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第7話

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「こんなことっ……、いったい何の意味があるんですかっ!?」

 ラッセル大臣の両手が、セシルの肌を這いまわっている。身体の敏感な部分に触れると、嫌でもセシルの息があがっていく。

「やはりまだ噛み痕の影響が残っているのでしょうかね?
フェロモンを感じないようだ」

 ラッセル大臣は、セシルの髪をかき上げると、そのうなじに残っているジャックス王の噛み痕を確かめた。

「やめてください、どうか、どうか……」

 大臣の指が、セシルの後孔にたどり着いたとき、セシルは瞳に涙をためて懇願した。


「お可哀想に、セシル様。たとえオメガでも、女性ならばこんな酷い仕打ちは受けないものを……」

 優しい声音。だがラッセル大臣は容赦なく、セシルの内部に指を差し入れた。


「んっ、くぅっ……」

「おや、感じますか? だが、それほど濡れているわけでもないようだ……、まだ番の契約の影響が残っているのでしょう。
ほかのアルファへの抵抗感がありますね」

 まるでセシルをいたわるような言い方だったが、ラッセル大臣の瞳は嗜虐心で揺れていた。


「だが、もっと感じれば、フェロモンも誘発されるかもしれない。遅かれ早かれ、いずれ王の影響はなくなっていくのですから……」

「いやっ、やめてっ、お願いっ……」

 セシルの叫びに、大臣はますます顔をほころばせると、指を増やして抜き差しを始めた。


「ああっ、あっ、あああああっ!」

「いい声だ。さすがは、王のオメガだ。私も反応してきましたよっ!」

「やああああっ……」

「ほら、嫌がっていても、セシル様も感じてきているようですよ。ほらお前、しっかり記録しろ!」

 大臣にうながされ、傍らの医師があわてて書類に記入していく。

「これもすべてセシル様と、エドガー新王のためなのですよ」

 えぐるようにセシルの内部を探りながら、ラッセル大臣は耳元でささやく。

「嫌だっ、嫌だっ、なんでっ……」

「アルファの大臣である私が、セシル様がオメガであると証明しなければ、婚姻は成立しないのですから……」



 ラッセル大臣の口ぶりから言うと、この残酷な習わしは、オメガの男性が王に嫁ぐ場合のみ行われるようだ。

 その昔、オメガと偽って王に嫁ぎ、その権力を手にしようとした男がいたことから、このような婚姻前の「オメガであること」の確認が行われることになったという。

 セシルはジャックス王に寵愛されていたが、あくまで正規の妻でなく「愛妾」扱いであったため、王宮に入るときにもこのような手続きはなかった。



「エドガー殿下も考えられましたね。
己の正妃にしてしまえば、誰も手を出すことができなくなる……。
つまりは、セシル様を煮ようが焼こうが、すべては殿下のお心次第ということです。
じっくり時間をかけて、セシル様をいたぶり、楽しまれるおつもりなのでしょう」

 嗜虐的な視線。そして含み笑い。

 セシルは、エドガー王太子の目的を知り、青ざめる。

 エドガーは、セシルを正妃にし、誰にも邪魔されずにとことんまでいたぶるつもりなのだ。
 きっと今受けているこの仕打ちも、セシルへの復讐の一環に違いなかった。

 「セシル様、抵抗をやめて素直になれれば、もっと楽になれるのですよ」

 ラッセル大臣が、セシルの立ちあがりかけた陰茎を弄ぶ。

「触るなっ! やめろっ! もう……っ、あああ!!」

 
「――もう十分だろう」

 低い声がし、セシルの身体にマントがかけられた。

「……??」

「おいっ、邪魔をするな、この若造がっ!」

 ロイがラッセル大臣を後ろから羽交い絞めにしていた。




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