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【番外編】
ティトの魔法学園の一日 16
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「あ……、やだ、もうっ……、二人ともっ、こんなの……」
半ば強制的にイカされてしまった俺は、涙目になって二人を睨んだ。
だが……、
「なあ、オルランド。いっそのこと、もうこのまま、ティトのこと、ずっとここに閉じ込めちゃおうか?」
冗談ともつかない口調で、蒼い瞳のファビオが言う。
「そうだね。そもそも、ティトが学園に入学したのが間違いのもとだったのかもしれないね。
私たちだけ見ていれば、きっと、こんなことにはならなかったのに……」
拘束したまま、俺の顔をのぞきこむ漆黒の瞳のオルランド。
――二人の目に浮かぶのは……、見たこともない危険な光。
「……っ!!」
「ティト、俺たちは我慢ならないんだ……、君が俺たち以外のものに関心を寄せるのが……」
「私たちはいつも二人でティトの愛を分け合っているだろう? もうこれ以上、ティトの心に何かが入り込むなんて、到底許すことができないんだよ」
二人の熱い手のひらが、俺の裸の身体をなぞっていく。
「んっ、あっ……、待っ、て……」
「嫉妬で頭がおかしくなりそうになる……、ティトが学園に行っている間、俺たちの目の届かないところで、俺たちの知らない時間をどうやって過ごしているのか……」
「いつも不安で気が気でないんだよ。もしかしたら……、ティトは……、ある日急に、私たちのもとから去ってしまうかもしれない……、そう思うと……」
「やっ、そんな、の……っ、あ……!」
二人に足を開かされた俺は、懸命に首を振る。
「この関係のはじまりだって、強引だった。もしかしたら、今もティトは、流されて俺たちと一緒にいるだけなのかもしれない……」
「そうだよ。ティトはいつだって、誰にだって優しいから……。もしかしたら、ティトは私たちに同情してくれているだけで……」
「だから、違、うっ……」
「だからティト、もうこのままここでずっと……」
「一生、誰にも会わず、ここから出ずに、私たちと……」
「……っ! だーかーらっ!!!! 違うっていってるだろっ!!!!????」
俺は下っ腹に力を込めると、右足でファビオ、左足でオルランドのそれぞれの顔面を思いっきり蹴り上げてやった。
「「ぐはっ……!!!!」」
さすがにこんな抵抗の方法は思いもよらなかったのだろう、意表を突かれた二人は、そのまま床にしりもちをつくと、茫然と俺を見上げていた。
「こんのっ、馬鹿ファビオっ! 馬鹿オルランドっ!!」
俺は大声で言うと、床の上にいる二人を、裸のまま同時に抱きしめた。
「「……ティト……?」」
「バカバカバカバカバカっ! この大馬鹿者っ!!
いったい誰が、俺の愛を二人で分け合ってるって言うんだよっ!?
違うだろっ、二人とも!! 俺の愛は分割なんて、できないのっ!
ファビオとオルランドの二人分で、二倍だよっ!!
俺の愛は、二人がいることで、二倍になるのっ!!」
まだ力が抜けている二人を、俺は勢いよく両腕でぎゅっと自分に引き寄せた。
「愛してるよ。ファビオ、オルランド。きっと言葉じゃ足りないくらい……。
俺だってもう二人を失ったら、絶対生きていけない!
でも俺、二人にふさわしい人間になるために、まだまだいっぱい勉強しなきゃいけないんだ。
俺、いままで一度も学校に通ったことなかったから、学園では見るもの聞くもの全部が新しくて、毎日すごくウキウキしてた。
それで……、すごく浮かれてて、そのせいで二人を不安にさせてたんなら、本当にごめん!
でも俺、国の宝っていわれてる二人の少しでも助けになるような立派な人間になりたいんだ! 俺だって二人に追いつきたい!
だから、もう少しだけ……、二人は俺のこと、見守ってて!」
「「ティト!!!!」」
ファビオとオルランドも、力いっぱい俺を抱きしめ返してきた。
「ごめんなティト! 俺たちが馬鹿だった! ティトの気持ちも知らずに、自分勝手なことをしようとしたっ!」
「本当にすまない、ティト! 愚かな私たちを許してくれ! 己の欲望だけを優先して、君の人生と自由を奪おうとした。……私たちは君に愛される資格などない!!」
苦し気に話す二人に、俺はかぶりを振った。
「そんなことっ、ないっ!
二人はいつも俺のこと一番に考えてくれてる! 俺が一番よくわかってたのに……、
俺はそれがいつの間にか当たり前になってて、二人の愛情の上にあぐらをかいて……。
不安にさせて本当にごめん! だから、今日は……」
俺は身体をそっと話すと、一人ずつ、唇にキスをした。
「「ティト……!」」
青と黒の瞳が俺を見つめていいる。
俺はすごく恥ずかしくて……、すごくドキドキしていて……、
でも大きく息を吸い込んで、俺は言った。
「俺…‥、気づいてたんだ。二人は多分…‥、俺にいつもだいぶ手加減してくれてるよね?
俺の身体のこと気遣ってくれて、すごくうれしい…‥、でも、今日は……、
――今日は俺のこと、二人でとことん好きにしていいよっ!!」
半ば強制的にイカされてしまった俺は、涙目になって二人を睨んだ。
だが……、
「なあ、オルランド。いっそのこと、もうこのまま、ティトのこと、ずっとここに閉じ込めちゃおうか?」
冗談ともつかない口調で、蒼い瞳のファビオが言う。
「そうだね。そもそも、ティトが学園に入学したのが間違いのもとだったのかもしれないね。
私たちだけ見ていれば、きっと、こんなことにはならなかったのに……」
拘束したまま、俺の顔をのぞきこむ漆黒の瞳のオルランド。
――二人の目に浮かぶのは……、見たこともない危険な光。
「……っ!!」
「ティト、俺たちは我慢ならないんだ……、君が俺たち以外のものに関心を寄せるのが……」
「私たちはいつも二人でティトの愛を分け合っているだろう? もうこれ以上、ティトの心に何かが入り込むなんて、到底許すことができないんだよ」
二人の熱い手のひらが、俺の裸の身体をなぞっていく。
「んっ、あっ……、待っ、て……」
「嫉妬で頭がおかしくなりそうになる……、ティトが学園に行っている間、俺たちの目の届かないところで、俺たちの知らない時間をどうやって過ごしているのか……」
「いつも不安で気が気でないんだよ。もしかしたら……、ティトは……、ある日急に、私たちのもとから去ってしまうかもしれない……、そう思うと……」
「やっ、そんな、の……っ、あ……!」
二人に足を開かされた俺は、懸命に首を振る。
「この関係のはじまりだって、強引だった。もしかしたら、今もティトは、流されて俺たちと一緒にいるだけなのかもしれない……」
「そうだよ。ティトはいつだって、誰にだって優しいから……。もしかしたら、ティトは私たちに同情してくれているだけで……」
「だから、違、うっ……」
「だからティト、もうこのままここでずっと……」
「一生、誰にも会わず、ここから出ずに、私たちと……」
「……っ! だーかーらっ!!!! 違うっていってるだろっ!!!!????」
俺は下っ腹に力を込めると、右足でファビオ、左足でオルランドのそれぞれの顔面を思いっきり蹴り上げてやった。
「「ぐはっ……!!!!」」
さすがにこんな抵抗の方法は思いもよらなかったのだろう、意表を突かれた二人は、そのまま床にしりもちをつくと、茫然と俺を見上げていた。
「こんのっ、馬鹿ファビオっ! 馬鹿オルランドっ!!」
俺は大声で言うと、床の上にいる二人を、裸のまま同時に抱きしめた。
「「……ティト……?」」
「バカバカバカバカバカっ! この大馬鹿者っ!!
いったい誰が、俺の愛を二人で分け合ってるって言うんだよっ!?
違うだろっ、二人とも!! 俺の愛は分割なんて、できないのっ!
ファビオとオルランドの二人分で、二倍だよっ!!
俺の愛は、二人がいることで、二倍になるのっ!!」
まだ力が抜けている二人を、俺は勢いよく両腕でぎゅっと自分に引き寄せた。
「愛してるよ。ファビオ、オルランド。きっと言葉じゃ足りないくらい……。
俺だってもう二人を失ったら、絶対生きていけない!
でも俺、二人にふさわしい人間になるために、まだまだいっぱい勉強しなきゃいけないんだ。
俺、いままで一度も学校に通ったことなかったから、学園では見るもの聞くもの全部が新しくて、毎日すごくウキウキしてた。
それで……、すごく浮かれてて、そのせいで二人を不安にさせてたんなら、本当にごめん!
でも俺、国の宝っていわれてる二人の少しでも助けになるような立派な人間になりたいんだ! 俺だって二人に追いつきたい!
だから、もう少しだけ……、二人は俺のこと、見守ってて!」
「「ティト!!!!」」
ファビオとオルランドも、力いっぱい俺を抱きしめ返してきた。
「ごめんなティト! 俺たちが馬鹿だった! ティトの気持ちも知らずに、自分勝手なことをしようとしたっ!」
「本当にすまない、ティト! 愚かな私たちを許してくれ! 己の欲望だけを優先して、君の人生と自由を奪おうとした。……私たちは君に愛される資格などない!!」
苦し気に話す二人に、俺はかぶりを振った。
「そんなことっ、ないっ!
二人はいつも俺のこと一番に考えてくれてる! 俺が一番よくわかってたのに……、
俺はそれがいつの間にか当たり前になってて、二人の愛情の上にあぐらをかいて……。
不安にさせて本当にごめん! だから、今日は……」
俺は身体をそっと話すと、一人ずつ、唇にキスをした。
「「ティト……!」」
青と黒の瞳が俺を見つめていいる。
俺はすごく恥ずかしくて……、すごくドキドキしていて……、
でも大きく息を吸い込んで、俺は言った。
「俺…‥、気づいてたんだ。二人は多分…‥、俺にいつもだいぶ手加減してくれてるよね?
俺の身体のこと気遣ってくれて、すごくうれしい…‥、でも、今日は……、
――今日は俺のこと、二人でとことん好きにしていいよっ!!」
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