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【番外編】
シャルロット王女のサプライズパーティ その2
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「ええっ!? じゃあテオは俺の代わりに、俺の洋服を自分の側に置いておきたかったって、そういうこと?」
「はい……、大変申し訳ありません」
うなだれるテオドール。
羽織っただけのシャツからは、見事な筋肉がちらちら見えていて、なんだか淫靡な雰囲気ですらある。
テオドールによると、俺がエディマに行っていた間、寂しくてたまらなくなったテオドールはある日、俺の部屋のクローゼットに入った。そして、そこで俺がよく着ていた洋服を目の当たりにして、不思議な感覚に包まれたという。そして、俺の服を手元に置くことで、俺がそばにいるような気がして、そこからずっと俺の洋服を持ち歩く生活が続いていた……らしい。
「だから、俺の服は全部新しくなってたんだね。わざわざそんなこと、する必要なかったのに……」
だが、俺はお気に入りだった青い上着を手にして、ふと違和感を覚えた。
――あまりにも、くたびれている。
テオドールは俺と目を合わせないように、ずっと下を向いている。
「あのさ、テオ。テオはこの洋服をどうしてたの? ずっと自分のクローゼットにかけていただけ?」
「……」
返答は、ない。
ということは、たぶん、きっと、……そういうことなのだろう。
テオドールは、きっと俺の洋服を俺の代わりとして、あれやこれや……。
「叔父様っ! 叔父様は俺が嫌いになりましたかっ!?
叔父様の洋服にすら手をかけるような俺に、叔父様は幻滅されたでしょうかっ!?」
「……っ!」
真剣な瞳で見つめられ、俺は思わず顎を引いた。
「俺はっ、叔父様のことを恋しく思うがあまり……っ、叔父様に対して不敬なことを……っ!
俺はっ、叔父様に嫌悪されて当然な人間ですっ!!」
両手を床につき、肩を落とすテオドールを、俺は思わず抱きしめていた。
「ううん、テオっ! テオが謝る必要なんて、ないよ!
悪いのはあんな事件に巻き込まれてテオと会えなくなった俺だし、それに……、
俺はちょっとうれしい。テオがそこまで、俺のことを想ってくれていたなんて!」
俺の言葉に顔をあげたテオドールの光り輝くような笑顔!!
「叔父様っ、愛してます!」
きつく、抱きしめられる。
「俺もっ、愛してる、テオ!」
テオドールの体温が、俺に伝わってくる……。
――だが俺はこの時知らなかった。
聖教会の聖騎士執務室のテオドール専用ロッカーには、昔俺がお気に入りだったネグリジェがいまだそこに掛けられており、
偶然それを目にしてしまった団員たちから、俺とテオドールの性癖についてひそひそされているいうことに!!
「叔父様、夜までなんて、もう、待ちきれません、叔父様……」
テオドールは俺を軽々と抱き上げると、そのまま寝台に移動した。
唇が触れあうと、お互いにもう歯止めがきかなくなった。
「テオっ、好き…‥、全部好きっ!」
俺はテオドールのシャツを脱がせ、その美しい身体を撫でた。
テオドールは俺の顔中にキスの雨を降らせた。
「叔父様っ……、可愛い叔父様を、全部、俺に見せて……」
テオドールが俺のズボンに手をかけたとき……、
「ジュール様っ、テオドール坊ちゃまぁ! 王室から急ぎの手紙が届きましたよーっ!」
ドンドンと無遠慮に扉がノックされた。
「……チッ!」
舌打ちとともに、テオドールが俺の上からどく。
またもやテオドールにすっかり流されかけていた俺は、エマによって助けられたのだった……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
≪招待状≫
朝摘みのブルーベリーの美味しい季節となりました。お二人にはお変わりなくお過ごしのこととお慶び申し上げます。
さて この度 黒の聖騎士の婚約を記念して、ちょっとしたサプライズパーティーを催すことといたしました。
ご多忙とは存じますが ぜひご出席くださるようお願い申し上げます。 ~シャルロット~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サプライズパーティ?
俺の頭のなかはハテナでいっぱいになる。
サプライズパーティとは、事前告知なく、突然祝われてびっくりする、というパーティのはずである。ということは、これはもはやサプライズパーティではない。
しかしシャルロット王女がサプライズパーティであると断言しているのであれば、きっとなにか理由があるのだろう。
――なにか招待客をびっくりさせるような仕掛けがあるとか……?
そして俺は、パーティの開催日時を確かめてまたびっくりした。
なんとパーティは今日の午後! 今から急いで準備して、ちょうど間に合うくらいだ。
当然俺は、王女からのご招待を断れるような立場にない!
「テオ、部屋の片づけは後回しだ! すぐに出発しよう!」
「……」
不満そうなテオドール。俺と二人でいる時間を邪魔されたとでも思っているのだろう。きっと。
俺はそんなテオドールを急かして、黒の聖騎士団の制服を着せ、俺自身はテオドールがそろえてくれた上等の外出着に着替えた。
馬車を走らせ、王宮に向かった俺たち。
想像通り、王室の豪華な応接室では、シャルロット殿下以外にも3人のお友達のご令嬢が、満面の笑みで待ち構えていた。
「はい……、大変申し訳ありません」
うなだれるテオドール。
羽織っただけのシャツからは、見事な筋肉がちらちら見えていて、なんだか淫靡な雰囲気ですらある。
テオドールによると、俺がエディマに行っていた間、寂しくてたまらなくなったテオドールはある日、俺の部屋のクローゼットに入った。そして、そこで俺がよく着ていた洋服を目の当たりにして、不思議な感覚に包まれたという。そして、俺の服を手元に置くことで、俺がそばにいるような気がして、そこからずっと俺の洋服を持ち歩く生活が続いていた……らしい。
「だから、俺の服は全部新しくなってたんだね。わざわざそんなこと、する必要なかったのに……」
だが、俺はお気に入りだった青い上着を手にして、ふと違和感を覚えた。
――あまりにも、くたびれている。
テオドールは俺と目を合わせないように、ずっと下を向いている。
「あのさ、テオ。テオはこの洋服をどうしてたの? ずっと自分のクローゼットにかけていただけ?」
「……」
返答は、ない。
ということは、たぶん、きっと、……そういうことなのだろう。
テオドールは、きっと俺の洋服を俺の代わりとして、あれやこれや……。
「叔父様っ! 叔父様は俺が嫌いになりましたかっ!?
叔父様の洋服にすら手をかけるような俺に、叔父様は幻滅されたでしょうかっ!?」
「……っ!」
真剣な瞳で見つめられ、俺は思わず顎を引いた。
「俺はっ、叔父様のことを恋しく思うがあまり……っ、叔父様に対して不敬なことを……っ!
俺はっ、叔父様に嫌悪されて当然な人間ですっ!!」
両手を床につき、肩を落とすテオドールを、俺は思わず抱きしめていた。
「ううん、テオっ! テオが謝る必要なんて、ないよ!
悪いのはあんな事件に巻き込まれてテオと会えなくなった俺だし、それに……、
俺はちょっとうれしい。テオがそこまで、俺のことを想ってくれていたなんて!」
俺の言葉に顔をあげたテオドールの光り輝くような笑顔!!
「叔父様っ、愛してます!」
きつく、抱きしめられる。
「俺もっ、愛してる、テオ!」
テオドールの体温が、俺に伝わってくる……。
――だが俺はこの時知らなかった。
聖教会の聖騎士執務室のテオドール専用ロッカーには、昔俺がお気に入りだったネグリジェがいまだそこに掛けられており、
偶然それを目にしてしまった団員たちから、俺とテオドールの性癖についてひそひそされているいうことに!!
「叔父様、夜までなんて、もう、待ちきれません、叔父様……」
テオドールは俺を軽々と抱き上げると、そのまま寝台に移動した。
唇が触れあうと、お互いにもう歯止めがきかなくなった。
「テオっ、好き…‥、全部好きっ!」
俺はテオドールのシャツを脱がせ、その美しい身体を撫でた。
テオドールは俺の顔中にキスの雨を降らせた。
「叔父様っ……、可愛い叔父様を、全部、俺に見せて……」
テオドールが俺のズボンに手をかけたとき……、
「ジュール様っ、テオドール坊ちゃまぁ! 王室から急ぎの手紙が届きましたよーっ!」
ドンドンと無遠慮に扉がノックされた。
「……チッ!」
舌打ちとともに、テオドールが俺の上からどく。
またもやテオドールにすっかり流されかけていた俺は、エマによって助けられたのだった……。
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≪招待状≫
朝摘みのブルーベリーの美味しい季節となりました。お二人にはお変わりなくお過ごしのこととお慶び申し上げます。
さて この度 黒の聖騎士の婚約を記念して、ちょっとしたサプライズパーティーを催すことといたしました。
ご多忙とは存じますが ぜひご出席くださるようお願い申し上げます。 ~シャルロット~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サプライズパーティ?
俺の頭のなかはハテナでいっぱいになる。
サプライズパーティとは、事前告知なく、突然祝われてびっくりする、というパーティのはずである。ということは、これはもはやサプライズパーティではない。
しかしシャルロット王女がサプライズパーティであると断言しているのであれば、きっとなにか理由があるのだろう。
――なにか招待客をびっくりさせるような仕掛けがあるとか……?
そして俺は、パーティの開催日時を確かめてまたびっくりした。
なんとパーティは今日の午後! 今から急いで準備して、ちょうど間に合うくらいだ。
当然俺は、王女からのご招待を断れるような立場にない!
「テオ、部屋の片づけは後回しだ! すぐに出発しよう!」
「……」
不満そうなテオドール。俺と二人でいる時間を邪魔されたとでも思っているのだろう。きっと。
俺はそんなテオドールを急かして、黒の聖騎士団の制服を着せ、俺自身はテオドールがそろえてくれた上等の外出着に着替えた。
馬車を走らせ、王宮に向かった俺たち。
想像通り、王室の豪華な応接室では、シャルロット殿下以外にも3人のお友達のご令嬢が、満面の笑みで待ち構えていた。
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