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第121話 秘密の恋
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仲睦まじい様子のエリオットとクロエを見届け、俺はホールを後にしようとした。
だが……、
「ジュール様っ!」
またもや誰かに呼び止められる。
振り返ると、あらイケメン!
って、あれ、確かこの顔、見覚えが……。
……そうだよ、ずっと前、テオドールがイジメに遭っていると勘違いした俺が学園に乗り込んでいったときに……!
「えーっと、君は、たしか……、ロイク?」
……で合ってるよな!?
オーバンに片思いし、見るも無惨に振られてしまった哀れな学園の後輩。
だが、俺はそんなロイクの姿を思わず二度見した。
というのも、ロイクが着ているのはまごうことなく、テオドール率いる聖騎士団の漆黒の制服だったからだ!
「覚えていてくださったんですね! 今まで聖騎士様の手前、お声もかけられず失礼いたしました。ジュール様、俺、ずっと貴方にお礼が言いたくて!」
爽やかイケメンに礼を言われるようなことをした覚えはまったくなかったが、俺は曖昧に微笑んだ。
ーーテオドールの部下に失礼があってはいけない。
「ロイク、聖騎士団に入ったんだね。うん、君ならぴったりだという感じだよ!」
「はい! オーバン様が推薦してくださって、名誉あるこの聖騎士団に入団することとなりました」
オーバンも意外にいいところがあるじゃないか!
「で、また何でこのパーティに?」
とても礼儀正しい印象のロイク。はっちゃけ軍団のお姉様の配下には見かけないタイプである。
「はいっ、今日はこの屋敷の護衛に伺ったのですが、シャンタル様からどうせ護衛するならパーティに参加しちゃったら? 一石二鳥じゃない?
と誘われまして!」
恥ずかしそうに頭をかくロイク。
ーーいや、駄目だろうそれは!
だが、よく考えてみればそもそも俺はもう誰にも狙われてもいないのだし、護衛は心配症のテオドールが勝手に派遣しているだけなのだから、お姉様の言うように、護衛などそっちのけでパーティを楽しむというのもたしかにありなのかもしれない。
「それに、副団長のオーバン様もセルジュ様も、今日はシャンタル様から招待されたらしく、いらっしゃってまして。……ほら、あそこです!」
見ると妙齢の女性たちに囲まれて、まんざらでもなさそうなオーバンとセルジュの姿がそこにはあった。
もちろん二人とも聖騎士団の制服だ。
ーーあの制服着てると何割増しかでモテるとか、そういう感じなんだろうな……。
思わずジト目になる俺だったが、そんな俺にロイクは爽やかな笑みを向けてくる。
「ジュール様っ、俺、このたびイネス様と婚約したんですっ!」
ロイクの言葉に、俺は呆けたように口をあんぐりを開けた。
「え、イネスと……?」
かつての俺の婚約者。彼女とは婚約を解消して以来、全く交流はなかった。
「実は……、イネス様とは貴族の集まりで初めてお会いして……。その時、ちょうどジュール様のことが話題に上ったんです。口さがない貴族の子弟が、ジュール様のことを悪く言って、その時俺はついカッとなって言い返してしまったんです。ジュール様はとても優しくて立派な方だって。そうしたら、イネス様の方から俺に話しかけてくださって、ジュール様のことを話しているうちに意気投合して……」
「そう、なんだ……」
貴族の子弟たちの間で、俺がどんな悪口を言われていたのかはかなり気になるが、それがイネスとロイクを結びつけたというのなら、それはそれでめでたいことに違いなかった。とりあえず俺のどんな話題で二人が盛り上がったのかは、聞かないでおこう……。
「ジュール様にはご報告が遅れてしまって申し訳ありません」
「いや、良かったよ。イネスには幸せになってもらいたかったから。君が相手なら、イネスにとっては俺と結婚するより良かったんじゃないかな」
正直な感想だった。
「ジュール様っ!!」
感極まったような声に、ロイクを見ると、ロイクは目を真っ赤にしていた。
「え!? ロイク?」
ロイクはぎゅっと俺の手を握ってきた。
「ジュール様っ、どんなことがあっても、俺はっ、俺だけはわかっています! オーバン様との秘密の恋をずっと人知れず続けておられるのですねっ!
俺っ、俺は……っ、ずっと応援していますからっ!」
「は!?」
そういえば、そんな設定があった!!
だが……、
「ジュール様っ!」
またもや誰かに呼び止められる。
振り返ると、あらイケメン!
って、あれ、確かこの顔、見覚えが……。
……そうだよ、ずっと前、テオドールがイジメに遭っていると勘違いした俺が学園に乗り込んでいったときに……!
「えーっと、君は、たしか……、ロイク?」
……で合ってるよな!?
オーバンに片思いし、見るも無惨に振られてしまった哀れな学園の後輩。
だが、俺はそんなロイクの姿を思わず二度見した。
というのも、ロイクが着ているのはまごうことなく、テオドール率いる聖騎士団の漆黒の制服だったからだ!
「覚えていてくださったんですね! 今まで聖騎士様の手前、お声もかけられず失礼いたしました。ジュール様、俺、ずっと貴方にお礼が言いたくて!」
爽やかイケメンに礼を言われるようなことをした覚えはまったくなかったが、俺は曖昧に微笑んだ。
ーーテオドールの部下に失礼があってはいけない。
「ロイク、聖騎士団に入ったんだね。うん、君ならぴったりだという感じだよ!」
「はい! オーバン様が推薦してくださって、名誉あるこの聖騎士団に入団することとなりました」
オーバンも意外にいいところがあるじゃないか!
「で、また何でこのパーティに?」
とても礼儀正しい印象のロイク。はっちゃけ軍団のお姉様の配下には見かけないタイプである。
「はいっ、今日はこの屋敷の護衛に伺ったのですが、シャンタル様からどうせ護衛するならパーティに参加しちゃったら? 一石二鳥じゃない?
と誘われまして!」
恥ずかしそうに頭をかくロイク。
ーーいや、駄目だろうそれは!
だが、よく考えてみればそもそも俺はもう誰にも狙われてもいないのだし、護衛は心配症のテオドールが勝手に派遣しているだけなのだから、お姉様の言うように、護衛などそっちのけでパーティを楽しむというのもたしかにありなのかもしれない。
「それに、副団長のオーバン様もセルジュ様も、今日はシャンタル様から招待されたらしく、いらっしゃってまして。……ほら、あそこです!」
見ると妙齢の女性たちに囲まれて、まんざらでもなさそうなオーバンとセルジュの姿がそこにはあった。
もちろん二人とも聖騎士団の制服だ。
ーーあの制服着てると何割増しかでモテるとか、そういう感じなんだろうな……。
思わずジト目になる俺だったが、そんな俺にロイクは爽やかな笑みを向けてくる。
「ジュール様っ、俺、このたびイネス様と婚約したんですっ!」
ロイクの言葉に、俺は呆けたように口をあんぐりを開けた。
「え、イネスと……?」
かつての俺の婚約者。彼女とは婚約を解消して以来、全く交流はなかった。
「実は……、イネス様とは貴族の集まりで初めてお会いして……。その時、ちょうどジュール様のことが話題に上ったんです。口さがない貴族の子弟が、ジュール様のことを悪く言って、その時俺はついカッとなって言い返してしまったんです。ジュール様はとても優しくて立派な方だって。そうしたら、イネス様の方から俺に話しかけてくださって、ジュール様のことを話しているうちに意気投合して……」
「そう、なんだ……」
貴族の子弟たちの間で、俺がどんな悪口を言われていたのかはかなり気になるが、それがイネスとロイクを結びつけたというのなら、それはそれでめでたいことに違いなかった。とりあえず俺のどんな話題で二人が盛り上がったのかは、聞かないでおこう……。
「ジュール様にはご報告が遅れてしまって申し訳ありません」
「いや、良かったよ。イネスには幸せになってもらいたかったから。君が相手なら、イネスにとっては俺と結婚するより良かったんじゃないかな」
正直な感想だった。
「ジュール様っ!!」
感極まったような声に、ロイクを見ると、ロイクは目を真っ赤にしていた。
「え!? ロイク?」
ロイクはぎゅっと俺の手を握ってきた。
「ジュール様っ、どんなことがあっても、俺はっ、俺だけはわかっています! オーバン様との秘密の恋をずっと人知れず続けておられるのですねっ!
俺っ、俺は……っ、ずっと応援していますからっ!」
「は!?」
そういえば、そんな設定があった!!
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