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【番外編】
聖騎士テオドールの華麗なる一日 その1
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テオドール♡ジュールの新婚・番外編(テオドール視点)です。
どうぞよろしくおねがいいたします♡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
初めて『彼』に会ったとき、なんて悲しそうな目をした人だろうと思った。
でも、その人の温かい腕に抱きしめられて気づいた。
――この人は、本当はとても強い人なのだと。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ジュール」
呼びかけて、そのすべらかな頬に手を伸ばす。
自分よりも6歳も年上だというのに、いまだに子供のように思えてしまうときがあるから不思議だ。
「ジュール」
テオドールがもう一度呼びかけると、ジュールは眉根を寄せ、うーんと唸った。
「ジュール、朝だよ。起きて。一緒に朝食にしよう」
テオドールはその癖のある金茶の髪をかきあげてやる。
ジュールはその手を払うようなしぐさをすると、そのままシーツにくるまってしまう。
「ジュール……」
「嫌だ! 絶対、起きない」
ジュールは頭からシーツをかぶってしまった。
「ジュール、機嫌を直して。美味しい木苺のタルトがあるよ」
テオドールはシーツの上から、ジュールの背中を撫でた。
「いらない!」
「ジュール……」
「もうっ、触るなっ! 俺は、今回という今回は、もう、本当の本当に、怒ってるんだぞ!
あんなに明け方までずっと……。俺、何も悪くないのにっ! テオってば、あんなにめちゃくちゃに……っ!」
「もとはといえばジュールが悪いんだよ。だって、俺にあんなこと言うなんて!! ……俺はすごく傷ついたよ…‥、ジュール」
白い芋虫のように丸まってしまったジュールを、テオドールは包み込むようにして抱きしめた。
――結婚して約3か月。
聖騎士としての責務を果たすためにも聖教会に居を移せとしつこく迫る司教と、いったいいつになったら本宅に住むんだと急かす義父をなんとかかわしながら、いまだテオドールとジュールはダンデス家の別宅に二人で暮らしていた。
(ここじゃないと、こんな好き勝手はできないしな)
テオドールはジュールを自分の膝に抱きかかえると、そのシーツをゆっくりとはいだ。
「……」
中から赤い顔をした、これ以上なく愛しい伴侶が顔を出す。
(こんなことをして、結果としてますます俺を煽っていることには全然気づいていないんだろうな……)
嘆息しながらも、テオドールはジュールの唇にキスをする。
「テオっ……!」
とがめるようなジュールの顔。
(ああ、もう少し時間が早かったら、無理矢理押し倒して思う存分啼かせることができたのに……)
駄目だと思いつつも、口づけはどんどん深くなっていく。
シーツを取りさると、ジュールの白い肢体があらわになった。あちこちに散る赤い花びらのような痕は、もちろんテオドールが昨夜つけたものだ。
「ジュール、じゃあ、今から俺に本当に欲しいものを教えて?
教えてくれたら……、今晩は絶対に無茶はさせないって約束するから……ね?」
その肌を手のひらでなぞっていく。
「あ、あ……、やだ……」
ジュールの息は上がり、その肌は桃色に上気していく。
(くそっ、これでお預けなんて、生殺しそのものじゃないかっ!)
「テオ……、ダメ、あんなにいっぱいしたのに、朝からなんて、もう、できないよぉ……」
言葉とは逆に、全身で誘ってくるかのようなジュールの姿態に、テオドールはめまいがした。
(これで抵抗しているつもりなんだから、タチが悪すぎる!!!!)
そして、我慢の限界を迎えたテオドールは、ついにジュールの脚を割り開いてしまった。
「テオっ、ダメだって! テオっ……! んあっ、は、あ、あああ!」
押し入ってしまえば、こっちのものだった。
すでにぐずぐずに溶けてしまっていたそこは、あっけなくテオドールを飲み込むと、きゅうきゅうと締め付けてきた。
「くっ、ジュールっ、最高、だ……っ」
両足を肩にかけると、おそろいの金の指輪がはまったジュールの指と己の指を絡ませて、がむしゃらに突いた。
「あっ、あっ、あっ、テオっ、テオっ、ダメっ、そんなに、深くっ、ああ……っ!」
(司教が言っていた重要な会議とやらは、確か午後からだったな……。なら、それに間に合えば十分だ!)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「もうっ、テオなんて大っ嫌い!
俺、しばらく本宅で暮らすからっ!」
バチン、と大きな音をたててテオドールの頬が鳴った。
差し出したはずのポーションの瓶は、床にコロコロと転がっていく……。
ジュールに本気でたたかれたのは、おそらくこれで2回目。
前回もかなりこたえたが、もちろん今回もテオドールへ与えた衝撃は大きかった。
「……ジュール、どうして……」
テオドールは叩かれた頬に手のひらをあてる。
「どうして!? そんなこともわからないのかよっ!?
じゃあわかるまで、一人でじっくり反省しろっ!」
そしてジュールは、その言葉通り、あっという間に身の回りのものをまとめると、馬車で本宅へと戻ってしまったのだった。
テオドール♡ジュールの新婚・番外編(テオドール視点)です。
どうぞよろしくおねがいいたします♡
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初めて『彼』に会ったとき、なんて悲しそうな目をした人だろうと思った。
でも、その人の温かい腕に抱きしめられて気づいた。
――この人は、本当はとても強い人なのだと。
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「ジュール」
呼びかけて、そのすべらかな頬に手を伸ばす。
自分よりも6歳も年上だというのに、いまだに子供のように思えてしまうときがあるから不思議だ。
「ジュール」
テオドールがもう一度呼びかけると、ジュールは眉根を寄せ、うーんと唸った。
「ジュール、朝だよ。起きて。一緒に朝食にしよう」
テオドールはその癖のある金茶の髪をかきあげてやる。
ジュールはその手を払うようなしぐさをすると、そのままシーツにくるまってしまう。
「ジュール……」
「嫌だ! 絶対、起きない」
ジュールは頭からシーツをかぶってしまった。
「ジュール、機嫌を直して。美味しい木苺のタルトがあるよ」
テオドールはシーツの上から、ジュールの背中を撫でた。
「いらない!」
「ジュール……」
「もうっ、触るなっ! 俺は、今回という今回は、もう、本当の本当に、怒ってるんだぞ!
あんなに明け方までずっと……。俺、何も悪くないのにっ! テオってば、あんなにめちゃくちゃに……っ!」
「もとはといえばジュールが悪いんだよ。だって、俺にあんなこと言うなんて!! ……俺はすごく傷ついたよ…‥、ジュール」
白い芋虫のように丸まってしまったジュールを、テオドールは包み込むようにして抱きしめた。
――結婚して約3か月。
聖騎士としての責務を果たすためにも聖教会に居を移せとしつこく迫る司教と、いったいいつになったら本宅に住むんだと急かす義父をなんとかかわしながら、いまだテオドールとジュールはダンデス家の別宅に二人で暮らしていた。
(ここじゃないと、こんな好き勝手はできないしな)
テオドールはジュールを自分の膝に抱きかかえると、そのシーツをゆっくりとはいだ。
「……」
中から赤い顔をした、これ以上なく愛しい伴侶が顔を出す。
(こんなことをして、結果としてますます俺を煽っていることには全然気づいていないんだろうな……)
嘆息しながらも、テオドールはジュールの唇にキスをする。
「テオっ……!」
とがめるようなジュールの顔。
(ああ、もう少し時間が早かったら、無理矢理押し倒して思う存分啼かせることができたのに……)
駄目だと思いつつも、口づけはどんどん深くなっていく。
シーツを取りさると、ジュールの白い肢体があらわになった。あちこちに散る赤い花びらのような痕は、もちろんテオドールが昨夜つけたものだ。
「ジュール、じゃあ、今から俺に本当に欲しいものを教えて?
教えてくれたら……、今晩は絶対に無茶はさせないって約束するから……ね?」
その肌を手のひらでなぞっていく。
「あ、あ……、やだ……」
ジュールの息は上がり、その肌は桃色に上気していく。
(くそっ、これでお預けなんて、生殺しそのものじゃないかっ!)
「テオ……、ダメ、あんなにいっぱいしたのに、朝からなんて、もう、できないよぉ……」
言葉とは逆に、全身で誘ってくるかのようなジュールの姿態に、テオドールはめまいがした。
(これで抵抗しているつもりなんだから、タチが悪すぎる!!!!)
そして、我慢の限界を迎えたテオドールは、ついにジュールの脚を割り開いてしまった。
「テオっ、ダメだって! テオっ……! んあっ、は、あ、あああ!」
押し入ってしまえば、こっちのものだった。
すでにぐずぐずに溶けてしまっていたそこは、あっけなくテオドールを飲み込むと、きゅうきゅうと締め付けてきた。
「くっ、ジュールっ、最高、だ……っ」
両足を肩にかけると、おそろいの金の指輪がはまったジュールの指と己の指を絡ませて、がむしゃらに突いた。
「あっ、あっ、あっ、テオっ、テオっ、ダメっ、そんなに、深くっ、ああ……っ!」
(司教が言っていた重要な会議とやらは、確か午後からだったな……。なら、それに間に合えば十分だ!)
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「もうっ、テオなんて大っ嫌い!
俺、しばらく本宅で暮らすからっ!」
バチン、と大きな音をたててテオドールの頬が鳴った。
差し出したはずのポーションの瓶は、床にコロコロと転がっていく……。
ジュールに本気でたたかれたのは、おそらくこれで2回目。
前回もかなりこたえたが、もちろん今回もテオドールへ与えた衝撃は大きかった。
「……ジュール、どうして……」
テオドールは叩かれた頬に手のひらをあてる。
「どうして!? そんなこともわからないのかよっ!?
じゃあわかるまで、一人でじっくり反省しろっ!」
そしてジュールは、その言葉通り、あっという間に身の回りのものをまとめると、馬車で本宅へと戻ってしまったのだった。
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