151 / 165
【番外編】
聖騎士テオドールの華麗なる一日 その1
しおりを挟む
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
テオドール♡ジュールの新婚・番外編(テオドール視点)です。
どうぞよろしくおねがいいたします♡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
初めて『彼』に会ったとき、なんて悲しそうな目をした人だろうと思った。
でも、その人の温かい腕に抱きしめられて気づいた。
――この人は、本当はとても強い人なのだと。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ジュール」
呼びかけて、そのすべらかな頬に手を伸ばす。
自分よりも6歳も年上だというのに、いまだに子供のように思えてしまうときがあるから不思議だ。
「ジュール」
テオドールがもう一度呼びかけると、ジュールは眉根を寄せ、うーんと唸った。
「ジュール、朝だよ。起きて。一緒に朝食にしよう」
テオドールはその癖のある金茶の髪をかきあげてやる。
ジュールはその手を払うようなしぐさをすると、そのままシーツにくるまってしまう。
「ジュール……」
「嫌だ! 絶対、起きない」
ジュールは頭からシーツをかぶってしまった。
「ジュール、機嫌を直して。美味しい木苺のタルトがあるよ」
テオドールはシーツの上から、ジュールの背中を撫でた。
「いらない!」
「ジュール……」
「もうっ、触るなっ! 俺は、今回という今回は、もう、本当の本当に、怒ってるんだぞ!
あんなに明け方までずっと……。俺、何も悪くないのにっ! テオってば、あんなにめちゃくちゃに……っ!」
「もとはといえばジュールが悪いんだよ。だって、俺にあんなこと言うなんて!! ……俺はすごく傷ついたよ…‥、ジュール」
白い芋虫のように丸まってしまったジュールを、テオドールは包み込むようにして抱きしめた。
――結婚して約3か月。
聖騎士としての責務を果たすためにも聖教会に居を移せとしつこく迫る司教と、いったいいつになったら本宅に住むんだと急かす義父をなんとかかわしながら、いまだテオドールとジュールはダンデス家の別宅に二人で暮らしていた。
(ここじゃないと、こんな好き勝手はできないしな)
テオドールはジュールを自分の膝に抱きかかえると、そのシーツをゆっくりとはいだ。
「……」
中から赤い顔をした、これ以上なく愛しい伴侶が顔を出す。
(こんなことをして、結果としてますます俺を煽っていることには全然気づいていないんだろうな……)
嘆息しながらも、テオドールはジュールの唇にキスをする。
「テオっ……!」
とがめるようなジュールの顔。
(ああ、もう少し時間が早かったら、無理矢理押し倒して思う存分啼かせることができたのに……)
駄目だと思いつつも、口づけはどんどん深くなっていく。
シーツを取りさると、ジュールの白い肢体があらわになった。あちこちに散る赤い花びらのような痕は、もちろんテオドールが昨夜つけたものだ。
「ジュール、じゃあ、今から俺に本当に欲しいものを教えて?
教えてくれたら……、今晩は絶対に無茶はさせないって約束するから……ね?」
その肌を手のひらでなぞっていく。
「あ、あ……、やだ……」
ジュールの息は上がり、その肌は桃色に上気していく。
(くそっ、これでお預けなんて、生殺しそのものじゃないかっ!)
「テオ……、ダメ、あんなにいっぱいしたのに、朝からなんて、もう、できないよぉ……」
言葉とは逆に、全身で誘ってくるかのようなジュールの姿態に、テオドールはめまいがした。
(これで抵抗しているつもりなんだから、タチが悪すぎる!!!!)
そして、我慢の限界を迎えたテオドールは、ついにジュールの脚を割り開いてしまった。
「テオっ、ダメだって! テオっ……! んあっ、は、あ、あああ!」
押し入ってしまえば、こっちのものだった。
すでにぐずぐずに溶けてしまっていたそこは、あっけなくテオドールを飲み込むと、きゅうきゅうと締め付けてきた。
「くっ、ジュールっ、最高、だ……っ」
両足を肩にかけると、おそろいの金の指輪がはまったジュールの指と己の指を絡ませて、がむしゃらに突いた。
「あっ、あっ、あっ、テオっ、テオっ、ダメっ、そんなに、深くっ、ああ……っ!」
(司教が言っていた重要な会議とやらは、確か午後からだったな……。なら、それに間に合えば十分だ!)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「もうっ、テオなんて大っ嫌い!
俺、しばらく本宅で暮らすからっ!」
バチン、と大きな音をたててテオドールの頬が鳴った。
差し出したはずのポーションの瓶は、床にコロコロと転がっていく……。
ジュールに本気でたたかれたのは、おそらくこれで2回目。
前回もかなりこたえたが、もちろん今回もテオドールへ与えた衝撃は大きかった。
「……ジュール、どうして……」
テオドールは叩かれた頬に手のひらをあてる。
「どうして!? そんなこともわからないのかよっ!?
じゃあわかるまで、一人でじっくり反省しろっ!」
そしてジュールは、その言葉通り、あっという間に身の回りのものをまとめると、馬車で本宅へと戻ってしまったのだった。
テオドール♡ジュールの新婚・番外編(テオドール視点)です。
どうぞよろしくおねがいいたします♡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
初めて『彼』に会ったとき、なんて悲しそうな目をした人だろうと思った。
でも、その人の温かい腕に抱きしめられて気づいた。
――この人は、本当はとても強い人なのだと。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ジュール」
呼びかけて、そのすべらかな頬に手を伸ばす。
自分よりも6歳も年上だというのに、いまだに子供のように思えてしまうときがあるから不思議だ。
「ジュール」
テオドールがもう一度呼びかけると、ジュールは眉根を寄せ、うーんと唸った。
「ジュール、朝だよ。起きて。一緒に朝食にしよう」
テオドールはその癖のある金茶の髪をかきあげてやる。
ジュールはその手を払うようなしぐさをすると、そのままシーツにくるまってしまう。
「ジュール……」
「嫌だ! 絶対、起きない」
ジュールは頭からシーツをかぶってしまった。
「ジュール、機嫌を直して。美味しい木苺のタルトがあるよ」
テオドールはシーツの上から、ジュールの背中を撫でた。
「いらない!」
「ジュール……」
「もうっ、触るなっ! 俺は、今回という今回は、もう、本当の本当に、怒ってるんだぞ!
あんなに明け方までずっと……。俺、何も悪くないのにっ! テオってば、あんなにめちゃくちゃに……っ!」
「もとはといえばジュールが悪いんだよ。だって、俺にあんなこと言うなんて!! ……俺はすごく傷ついたよ…‥、ジュール」
白い芋虫のように丸まってしまったジュールを、テオドールは包み込むようにして抱きしめた。
――結婚して約3か月。
聖騎士としての責務を果たすためにも聖教会に居を移せとしつこく迫る司教と、いったいいつになったら本宅に住むんだと急かす義父をなんとかかわしながら、いまだテオドールとジュールはダンデス家の別宅に二人で暮らしていた。
(ここじゃないと、こんな好き勝手はできないしな)
テオドールはジュールを自分の膝に抱きかかえると、そのシーツをゆっくりとはいだ。
「……」
中から赤い顔をした、これ以上なく愛しい伴侶が顔を出す。
(こんなことをして、結果としてますます俺を煽っていることには全然気づいていないんだろうな……)
嘆息しながらも、テオドールはジュールの唇にキスをする。
「テオっ……!」
とがめるようなジュールの顔。
(ああ、もう少し時間が早かったら、無理矢理押し倒して思う存分啼かせることができたのに……)
駄目だと思いつつも、口づけはどんどん深くなっていく。
シーツを取りさると、ジュールの白い肢体があらわになった。あちこちに散る赤い花びらのような痕は、もちろんテオドールが昨夜つけたものだ。
「ジュール、じゃあ、今から俺に本当に欲しいものを教えて?
教えてくれたら……、今晩は絶対に無茶はさせないって約束するから……ね?」
その肌を手のひらでなぞっていく。
「あ、あ……、やだ……」
ジュールの息は上がり、その肌は桃色に上気していく。
(くそっ、これでお預けなんて、生殺しそのものじゃないかっ!)
「テオ……、ダメ、あんなにいっぱいしたのに、朝からなんて、もう、できないよぉ……」
言葉とは逆に、全身で誘ってくるかのようなジュールの姿態に、テオドールはめまいがした。
(これで抵抗しているつもりなんだから、タチが悪すぎる!!!!)
そして、我慢の限界を迎えたテオドールは、ついにジュールの脚を割り開いてしまった。
「テオっ、ダメだって! テオっ……! んあっ、は、あ、あああ!」
押し入ってしまえば、こっちのものだった。
すでにぐずぐずに溶けてしまっていたそこは、あっけなくテオドールを飲み込むと、きゅうきゅうと締め付けてきた。
「くっ、ジュールっ、最高、だ……っ」
両足を肩にかけると、おそろいの金の指輪がはまったジュールの指と己の指を絡ませて、がむしゃらに突いた。
「あっ、あっ、あっ、テオっ、テオっ、ダメっ、そんなに、深くっ、ああ……っ!」
(司教が言っていた重要な会議とやらは、確か午後からだったな……。なら、それに間に合えば十分だ!)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「もうっ、テオなんて大っ嫌い!
俺、しばらく本宅で暮らすからっ!」
バチン、と大きな音をたててテオドールの頬が鳴った。
差し出したはずのポーションの瓶は、床にコロコロと転がっていく……。
ジュールに本気でたたかれたのは、おそらくこれで2回目。
前回もかなりこたえたが、もちろん今回もテオドールへ与えた衝撃は大きかった。
「……ジュール、どうして……」
テオドールは叩かれた頬に手のひらをあてる。
「どうして!? そんなこともわからないのかよっ!?
じゃあわかるまで、一人でじっくり反省しろっ!」
そしてジュールは、その言葉通り、あっという間に身の回りのものをまとめると、馬車で本宅へと戻ってしまったのだった。
112
お気に入りに追加
1,457
あなたにおすすめの小説
振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話
雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。
諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。
実は翔には諒平に隠している事実があり——。
諒平(20)攻め。大学生。
翔(20) 受け。大学生。
慶介(21)翔と同じサークルの友人。
【完結】お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません
八神紫音
BL
やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。
そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
自分のことを疎んでいる年下の婚約者にやっとの思いで別れを告げたが、なんだか様子がおかしい。
槿 資紀
BL
年下×年上
横書きでのご鑑賞をおすすめします。
イニテウム王国ルーベルンゲン辺境伯、ユリウスは、幼馴染で5歳年下の婚約者である、イニテウム王国の王位継承権第一位のテオドール王子に長年想いを寄せていたが、テオドールからは冷遇されていた。
自身の故郷の危機に立ち向かうため、やむを得ず2年の別離を経たのち、すっかりテオドールとの未来を諦めるに至ったユリウスは、遂に自身の想いを断ち切り、最愛の婚約者に別れを告げる。
しかし、待っていたのは、全く想像だにしない展開で――――――。
展開に無理やり要素が含まれます。苦手な方はご注意ください。
内容のうち8割はやや過激なR-18の話です。
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる