例外ではなかった。
152
お気に入りに追加
1,737
あなたにおすすめの小説
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
初夜の翌朝失踪する受けの話
春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…?
タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。
歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
いつの間にか後輩に外堀を埋められていました
雪
BL
2×××年。同性婚が認められて10年が経った現在。
後輩からいきなりプロポーズをされて....?
あれ、俺たち付き合ってなかったよね?
わんこ(を装った狼)イケメン×お人よし無自覚美人
続編更新中!
結婚して五年後のお話です。
妊娠、出産、育児。たくさん悩んでぶつかって、成長していく様子を見届けていただけたらと思います!
【完結済み】準ヒロインに転生したビッチだけど出番終わったから好きにします。
mamaマリナ
BL
【完結済み、番外編投稿予定】
別れ話の途中で転生したこと思い出した。でも、シナリオの最後のシーンだからこれから好きにしていいよね。ビッチの本領発揮します。
生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。
【完結】総受け主人公のはずの推しに外堀を埋められた!?
抹茶らて
BL
ソノア=ベルデ、子爵家次男でサムソン公爵家嫡男サムソン=シガンの護衛騎士であり、シガンを総受けとした小説『僕は総受けなんかじゃない!』の攻め要員の一人。そして、その作者である『俺』が転生した登場人物でもある。
最推しのシガンたんを見守るべく、奮闘する『俺』。シガンの総受けのはずの物語が、何故か書いたストーリー通りに進まず…
どうして攻め要員がシガたんンを攻めないんだ?シガンたんはどうしてこっちへ迫って来るんだ?
『俺』は…物語は…どうなるんだ!?
*R18は保険です(書き上げていないため…)
*ノリと勢いで書いています
*予告なくエロを入れてしまいます
*地雷を踏んでしまったらごめんなさい…
*ストックが無くなったら毎日更新出来ないかもしれないです
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる