【完結】究極のざまぁのために、俺を捨てた男の息子を育てています!

.mizutama.

文字の大きさ
上 下
32 / 165

第32話 好きになってはいけない人

しおりを挟む
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 俺とアンドレは寝台に並んで腰掛けていた。


「ジュール様、申し訳ありませんでした。あなたのお気持ちを考えずに話を進めてしまっておりました」


 アンドレが俺の肩を抱いた。

「すみません。俺のわがままだってわかってます。アンドレさんはちゃんとやってくれています。俺……っ」


 顔を上げた俺は、アンドレの顔がすごく近くにあることに驚いた。

「ジュール様、口づけしてもよろしいでしょうか?」

「え? あ、あ……、ん……」

 返事より先に、アンドレの柔らかい唇が重なる。


「ジュール様、口を、開けて」

「あ、ん、むぅ……っ!」


 ぬるりとした熱い舌が入ってくる。

 これが、アンドレとの初めてのキス。以前のセックスでも、アンドレは俺にキスしてこなかったことを思い出した。

「ジュール様、ああ……、なんてあなたは……」

 舌が絡み合うと、頭がぼうっとしてくる。濃厚で、情熱的なキスだった。



「っん、アンドレっ、あ、んっ……、どう、して……っ!?」

 すっかり酔いそうになった俺は、アンドレの胸を押し返す。

 アンドレは濡れた唇を手で拭った。

「私も自分の気持ちに驚いています。私がここにきたのは、あなたにチケットと本を渡すためだった。でも……、本当にそれだけのためだったのでしょうか? チケットと本を渡すだけだったら、誰かに届けさせることだってできたはずだ。なのに、私はわざとらしい理由をつけて、わざわざここまであなたに会いに来た」

 アンドレは、俺の髪を優しい手付きで梳いた。


「ずっと、気になっていたんです。あなたがどんなふうに私の部下たちに抱かれたのか……。
あなたが、キャストたちとのセックスに感じたと教えてくれた時、私の心は間違いなく嫉妬の感情が支配しました。そして今、私はあなたの心に空いた穴を、私が埋めたいと思っている……」

「アンドレ……、キス、して……」

 俺はアンドレに抱きついていた。

「ジュール様……」

「アンドレは『代表』なんでしょう? 俺が満足できなかった分、代表のあなたが、満足させてよ……」

「あなたは……っ」

 寝台の上に押し倒された。

 俺を見つめるアンドレの瞳には、確かに苦悩の色が浮かんでいた。


「アンドレ、抱いて……。いっぱいキスしながら、俺の中をかき回してほしいんだ……」


「ジュール様、どんなに身体を重ねても、私とあなたは所詮結ばれる運命にはありませんよ……」

 アンドレは苦しげに呻いた。


「わかってる……。でも、今だけ、何もかも忘れさせて……」

 俺はアンドレの背に手を回す。


「わかりました。ふたりで、いっぱい、気持ちよくなりましょうね……」




 ーーきっとこれは間違っている。

 でもこの時の俺は誰かを必要としていて……。
 アンドレの優しい微笑みは、渇望した俺の心を確かに癒やしてくれていた……。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「あっ、んんっ、はあっ……、アンドレっ、アンドレ……」

「ジュール様、気持ちいい、ですかっ……」

「んっ、もっと、もっと、キス、して……」


 重なる唇。

 俺は、座ったアンドレの上に向き合うように乗せられ、下から容赦なく突き上げられていた。

「んっ、気持ちいいっ、気持ちいいっ、アンドレっ!」

「ジュール様っ、私もっ、すごく、いい、ですっ……」

 舌を絡ませ、アンドレにしがみつくように密着すると、結合も更に深くなった。

「ひっ、あ、あ、ああああああ!」


「こんなに締め付けてきて……、私の部下たちも、こうやって楽しませてあげたんですかっ!? ああ、ここもこんなに尖らせてっ!」

 アンドレが詰るように、俺の乳首をつねる。

「ひゃ、あ、あっ、やだっ、そんなことっ、言わないでっ!」

「ジュール様のお相手をしたキャストから、次はいつ自分の番になるかと毎回聞かれるんです。そのたび、私が、どんな思いをしたか、あなたは、きっとご存知ないでしょうねっ!」

 ズドン、と下から身体の最奥めがけて落とされた。

「くはっ、おっ、おおっ、んんっ!!」

「結腸抜きがお好みだとか……、部下たちはまたあなたの可愛いお声が聞きたくて、うずうずしていますよっ!」

「ひゃ、あ、駄目、駄目っ、もうっ、イクっ、イッちゃう!!」

「お尻だけでイケるなんて、マリウスから一体どんな教育を受けてきたんですか? いいですよっ、私が、もう一度教え直してあげますからっ」

「やあっ!! はあっ、うんっ、アンドレのっ、おっきいぃ、あんっ、すごい、当たる……、奥、駄目、もう……っ」

 のけぞった俺の喉元を、アンドレが舐め上げた。

「ジュール様、なぜ、私が部下たちに部屋を暗くさせ、口づけとあなたの名前を呼ぶことを禁じているか、わかりますか?」

 アンドレの指が、俺の指に絡み合う。

 全裸で繋がりながら、指を絡め合い、キスをすれば、まるで、ふたりは恋人同士のようだった。


「わ、かんない、でも、たぶん、俺の淫紋のせいで、執着、しない、よう、にって……」

 息も絶え絶えに答えたところを、さらにぐっと深く押し込まれた。

「はあああっ、ぐっ、うああ!」

「残念、はずれです」

 アンドレは、繋がったまま俺を寝台の上に仰向けにした。


「あ、あ、あ……っ」

 アンドレは俺の両足を自分の肩にかけると、俺に顔を近づけた。

「嫉妬……、ですよ。ジュール様! 私は、あなたを犯すほかの男たちに嫉妬しているんです! これがどういう意味か、おわかりですよね!?」

 噛みつくようなキス。

「あ、な、なんでっ、やあっ、あ、深いっ、深いっ、アンドレっ! おかしくなるっ!」

「ふたりでおかしくなりましょう。お互い好きになってはいけない相手です。ですが……、この一時だけは、あなたは、私だけのものです!」

 アンドレの陰茎が俺の中で一層の重量を増した。俺の胎内は、それを悦ぶようにキュウキュウとうねった。

「ああああああああ! イクっ、イクっ、イッちゃう、アンドレ、好きっ、好きっ! ああ……」

「淫紋が光り輝いてますよ。ジュール様。……淫紋のせいで私達はこうして抱き合い、そしてそれ故、私達はけっして結ばれることはない、本当に、私達は因果なさだめですね……」

「アンドレっ、アンドレっ……、大好き……っ、もっと……っ!」


 俺は懸命にアンドレの身体にしがみつく。

「私も……、愛しています、ジュール様っ!」


 アンドレも強い力で抱き返してくれる。

「あっ、あ、ああ、あーーーーーーっ!!!!」




 ーー胎内にアンドレの精を受けたその時、俺自身も大量の精を解き放っていた。








しおりを挟む
感想 62

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

新訳 美女と野獣 〜獣人と少年の物語〜

若目
BL
いまはすっかり財政難となった商家マルシャン家は父シャルル、長兄ジャンティー、長女アヴァール、次女リュゼの4人家族。 妹たちが経済状況を顧みずに贅沢三昧するなか、一家はジャンティーの頑張りによってなんとか暮らしていた。 ある日、父が商用で出かける際に、何か欲しいものはないかと聞かれて、ジャンティーは一輪の薔薇をねだる。 しかし、帰る途中で父は道に迷ってしまう。 父があてもなく歩いていると、偶然、美しく奇妙な古城に辿り着く。 父はそこで、庭に薔薇の木で作られた生垣を見つけた。 ジャンティーとの約束を思い出した父が薔薇を一輪摘むと、彼の前に怒り狂った様子の野獣が現れ、「親切にしてやったのに、厚かましくも薔薇まで盗むとは」と吠えかかる。 野獣は父に死をもって償うように迫るが、薔薇が土産であったことを知ると、代わりに子どもを差し出すように要求してきて… そこから、ジャンティーの運命が大きく変わり出す。 童話の「美女と野獣」パロのBLです

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(10/21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。 ※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

平民男子と騎士団長の行く末

きわ
BL
 平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。  ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。  好きだという気持ちを隠したまま。  過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。  第十一回BL大賞参加作品です。

騎士様、お菓子でなんとか勘弁してください

東院さち
BL
ラズは城で仕える下級使用人の一人だ。竜を追い払った騎士団がもどってきた祝賀会のために少ない魔力を駆使して仕事をしていた。 突然襲ってきた魔力枯渇による具合の悪いところをその英雄の一人が助けてくれた。魔力を分け与えるためにキスされて、お礼にラズの作ったクッキーを欲しがる変わり者の団長と、やはりお菓子に目のない副団長の二人はラズのお菓子を目的に騎士団に勧誘する。 貴族を嫌うラズだったが、恩人二人にせっせとお菓子を作るはめになった。 お菓子が目的だったと思っていたけれど、それだけではないらしい。 やがて二人はラズにとってかけがえのない人になっていく。のかもしれない。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

処理中です...