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第54話
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その日の夕食は、食べた気がしなかった。
何を口に運んでも、自分を見つめるエドガーと目が合い、そのたびにセシルは目を伏せるのだった。
おかげで、この国随一だと評判の料理人がわざわざこの夜のために作ってくれた晩餐だというのに、何を口に入れても全く味がわからない始末だった。
エドガーにしても同じようなもので、なぜかさっきから水をがぶ飲みするばかりで、テーブルに並べられた豪華な料理はほとんど手つかずのまま下げられていくのだった。
そして、エドガーの意向なのか、なぜか酒類は一切供されることなく、食後はお茶が出された。
むしろ酔っぱらってしまいたい気分のセシルだったが、こうなってしまっては素面のまま、王と向き合うしかない。
「あの、そろそろ……、寝所へ……」
消え入りそうな声でセシルが言うと、エドガーはガタンと椅子を派手に鳴らして立ちあがった。
「行こう!」
「……っ」
セシルはぐっと唇を引き結んで耐えた。
前王の時には当たり前のようにしていた閨の相手だというのに、どうしてここまで恥ずかしいのか!?
なぜこうも、ぎくしゃくしてしまうのか!?
心なしか、周りの女官たちも、なにか必死でこらえているような表情をしているように見える!!
エドガーも緊張しているのか、言葉少なで、表情も硬いままだ。
――大丈夫なのだろうか? 私たちは、本当に無事に朝を迎えられるのか!?
だが、そんな心配は全くの杞憂であったと、寝台の上でセシルは嫌というほど思い知ることになる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あっ、嫌っ、駄目っ……!!」
「駄目? 何が駄目なのか、私に言ってみて?」
「あっ、違っ、いやっ、そこっ、あああああっ!」
――セシルは完全に、十も年下の若き王に翻弄されていた。
全裸に剥かれたセシルは、息も絶え絶えに敷布をつかむ。
もしかしたら自分が主導権を握ったほうがいいのだろうか――などと、さきほどまで考えていた自分が恨めしい。
エドガーは完全にセシルを支配していた。
発情期でもないというのに、セシルの全身がアルファの王を求めている。
拒絶の言葉を口にしていても、セシルの身体すべてが、エドガーを欲しがっていた。
全身に口づけを受け、余すところなく指で愛撫される。
溶かされた秘部は、早くアルファが欲しいと蜜を流し続けている。
「セシル……、美しい……、私だけのセシル……」
お互いの素肌が触れ合うと、これ以上ない多幸感にセシルは包まれた。
今まで、数えきれないほど先王と褥を共にしたが、こんな感覚は初めてだった。
「エドガー様っ、もっと……、もっと……」
溺れかけた子どものように、エドガーに縋りつく。
エドガーはゆっくりとあやすように、セシルの身体を開いていく。
「セシル、次の発情期で貴方を番にするよ」
開いた脚の間に身体を滑り込ませると、エドガーがセシルの裸の胸を撫でる。
「あっ、んっ、もうっ、焦らさ、ない、で……、今すぐっ、番にして、いいから……っ!」
酩酊したような感覚のまま、セシルがエドガーにねだる。
こんな風では、いざ発情期のときに自分はどうなってしまうのだろう?
セシルは自分自身が恐ろしくなった。
「もう、誰にも…‥、見せない……、もう誰にも……、絶対に触れさせない」
エドガーが低くつぶやくと、セシルの後ろの窄まりに己の剛直を押し当てる。
「ああっ、エドガー様っ、早く来てっ!」
「セシル、力を抜いて、息を吐いて……」
「んはっ、あっ、ぐっ……」
驚くほど固く重量をもったものが、セシルの内部に埋め込まれていく。
「ああ、熱いっ、くっ、絡みついてくるっ!」
「あっ、深いっ、奥っ、んんんっ!」
「ああ、セシル、私のセシル……っ」
エドガーが腰を進めながら、セシルと唇を合わせてくる。
「んっ、ああっ、ふうっ」
舌を絡めあい、夢中で吸い合う。
「セシル、力を、抜いて……、そう、もっと、深く入るよ」
エドガーがセシル自身に手を伸ばし、愛撫する。
「あっ、駄目ッ、すぐに出ちゃうっ、あああっ……」
「何度でも出していいから、もっと貴方を感じさせて……」
エドガーがセシルの片足を自分の肩にかけると、さらに接合を深めていった。
「んんっ、ああああっ、深いっ、ああっ、おかしく、なるっ……」
目の前が白くはじけるような感覚に、セシルの意識が一瞬かすむ。
「ああっ、いいよっ、セシル……っ、おかしくなって、私だけに……、もう絶対、誰にもっ……!」
エドガーがゆっくりと腰を引き、そしてまた深く深くセシルの内奥に入り込んでいく。
「こんなのっ、駄目っ、エドガー様っ、あっ、あああああああああ!」
「受け止めて、私の、思いを、全部……、もう絶対に、離したりしない!」
最奥まで突かれると、セシルの背が大きく反る。
それと同時に、エドガーは熱いしぶきをセシルの内部に放ったのだった。
何を口に運んでも、自分を見つめるエドガーと目が合い、そのたびにセシルは目を伏せるのだった。
おかげで、この国随一だと評判の料理人がわざわざこの夜のために作ってくれた晩餐だというのに、何を口に入れても全く味がわからない始末だった。
エドガーにしても同じようなもので、なぜかさっきから水をがぶ飲みするばかりで、テーブルに並べられた豪華な料理はほとんど手つかずのまま下げられていくのだった。
そして、エドガーの意向なのか、なぜか酒類は一切供されることなく、食後はお茶が出された。
むしろ酔っぱらってしまいたい気分のセシルだったが、こうなってしまっては素面のまま、王と向き合うしかない。
「あの、そろそろ……、寝所へ……」
消え入りそうな声でセシルが言うと、エドガーはガタンと椅子を派手に鳴らして立ちあがった。
「行こう!」
「……っ」
セシルはぐっと唇を引き結んで耐えた。
前王の時には当たり前のようにしていた閨の相手だというのに、どうしてここまで恥ずかしいのか!?
なぜこうも、ぎくしゃくしてしまうのか!?
心なしか、周りの女官たちも、なにか必死でこらえているような表情をしているように見える!!
エドガーも緊張しているのか、言葉少なで、表情も硬いままだ。
――大丈夫なのだろうか? 私たちは、本当に無事に朝を迎えられるのか!?
だが、そんな心配は全くの杞憂であったと、寝台の上でセシルは嫌というほど思い知ることになる。
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「あっ、嫌っ、駄目っ……!!」
「駄目? 何が駄目なのか、私に言ってみて?」
「あっ、違っ、いやっ、そこっ、あああああっ!」
――セシルは完全に、十も年下の若き王に翻弄されていた。
全裸に剥かれたセシルは、息も絶え絶えに敷布をつかむ。
もしかしたら自分が主導権を握ったほうがいいのだろうか――などと、さきほどまで考えていた自分が恨めしい。
エドガーは完全にセシルを支配していた。
発情期でもないというのに、セシルの全身がアルファの王を求めている。
拒絶の言葉を口にしていても、セシルの身体すべてが、エドガーを欲しがっていた。
全身に口づけを受け、余すところなく指で愛撫される。
溶かされた秘部は、早くアルファが欲しいと蜜を流し続けている。
「セシル……、美しい……、私だけのセシル……」
お互いの素肌が触れ合うと、これ以上ない多幸感にセシルは包まれた。
今まで、数えきれないほど先王と褥を共にしたが、こんな感覚は初めてだった。
「エドガー様っ、もっと……、もっと……」
溺れかけた子どものように、エドガーに縋りつく。
エドガーはゆっくりとあやすように、セシルの身体を開いていく。
「セシル、次の発情期で貴方を番にするよ」
開いた脚の間に身体を滑り込ませると、エドガーがセシルの裸の胸を撫でる。
「あっ、んっ、もうっ、焦らさ、ない、で……、今すぐっ、番にして、いいから……っ!」
酩酊したような感覚のまま、セシルがエドガーにねだる。
こんな風では、いざ発情期のときに自分はどうなってしまうのだろう?
セシルは自分自身が恐ろしくなった。
「もう、誰にも…‥、見せない……、もう誰にも……、絶対に触れさせない」
エドガーが低くつぶやくと、セシルの後ろの窄まりに己の剛直を押し当てる。
「ああっ、エドガー様っ、早く来てっ!」
「セシル、力を抜いて、息を吐いて……」
「んはっ、あっ、ぐっ……」
驚くほど固く重量をもったものが、セシルの内部に埋め込まれていく。
「ああ、熱いっ、くっ、絡みついてくるっ!」
「あっ、深いっ、奥っ、んんんっ!」
「ああ、セシル、私のセシル……っ」
エドガーが腰を進めながら、セシルと唇を合わせてくる。
「んっ、ああっ、ふうっ」
舌を絡めあい、夢中で吸い合う。
「セシル、力を、抜いて……、そう、もっと、深く入るよ」
エドガーがセシル自身に手を伸ばし、愛撫する。
「あっ、駄目ッ、すぐに出ちゃうっ、あああっ……」
「何度でも出していいから、もっと貴方を感じさせて……」
エドガーがセシルの片足を自分の肩にかけると、さらに接合を深めていった。
「んんっ、ああああっ、深いっ、ああっ、おかしく、なるっ……」
目の前が白くはじけるような感覚に、セシルの意識が一瞬かすむ。
「ああっ、いいよっ、セシル……っ、おかしくなって、私だけに……、もう絶対、誰にもっ……!」
エドガーがゆっくりと腰を引き、そしてまた深く深くセシルの内奥に入り込んでいく。
「こんなのっ、駄目っ、エドガー様っ、あっ、あああああああああ!」
「受け止めて、私の、思いを、全部……、もう絶対に、離したりしない!」
最奥まで突かれると、セシルの背が大きく反る。
それと同時に、エドガーは熱いしぶきをセシルの内部に放ったのだった。
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