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第32話 好きになってはいけない人
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺とアンドレは寝台に並んで腰掛けていた。
「ジュール様、申し訳ありませんでした。あなたのお気持ちを考えずに話を進めてしまっておりました」
アンドレが俺の肩を抱いた。
「すみません。俺のわがままだってわかってます。アンドレさんはちゃんとやってくれています。俺……っ」
顔を上げた俺は、アンドレの顔がすごく近くにあることに驚いた。
「ジュール様、口づけしてもよろしいでしょうか?」
「え? あ、あ……、ん……」
返事より先に、アンドレの柔らかい唇が重なる。
「ジュール様、口を、開けて」
「あ、ん、むぅ……っ!」
ぬるりとした熱い舌が入ってくる。
これが、アンドレとの初めてのキス。以前のセックスでも、アンドレは俺にキスしてこなかったことを思い出した。
「ジュール様、ああ……、なんてあなたは……」
舌が絡み合うと、頭がぼうっとしてくる。濃厚で、情熱的なキスだった。
「っん、アンドレっ、あ、んっ……、どう、して……っ!?」
すっかり酔いそうになった俺は、アンドレの胸を押し返す。
アンドレは濡れた唇を手で拭った。
「私も自分の気持ちに驚いています。私がここにきたのは、あなたにチケットと本を渡すためだった。でも……、本当にそれだけのためだったのでしょうか? チケットと本を渡すだけだったら、誰かに届けさせることだってできたはずだ。なのに、私はわざとらしい理由をつけて、わざわざここまであなたに会いに来た」
アンドレは、俺の髪を優しい手付きで梳いた。
「ずっと、気になっていたんです。あなたがどんなふうに私の部下たちに抱かれたのか……。
あなたが、キャストたちとのセックスに感じたと教えてくれた時、私の心は間違いなく嫉妬の感情が支配しました。そして今、私はあなたの心に空いた穴を、私が埋めたいと思っている……」
「アンドレ……、キス、して……」
俺はアンドレに抱きついていた。
「ジュール様……」
「アンドレは『代表』なんでしょう? 俺が満足できなかった分、代表のあなたが、満足させてよ……」
「あなたは……っ」
寝台の上に押し倒された。
俺を見つめるアンドレの瞳には、確かに苦悩の色が浮かんでいた。
「アンドレ、抱いて……。いっぱいキスしながら、俺の中をかき回してほしいんだ……」
「ジュール様、どんなに身体を重ねても、私とあなたは所詮結ばれる運命にはありませんよ……」
アンドレは苦しげに呻いた。
「わかってる……。でも、今だけ、何もかも忘れさせて……」
俺はアンドレの背に手を回す。
「わかりました。ふたりで、いっぱい、気持ちよくなりましょうね……」
ーーきっとこれは間違っている。
でもこの時の俺は誰かを必要としていて……。
アンドレの優しい微笑みは、渇望した俺の心を確かに癒やしてくれていた……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あっ、んんっ、はあっ……、アンドレっ、アンドレ……」
「ジュール様、気持ちいい、ですかっ……」
「んっ、もっと、もっと、キス、して……」
重なる唇。
俺は、座ったアンドレの上に向き合うように乗せられ、下から容赦なく突き上げられていた。
「んっ、気持ちいいっ、気持ちいいっ、アンドレっ!」
「ジュール様っ、私もっ、すごく、いい、ですっ……」
舌を絡ませ、アンドレにしがみつくように密着すると、結合も更に深くなった。
「ひっ、あ、あ、ああああああ!」
「こんなに締め付けてきて……、私の部下たちも、こうやって楽しませてあげたんですかっ!? ああ、ここもこんなに尖らせてっ!」
アンドレが詰るように、俺の乳首をつねる。
「ひゃ、あ、あっ、やだっ、そんなことっ、言わないでっ!」
「ジュール様のお相手をしたキャストから、次はいつ自分の番になるかと毎回聞かれるんです。そのたび、私が、どんな思いをしたか、あなたは、きっとご存知ないでしょうねっ!」
ズドン、と下から身体の最奥めがけて落とされた。
「くはっ、おっ、おおっ、んんっ!!」
「結腸抜きがお好みだとか……、部下たちはまたあなたの可愛いお声が聞きたくて、うずうずしていますよっ!」
「ひゃ、あ、駄目、駄目っ、もうっ、イクっ、イッちゃう!!」
「お尻だけでイケるなんて、マリウスから一体どんな教育を受けてきたんですか? いいですよっ、私が、もう一度教え直してあげますからっ」
「やあっ!! はあっ、うんっ、アンドレのっ、おっきいぃ、あんっ、すごい、当たる……、奥、駄目、もう……っ」
のけぞった俺の喉元を、アンドレが舐め上げた。
「ジュール様、なぜ、私が部下たちに部屋を暗くさせ、口づけとあなたの名前を呼ぶことを禁じているか、わかりますか?」
アンドレの指が、俺の指に絡み合う。
全裸で繋がりながら、指を絡め合い、キスをすれば、まるで、ふたりは恋人同士のようだった。
「わ、かんない、でも、たぶん、俺の淫紋のせいで、執着、しない、よう、にって……」
息も絶え絶えに答えたところを、さらにぐっと深く押し込まれた。
「はあああっ、ぐっ、うああ!」
「残念、はずれです」
アンドレは、繋がったまま俺を寝台の上に仰向けにした。
「あ、あ、あ……っ」
アンドレは俺の両足を自分の肩にかけると、俺に顔を近づけた。
「嫉妬……、ですよ。ジュール様! 私は、あなたを犯すほかの男たちに嫉妬しているんです! これがどういう意味か、おわかりですよね!?」
噛みつくようなキス。
「あ、な、なんでっ、やあっ、あ、深いっ、深いっ、アンドレっ! おかしくなるっ!」
「ふたりでおかしくなりましょう。お互い好きになってはいけない相手です。ですが……、この一時だけは、あなたは、私だけのものです!」
アンドレの陰茎が俺の中で一層の重量を増した。俺の胎内は、それを悦ぶようにキュウキュウとうねった。
「ああああああああ! イクっ、イクっ、イッちゃう、アンドレ、好きっ、好きっ! ああ……」
「淫紋が光り輝いてますよ。ジュール様。……淫紋のせいで私達はこうして抱き合い、そしてそれ故、私達はけっして結ばれることはない、本当に、私達は因果なさだめですね……」
「アンドレっ、アンドレっ……、大好き……っ、もっと……っ!」
俺は懸命にアンドレの身体にしがみつく。
「私も……、愛しています、ジュール様っ!」
アンドレも強い力で抱き返してくれる。
「あっ、あ、ああ、あーーーーーーっ!!!!」
ーー胎内にアンドレの精を受けたその時、俺自身も大量の精を解き放っていた。
俺とアンドレは寝台に並んで腰掛けていた。
「ジュール様、申し訳ありませんでした。あなたのお気持ちを考えずに話を進めてしまっておりました」
アンドレが俺の肩を抱いた。
「すみません。俺のわがままだってわかってます。アンドレさんはちゃんとやってくれています。俺……っ」
顔を上げた俺は、アンドレの顔がすごく近くにあることに驚いた。
「ジュール様、口づけしてもよろしいでしょうか?」
「え? あ、あ……、ん……」
返事より先に、アンドレの柔らかい唇が重なる。
「ジュール様、口を、開けて」
「あ、ん、むぅ……っ!」
ぬるりとした熱い舌が入ってくる。
これが、アンドレとの初めてのキス。以前のセックスでも、アンドレは俺にキスしてこなかったことを思い出した。
「ジュール様、ああ……、なんてあなたは……」
舌が絡み合うと、頭がぼうっとしてくる。濃厚で、情熱的なキスだった。
「っん、アンドレっ、あ、んっ……、どう、して……っ!?」
すっかり酔いそうになった俺は、アンドレの胸を押し返す。
アンドレは濡れた唇を手で拭った。
「私も自分の気持ちに驚いています。私がここにきたのは、あなたにチケットと本を渡すためだった。でも……、本当にそれだけのためだったのでしょうか? チケットと本を渡すだけだったら、誰かに届けさせることだってできたはずだ。なのに、私はわざとらしい理由をつけて、わざわざここまであなたに会いに来た」
アンドレは、俺の髪を優しい手付きで梳いた。
「ずっと、気になっていたんです。あなたがどんなふうに私の部下たちに抱かれたのか……。
あなたが、キャストたちとのセックスに感じたと教えてくれた時、私の心は間違いなく嫉妬の感情が支配しました。そして今、私はあなたの心に空いた穴を、私が埋めたいと思っている……」
「アンドレ……、キス、して……」
俺はアンドレに抱きついていた。
「ジュール様……」
「アンドレは『代表』なんでしょう? 俺が満足できなかった分、代表のあなたが、満足させてよ……」
「あなたは……っ」
寝台の上に押し倒された。
俺を見つめるアンドレの瞳には、確かに苦悩の色が浮かんでいた。
「アンドレ、抱いて……。いっぱいキスしながら、俺の中をかき回してほしいんだ……」
「ジュール様、どんなに身体を重ねても、私とあなたは所詮結ばれる運命にはありませんよ……」
アンドレは苦しげに呻いた。
「わかってる……。でも、今だけ、何もかも忘れさせて……」
俺はアンドレの背に手を回す。
「わかりました。ふたりで、いっぱい、気持ちよくなりましょうね……」
ーーきっとこれは間違っている。
でもこの時の俺は誰かを必要としていて……。
アンドレの優しい微笑みは、渇望した俺の心を確かに癒やしてくれていた……。
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「あっ、んんっ、はあっ……、アンドレっ、アンドレ……」
「ジュール様、気持ちいい、ですかっ……」
「んっ、もっと、もっと、キス、して……」
重なる唇。
俺は、座ったアンドレの上に向き合うように乗せられ、下から容赦なく突き上げられていた。
「んっ、気持ちいいっ、気持ちいいっ、アンドレっ!」
「ジュール様っ、私もっ、すごく、いい、ですっ……」
舌を絡ませ、アンドレにしがみつくように密着すると、結合も更に深くなった。
「ひっ、あ、あ、ああああああ!」
「こんなに締め付けてきて……、私の部下たちも、こうやって楽しませてあげたんですかっ!? ああ、ここもこんなに尖らせてっ!」
アンドレが詰るように、俺の乳首をつねる。
「ひゃ、あ、あっ、やだっ、そんなことっ、言わないでっ!」
「ジュール様のお相手をしたキャストから、次はいつ自分の番になるかと毎回聞かれるんです。そのたび、私が、どんな思いをしたか、あなたは、きっとご存知ないでしょうねっ!」
ズドン、と下から身体の最奥めがけて落とされた。
「くはっ、おっ、おおっ、んんっ!!」
「結腸抜きがお好みだとか……、部下たちはまたあなたの可愛いお声が聞きたくて、うずうずしていますよっ!」
「ひゃ、あ、駄目、駄目っ、もうっ、イクっ、イッちゃう!!」
「お尻だけでイケるなんて、マリウスから一体どんな教育を受けてきたんですか? いいですよっ、私が、もう一度教え直してあげますからっ」
「やあっ!! はあっ、うんっ、アンドレのっ、おっきいぃ、あんっ、すごい、当たる……、奥、駄目、もう……っ」
のけぞった俺の喉元を、アンドレが舐め上げた。
「ジュール様、なぜ、私が部下たちに部屋を暗くさせ、口づけとあなたの名前を呼ぶことを禁じているか、わかりますか?」
アンドレの指が、俺の指に絡み合う。
全裸で繋がりながら、指を絡め合い、キスをすれば、まるで、ふたりは恋人同士のようだった。
「わ、かんない、でも、たぶん、俺の淫紋のせいで、執着、しない、よう、にって……」
息も絶え絶えに答えたところを、さらにぐっと深く押し込まれた。
「はあああっ、ぐっ、うああ!」
「残念、はずれです」
アンドレは、繋がったまま俺を寝台の上に仰向けにした。
「あ、あ、あ……っ」
アンドレは俺の両足を自分の肩にかけると、俺に顔を近づけた。
「嫉妬……、ですよ。ジュール様! 私は、あなたを犯すほかの男たちに嫉妬しているんです! これがどういう意味か、おわかりですよね!?」
噛みつくようなキス。
「あ、な、なんでっ、やあっ、あ、深いっ、深いっ、アンドレっ! おかしくなるっ!」
「ふたりでおかしくなりましょう。お互い好きになってはいけない相手です。ですが……、この一時だけは、あなたは、私だけのものです!」
アンドレの陰茎が俺の中で一層の重量を増した。俺の胎内は、それを悦ぶようにキュウキュウとうねった。
「ああああああああ! イクっ、イクっ、イッちゃう、アンドレ、好きっ、好きっ! ああ……」
「淫紋が光り輝いてますよ。ジュール様。……淫紋のせいで私達はこうして抱き合い、そしてそれ故、私達はけっして結ばれることはない、本当に、私達は因果なさだめですね……」
「アンドレっ、アンドレっ……、大好き……っ、もっと……っ!」
俺は懸命にアンドレの身体にしがみつく。
「私も……、愛しています、ジュール様っ!」
アンドレも強い力で抱き返してくれる。
「あっ、あ、ああ、あーーーーーーっ!!!!」
ーー胎内にアンドレの精を受けたその時、俺自身も大量の精を解き放っていた。
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