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二人分の愛
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「ティト、腹が減ってるんじゃないか? とりあえず先に腹ごしらえして、それからゆっくりもう一度……」
「そうだな。正式な祝いの宴は王都に戻ってからにするとして、さきに三人だけでお祝いしよう。ティト、何が食べたい?
……しかし、夜のことを考えるとあまり胃に負担をかけすぎないない方が……」
二人が両側から俺の頬にキスしてきた。
「あの、俺……、お二人に謝らなければいけないことがあって……」
俺の言葉に、俺を抱きしめようとしていた二人は手を止めた。
「まさかっ、いまさら結婚はなし、とかいう気じゃないよな!? ティト!!」
「後生だから、これからフォンターナと暮らすとか、言わないでくれ! ティト!!」
涙目の二人。
「えっ!? いや、そういう、ことじゃ……」
「じゃあ、何を謝るって言うんだティト! 君は俺たちの気持ちを弄んだのかっ!? 愛してるって言ってくれたのは嘘か!?」
「私たちのテクニックに何か不満があったなら、遠慮せずに言ってほしい! これから3人で解決していこう!」
凄んでくる二人に、俺は大きくかぶりを振った。
「違うんですっ! 俺っ! 勝手にお二人のことを誤解してて! それで事態がややこしくなっちゃってて。
それで、お二人に謝らなければいけないと思ってたんです。
……俺が最初から、お二人の気持ちにちゃんと気づいていればこんなハチャメチャなことにならなかったと思うから…‥」
「あのオベロンが言っていたことか?」
オルランドの言葉に、俺は大きく頷いた。
「俺、お二人が、そういう意味で付き合ってるって、思っていたんです!! だから、俺なんて、単なる役立たずの数合わせだって、ずっと感じていて。
だからお邪魔虫の俺は、このパーティから早く離脱した方がいいって、そう考えてしまったんです!
……だって、お二人はいつもなにか俺にわからないように目配せとかしてたし、二人はいつも一緒の寝室だったし、
朝起きてきたとき、なぜか寝不足気味みたいだったし!!」
俺の言葉に、ファビオとオルランドは目を見合わせた。
「ハア……、なんちゅー誤解だよ。お願いだからやめてくれ。
ありえないにもほどがあるだろ! 一気に気持ちが萎える……」
ファビオはガクリと肩を落とす。
「ごめんなさい……」
「ティトは、私たちのことを一番に考えてくれていたんだね…‥。でも心配はいらないよ。
私がこの男をそういう目で見ることは、たとえ太陽が西から登ってもあり得ない!!」
オルランドは俺の頭を撫でた。
「その、目配せは、……アレだな。ティトに勝手に触ったり、抜け駆けしたりしないように、互いにアイコンタクトで確認してただけだ! 二人で話し合って決めていっためちゃくちゃ細かい取り決めもあったしな」
ファビオも負けじと俺の髪をくしゃくしゃにかき回した。
「二人が常に一緒の寝室だったのも、夜に勝手に抜け出して、ティトに夜這いをかけたりしないように、お互いを見張るためだよ。
終始寝不足だったのもそれ。先にぐっすり寝てしまったら、ファビオがこっそりティトに何をするかわからなかったからね」
「それはこっちのセリフ! オルランド、お前、いっぺん俺にスリープかけようとしただろ!
俺が気づかないとでも思ってたか!?」
「ファビオだって、オベロンからコッソリもらった眠り薬を、俺の葡萄酒に忍ばせようとしただろう?」
「……あれはっ……!」
「ぷっ、あははははっ!!!!」
「「??」」
二人のやりとりに、俺は噴き出していた。
「あはっ! ……すみません。だって、お二人があんまりにも息がぴったりだから!
俺、こうやってお二人が仲良くしているのを見てるのが、すごく好きです!」
「「仲が、いい……?」」
なにか不満げな様子の二人。
でも俺は満足だった。
だって、俺に取ってこの二人は、もう人生にかかすことのできないパートナーとなったのだから……。
「オベロンにそそのかされてダンジョン攻略に来たけど、結果オーライってことかな?
本当はこの旅で、俺たちのうちどちらか一人が選ばれるはずだったんだけど……」
ファビオが俺に頬を寄せる。
「そうだね。邪魔は入ったけど、こうしてティトと一緒にいられる未来を手に入れることができた。
ファビオも一緒だっていうのは想定外だけど、この状況を私は受け入れるつもりだよ……」
オルランドも俺に顔を近づけてきた。
「愛してます、ファビオ様」
俺はファビオにそっと口づけた。
「愛してます、オルランド様」
そして、オルランドにも同じように…‥。
「「愛してるよ、ティト!」」
そして俺は、二人分の愛を、手に入れた!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――で、それからどうなったかって?
「そうだな。正式な祝いの宴は王都に戻ってからにするとして、さきに三人だけでお祝いしよう。ティト、何が食べたい?
……しかし、夜のことを考えるとあまり胃に負担をかけすぎないない方が……」
二人が両側から俺の頬にキスしてきた。
「あの、俺……、お二人に謝らなければいけないことがあって……」
俺の言葉に、俺を抱きしめようとしていた二人は手を止めた。
「まさかっ、いまさら結婚はなし、とかいう気じゃないよな!? ティト!!」
「後生だから、これからフォンターナと暮らすとか、言わないでくれ! ティト!!」
涙目の二人。
「えっ!? いや、そういう、ことじゃ……」
「じゃあ、何を謝るって言うんだティト! 君は俺たちの気持ちを弄んだのかっ!? 愛してるって言ってくれたのは嘘か!?」
「私たちのテクニックに何か不満があったなら、遠慮せずに言ってほしい! これから3人で解決していこう!」
凄んでくる二人に、俺は大きくかぶりを振った。
「違うんですっ! 俺っ! 勝手にお二人のことを誤解してて! それで事態がややこしくなっちゃってて。
それで、お二人に謝らなければいけないと思ってたんです。
……俺が最初から、お二人の気持ちにちゃんと気づいていればこんなハチャメチャなことにならなかったと思うから…‥」
「あのオベロンが言っていたことか?」
オルランドの言葉に、俺は大きく頷いた。
「俺、お二人が、そういう意味で付き合ってるって、思っていたんです!! だから、俺なんて、単なる役立たずの数合わせだって、ずっと感じていて。
だからお邪魔虫の俺は、このパーティから早く離脱した方がいいって、そう考えてしまったんです!
……だって、お二人はいつもなにか俺にわからないように目配せとかしてたし、二人はいつも一緒の寝室だったし、
朝起きてきたとき、なぜか寝不足気味みたいだったし!!」
俺の言葉に、ファビオとオルランドは目を見合わせた。
「ハア……、なんちゅー誤解だよ。お願いだからやめてくれ。
ありえないにもほどがあるだろ! 一気に気持ちが萎える……」
ファビオはガクリと肩を落とす。
「ごめんなさい……」
「ティトは、私たちのことを一番に考えてくれていたんだね…‥。でも心配はいらないよ。
私がこの男をそういう目で見ることは、たとえ太陽が西から登ってもあり得ない!!」
オルランドは俺の頭を撫でた。
「その、目配せは、……アレだな。ティトに勝手に触ったり、抜け駆けしたりしないように、互いにアイコンタクトで確認してただけだ! 二人で話し合って決めていっためちゃくちゃ細かい取り決めもあったしな」
ファビオも負けじと俺の髪をくしゃくしゃにかき回した。
「二人が常に一緒の寝室だったのも、夜に勝手に抜け出して、ティトに夜這いをかけたりしないように、お互いを見張るためだよ。
終始寝不足だったのもそれ。先にぐっすり寝てしまったら、ファビオがこっそりティトに何をするかわからなかったからね」
「それはこっちのセリフ! オルランド、お前、いっぺん俺にスリープかけようとしただろ!
俺が気づかないとでも思ってたか!?」
「ファビオだって、オベロンからコッソリもらった眠り薬を、俺の葡萄酒に忍ばせようとしただろう?」
「……あれはっ……!」
「ぷっ、あははははっ!!!!」
「「??」」
二人のやりとりに、俺は噴き出していた。
「あはっ! ……すみません。だって、お二人があんまりにも息がぴったりだから!
俺、こうやってお二人が仲良くしているのを見てるのが、すごく好きです!」
「「仲が、いい……?」」
なにか不満げな様子の二人。
でも俺は満足だった。
だって、俺に取ってこの二人は、もう人生にかかすことのできないパートナーとなったのだから……。
「オベロンにそそのかされてダンジョン攻略に来たけど、結果オーライってことかな?
本当はこの旅で、俺たちのうちどちらか一人が選ばれるはずだったんだけど……」
ファビオが俺に頬を寄せる。
「そうだね。邪魔は入ったけど、こうしてティトと一緒にいられる未来を手に入れることができた。
ファビオも一緒だっていうのは想定外だけど、この状況を私は受け入れるつもりだよ……」
オルランドも俺に顔を近づけてきた。
「愛してます、ファビオ様」
俺はファビオにそっと口づけた。
「愛してます、オルランド様」
そして、オルランドにも同じように…‥。
「「愛してるよ、ティト!」」
そして俺は、二人分の愛を、手に入れた!!
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――で、それからどうなったかって?
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