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【番外編】
シャルロット王女のサプライズパーティ その1
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《テオドール♡ジュールの婚約中の番外編です。剣術大会後から結婚式までの間のすきまストーリーです》
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その招待状が届いたのは、剣術大会が終わり、俺とテオドールが婚約してから一週間ほどたったころのことだった。
その時俺はダンデス家・別宅にて、テオドールとともに、聖教会から戻ってきたテオドールの荷物を整理していたところだった。
そう、しばらくの間、聖教会で暮らしていたテオドールだったが、このたび俺とまた暮らすために別宅に戻ってくることになったのだ!
本音を言うと、俺はこのまま本宅の方で暮らしたかった。本宅は王都にほど近く便利だし、なにより本宅にはお父様、お母様、シャンタルお姉様までいる!
いや、なにも俺は幼い子供のように家族を恋しがっているとか、そういうわけじゃない!
俺はいま、切実に、家内に「人目がある」ということの必要性を感じているのだ。
もちろん別宅には頼れるエマもいるが、彼女は仕事が忙しいわけで、俺と四六時中ずっと一緒にいてくれるわけにはいかない。
となると、もちろん、別宅での俺はテオドールと二人きりになる時間がとても多くなるわけで!!
「叔父様っ……、好き……」
本棚の上の方に本を戻そうと背伸びしたところを、後ろから、逞しい腕に抱きしめられる。
「うん……、俺も、もちろん、大好きだよ、テオ」
俺の背中を冷や汗が伝う。
「叔父様……、お願いです……、俺……」
うなじに軽いキスを落とされ、俺はヒュッと息を吸い込んだ。
絶対に後ろを振り向いてはいけない……。
「テオ……、ほら、昨晩もいっぱい、したよね。俺が頼んでも、全然やめてくれなかっただろ? …‥だから、俺、ちょっと腰が……。
それに、ほら、まださっきから全然片付けが進んでないよ。
こんなことしてたら、ずっと終わらなくなっちゃうよ。聖教会から、せっかく休暇をもらったんだろう?」
本棚を向いたまま、やんわりとテオドールを諭す俺。だが……。
「そんなこと言って、叔父様は、俺を拒絶するんですかっ!? 俺のこと、もう嫌いになってしまったんですかっ!?」
突然、首筋を甘噛みされた!
「わ、ひゃっ!! ああっ、……だから、ダメ、だってば!」
もちろん俺の言うことには耳を貸さず、テオドールは強引に俺のシャツのボタンをはずし始める。
「叔父様、ね? お願い……、叔父様は何もしなくていいから……、ちょっとだけ……、嫌って言われたらすぐにやめます。
だから、お願い……」
俺がテオドールの「お願い」に弱いことはすでに熟知されている。
そしてテオドールの指が、すでにツンととがってしまった胸の突起にかかれば、俺からは甘いため息が漏れてしまう。
――俺がテオドールに触れられて嫌なわけはない……、
わけはないのだが……!!
――ものには限度ってものが、あるだろう!!??
テオドールといえば、婚約祝いだか、引っ越し祝いだかなんだかよくわからない休暇を聖教会の司教様からもぎとってきたらしく、国の唯一の聖騎士だというのに、ここのところお勤めに出る気配すらなく、別宅内でひたすら俺に付きまとっているという状態だった。
そしてここでは誰の目も届かないことをいいことに、今まで抑え込まれてきた感情をすべて爆発させるかのように、昼夜を問わず、隙を見せればすぐに、テオドールは俺を寝台に沈めようとしてくるのだ!
もちろん俺だって、なけなしの頭と力をつかって一生懸命抵抗してはいるのだが、情けないことに、今のところ、全戦全敗……。
ここのところ俺は、テオドールの思うがままに、身体を酷使され続けていた……。
「叔父様……、叔父様が悪いんですよ。そんな無防備な姿を、俺の目の前にさらすから……」
テオドールの手のひらが、俺の裸の胸を這いまわる。
「……っ、あ……、や……」
後ろを向いて、背伸びをしただけのどこが、テオドールの情欲を刺激したというのか!?
どうやらいまのテオドールにとっては、俺のなにもかもが「そういうコト」に結びついてしまうようだ。
――このままでは俺にとってもテオドールにとっても良くない!! なんとかして事態を打開しなければっ!
もうすっかりその気になっているテオドールは、シャツの前がはだけた俺をラグの上に横たえると、当然のように上に乗ってきた。
「叔父様、また俺に可愛い声を聞かせて……」
ゾクゾクするほどの色気を漂わせながら、テオドールは着ていたシャツを脱ぎ捨てる。
その漆黒の前髪が額にかかる。
――くそっ、相変わらず惚れ惚れするほどのいい男だ。
テオドールは俺に微笑みかけると、俺の首筋に唇を這わせた。
その唇は、鎖骨をたどり、胸の乳首へと降りていく。
「んっ、あ、ああ……」
ジュっと先を吸われると、思わず俺の腰が跳ねる。
「や、あ…‥、やだっ、もうやだっ、テオ……っ」
執拗に吸い付いてくるテオドールの髪を引っ張り、俺は苦し気に息をつく。
思わず顔をそむけた先には、見慣れない衣装ケースがあった。
そしてその衣装ケースからはみ出している青色の服に、俺は見覚えがあった。
「ちょっと待ってっ、テオっ!」
突然大きな声を出した俺に、テオドールの動きが止まった。
「叔父様……?」
不服そうなテオドールの身体からなんとか逃れると、俺は衣装ケースからお目当てのものを取り出した。
「これっ、俺のお気に入りだった青い上着っ! なんでテオドールの衣装ケースに入ってるんだ!?」
「……っ!!」
明らかにテオドールは狼狽していた。
「テオ……?」
俺が今手にしている上着は、俺がエディマから戻ってきたときクローゼットから忽然と消えていた俺のワードローブの一つだ。
俺は青ざめるテオドールを尻目に、その衣装ケースを開けた。
そこには、今となっては懐かしい俺の昔の服がぎゅうぎゅうに詰められていた。
「ああ、やっぱり! なくなってた俺の服だ! 全部ここにあったんだ!
でも……、なんで?」
なぜテオドールは俺の服を聖教会へ?
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その招待状が届いたのは、剣術大会が終わり、俺とテオドールが婚約してから一週間ほどたったころのことだった。
その時俺はダンデス家・別宅にて、テオドールとともに、聖教会から戻ってきたテオドールの荷物を整理していたところだった。
そう、しばらくの間、聖教会で暮らしていたテオドールだったが、このたび俺とまた暮らすために別宅に戻ってくることになったのだ!
本音を言うと、俺はこのまま本宅の方で暮らしたかった。本宅は王都にほど近く便利だし、なにより本宅にはお父様、お母様、シャンタルお姉様までいる!
いや、なにも俺は幼い子供のように家族を恋しがっているとか、そういうわけじゃない!
俺はいま、切実に、家内に「人目がある」ということの必要性を感じているのだ。
もちろん別宅には頼れるエマもいるが、彼女は仕事が忙しいわけで、俺と四六時中ずっと一緒にいてくれるわけにはいかない。
となると、もちろん、別宅での俺はテオドールと二人きりになる時間がとても多くなるわけで!!
「叔父様っ……、好き……」
本棚の上の方に本を戻そうと背伸びしたところを、後ろから、逞しい腕に抱きしめられる。
「うん……、俺も、もちろん、大好きだよ、テオ」
俺の背中を冷や汗が伝う。
「叔父様……、お願いです……、俺……」
うなじに軽いキスを落とされ、俺はヒュッと息を吸い込んだ。
絶対に後ろを振り向いてはいけない……。
「テオ……、ほら、昨晩もいっぱい、したよね。俺が頼んでも、全然やめてくれなかっただろ? …‥だから、俺、ちょっと腰が……。
それに、ほら、まださっきから全然片付けが進んでないよ。
こんなことしてたら、ずっと終わらなくなっちゃうよ。聖教会から、せっかく休暇をもらったんだろう?」
本棚を向いたまま、やんわりとテオドールを諭す俺。だが……。
「そんなこと言って、叔父様は、俺を拒絶するんですかっ!? 俺のこと、もう嫌いになってしまったんですかっ!?」
突然、首筋を甘噛みされた!
「わ、ひゃっ!! ああっ、……だから、ダメ、だってば!」
もちろん俺の言うことには耳を貸さず、テオドールは強引に俺のシャツのボタンをはずし始める。
「叔父様、ね? お願い……、叔父様は何もしなくていいから……、ちょっとだけ……、嫌って言われたらすぐにやめます。
だから、お願い……」
俺がテオドールの「お願い」に弱いことはすでに熟知されている。
そしてテオドールの指が、すでにツンととがってしまった胸の突起にかかれば、俺からは甘いため息が漏れてしまう。
――俺がテオドールに触れられて嫌なわけはない……、
わけはないのだが……!!
――ものには限度ってものが、あるだろう!!??
テオドールといえば、婚約祝いだか、引っ越し祝いだかなんだかよくわからない休暇を聖教会の司教様からもぎとってきたらしく、国の唯一の聖騎士だというのに、ここのところお勤めに出る気配すらなく、別宅内でひたすら俺に付きまとっているという状態だった。
そしてここでは誰の目も届かないことをいいことに、今まで抑え込まれてきた感情をすべて爆発させるかのように、昼夜を問わず、隙を見せればすぐに、テオドールは俺を寝台に沈めようとしてくるのだ!
もちろん俺だって、なけなしの頭と力をつかって一生懸命抵抗してはいるのだが、情けないことに、今のところ、全戦全敗……。
ここのところ俺は、テオドールの思うがままに、身体を酷使され続けていた……。
「叔父様……、叔父様が悪いんですよ。そんな無防備な姿を、俺の目の前にさらすから……」
テオドールの手のひらが、俺の裸の胸を這いまわる。
「……っ、あ……、や……」
後ろを向いて、背伸びをしただけのどこが、テオドールの情欲を刺激したというのか!?
どうやらいまのテオドールにとっては、俺のなにもかもが「そういうコト」に結びついてしまうようだ。
――このままでは俺にとってもテオドールにとっても良くない!! なんとかして事態を打開しなければっ!
もうすっかりその気になっているテオドールは、シャツの前がはだけた俺をラグの上に横たえると、当然のように上に乗ってきた。
「叔父様、また俺に可愛い声を聞かせて……」
ゾクゾクするほどの色気を漂わせながら、テオドールは着ていたシャツを脱ぎ捨てる。
その漆黒の前髪が額にかかる。
――くそっ、相変わらず惚れ惚れするほどのいい男だ。
テオドールは俺に微笑みかけると、俺の首筋に唇を這わせた。
その唇は、鎖骨をたどり、胸の乳首へと降りていく。
「んっ、あ、ああ……」
ジュっと先を吸われると、思わず俺の腰が跳ねる。
「や、あ…‥、やだっ、もうやだっ、テオ……っ」
執拗に吸い付いてくるテオドールの髪を引っ張り、俺は苦し気に息をつく。
思わず顔をそむけた先には、見慣れない衣装ケースがあった。
そしてその衣装ケースからはみ出している青色の服に、俺は見覚えがあった。
「ちょっと待ってっ、テオっ!」
突然大きな声を出した俺に、テオドールの動きが止まった。
「叔父様……?」
不服そうなテオドールの身体からなんとか逃れると、俺は衣装ケースからお目当てのものを取り出した。
「これっ、俺のお気に入りだった青い上着っ! なんでテオドールの衣装ケースに入ってるんだ!?」
「……っ!!」
明らかにテオドールは狼狽していた。
「テオ……?」
俺が今手にしている上着は、俺がエディマから戻ってきたときクローゼットから忽然と消えていた俺のワードローブの一つだ。
俺は青ざめるテオドールを尻目に、その衣装ケースを開けた。
そこには、今となっては懐かしい俺の昔の服がぎゅうぎゅうに詰められていた。
「ああ、やっぱり! なくなってた俺の服だ! 全部ここにあったんだ!
でも……、なんで?」
なぜテオドールは俺の服を聖教会へ?
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