11 / 29
第11話 狂気
しおりを挟む
アミードがアムルの首筋に、唇を這わせる。
「やめろっ!」
「アムルは何もわかってない、俺がこれまでどれだけ苦しんだか! 俺が、どれだけアムルを愛しているか!」
アムルは、口づけようとするアミードから顔をそむけた。
「僕が何も知らないとでも思ってるのか? マリークとよろしくやってるんだろ!? なにが、愛してる、だ! 信じるもんか!」
アムルの言葉に、アミードの動きが止まった。
「……そうか、マーリク、ね……」
アミードの声が一段低くなる。アミードの顔に影がかかって表情が良く見えない。
「……アミード?」
「アムル、俺だって、本当は全然信じてないんだよ。ーーアムルは、ずっと前から、俺よりマリークが好きなんじゃないのか? だから、側室に内定してから、髪も伸ばして、服装も変えた……。俺は前のアムルのほうが好きだったのに、まるで、マーリクに媚びるみたいに……」
アミードがアムルの真っ直ぐな水色の髪に口づけた。
「違う! あれは母上が!」
「アムルは昔からそうだ。俺はずっとアムルと二人だけがよかったのに、アムルはいつもマーリクを誘って、それで俺たちは結局3人でいつもいなければいけなかった」
「なにを、そんな、子どものころのことを……」
「マーリクがアムルを側室に決めたときだって、そうだよ!俺はあんなに反対したのに、アムルは黙って何も言わなかった。
もしかして、本当は嬉しかった? オメガとして、マーリクに選んでもらって。
マーリクの側室になれて。マーリクに抱かれて、番になりたかった?」
アミードの様子がおかしい。金色の瞳に浮かぶのは……、狂気。
「何わけのわからないことを言ってるんだ! そんなわけ、ないだろ! 僕は誰とも番になんかなりたくない! 僕は……っ」
「信じない、信じられないよ、アムル。そんなこと言って俺から逃げて、本当はマーリクのところに行って抱いてもらうつもりなんだろう?
でもそんなことは絶対に許さない! アムルの番は、生まれたときから俺だって決まってるんだ!!
……だから、俺は今ここでアムルを俺の番にすることにする」
アミードはアムルの夜着を強引に引きちぎった。
「やめろ!!!」
「アムル……、俺の運命……」
アミードがアムルに口づける。
「……っ!!」
触れた唇から、強い魔力が流れ込んできて、アムルは首を振って抵抗した。
「なにっ、する気だっ…‥!」
「傷つけたくないんだ。……アムル。大丈夫、アムルは何もしなくていいから……。俺のことだけ感じてて……」
アミードの手が、アムルの裸の胸の上をすべっていく。アミードの魔力が、アムルの全身にいきわたっると、アムルの身体から力が抜けていく。
「何考えてるんだ! こんなことに魔法を使っていいと思ってるのかっ!?」
アミードの魔法によって身体の自由をなくしたアムルが、アミードをなじる。
「アムルに抵抗されたら、きっと俺はアムルを酷く抱いてしまうから……。だからこれはアムルのためでもあるんだよ」
独善的な言い分に、アムルは眉根を寄せる。
「アミード、落ち着くんだっ! お前っ、自分が何をしようとしてるかわかってるのか!?
僕は……、僕はマーリクの……っ、あ、ああ…‥」
アミードがアムルの両の乳首をつまんだ。
「許さないよ、アムル。マーリクに純潔をささげるなんて……。
大丈夫、アムルは何も心配しなくていいよ。最初から、こうするつもりだったんだ。
俺が、全部、始末をつけるから!」
「あっ、くっ、う……」
アミードがアムルの首筋をきつく吸った。
アミードはアムルの身体の自由を奪ったが、感覚はそのせいでむしろ研ぎ澄まされてしまっていた。
――アミードが触れた部分、全部が熱い……。
すでにアミードには、感じるところを知り尽くされている。
「アムル、そんなに怯えないで。一つになることは、すごく素晴らしいことなんだよ……」
自らも全裸になったアミードがアムルの手をとり、自分のたぎった一物に導いた。
「やだっ、アミードっ……」
「わかる? アムルのせいでこうなってるんだよ」
「アミード、だめだ……っ、んっ……」
「アムルのここ、濡れてきてる……、わかる? 俺に感じてくれてるの、うれしい」
アミードはほほ笑むと、アムルの乳首に舌を這わせて、ゆっくりと舐め始める。
しだいにアムルの息が上がっていく。
「だめ、だめ、アミード……、こんなこと……っ」
「アムル……、俺を受け入れて…‥、アムルと一つになりたい。戻りたいんだ……、俺たちはもともと一つだ…‥」
「やめろっ!」
「アムルは何もわかってない、俺がこれまでどれだけ苦しんだか! 俺が、どれだけアムルを愛しているか!」
アムルは、口づけようとするアミードから顔をそむけた。
「僕が何も知らないとでも思ってるのか? マリークとよろしくやってるんだろ!? なにが、愛してる、だ! 信じるもんか!」
アムルの言葉に、アミードの動きが止まった。
「……そうか、マーリク、ね……」
アミードの声が一段低くなる。アミードの顔に影がかかって表情が良く見えない。
「……アミード?」
「アムル、俺だって、本当は全然信じてないんだよ。ーーアムルは、ずっと前から、俺よりマリークが好きなんじゃないのか? だから、側室に内定してから、髪も伸ばして、服装も変えた……。俺は前のアムルのほうが好きだったのに、まるで、マーリクに媚びるみたいに……」
アミードがアムルの真っ直ぐな水色の髪に口づけた。
「違う! あれは母上が!」
「アムルは昔からそうだ。俺はずっとアムルと二人だけがよかったのに、アムルはいつもマーリクを誘って、それで俺たちは結局3人でいつもいなければいけなかった」
「なにを、そんな、子どものころのことを……」
「マーリクがアムルを側室に決めたときだって、そうだよ!俺はあんなに反対したのに、アムルは黙って何も言わなかった。
もしかして、本当は嬉しかった? オメガとして、マーリクに選んでもらって。
マーリクの側室になれて。マーリクに抱かれて、番になりたかった?」
アミードの様子がおかしい。金色の瞳に浮かぶのは……、狂気。
「何わけのわからないことを言ってるんだ! そんなわけ、ないだろ! 僕は誰とも番になんかなりたくない! 僕は……っ」
「信じない、信じられないよ、アムル。そんなこと言って俺から逃げて、本当はマーリクのところに行って抱いてもらうつもりなんだろう?
でもそんなことは絶対に許さない! アムルの番は、生まれたときから俺だって決まってるんだ!!
……だから、俺は今ここでアムルを俺の番にすることにする」
アミードはアムルの夜着を強引に引きちぎった。
「やめろ!!!」
「アムル……、俺の運命……」
アミードがアムルに口づける。
「……っ!!」
触れた唇から、強い魔力が流れ込んできて、アムルは首を振って抵抗した。
「なにっ、する気だっ…‥!」
「傷つけたくないんだ。……アムル。大丈夫、アムルは何もしなくていいから……。俺のことだけ感じてて……」
アミードの手が、アムルの裸の胸の上をすべっていく。アミードの魔力が、アムルの全身にいきわたっると、アムルの身体から力が抜けていく。
「何考えてるんだ! こんなことに魔法を使っていいと思ってるのかっ!?」
アミードの魔法によって身体の自由をなくしたアムルが、アミードをなじる。
「アムルに抵抗されたら、きっと俺はアムルを酷く抱いてしまうから……。だからこれはアムルのためでもあるんだよ」
独善的な言い分に、アムルは眉根を寄せる。
「アミード、落ち着くんだっ! お前っ、自分が何をしようとしてるかわかってるのか!?
僕は……、僕はマーリクの……っ、あ、ああ…‥」
アミードがアムルの両の乳首をつまんだ。
「許さないよ、アムル。マーリクに純潔をささげるなんて……。
大丈夫、アムルは何も心配しなくていいよ。最初から、こうするつもりだったんだ。
俺が、全部、始末をつけるから!」
「あっ、くっ、う……」
アミードがアムルの首筋をきつく吸った。
アミードはアムルの身体の自由を奪ったが、感覚はそのせいでむしろ研ぎ澄まされてしまっていた。
――アミードが触れた部分、全部が熱い……。
すでにアミードには、感じるところを知り尽くされている。
「アムル、そんなに怯えないで。一つになることは、すごく素晴らしいことなんだよ……」
自らも全裸になったアミードがアムルの手をとり、自分のたぎった一物に導いた。
「やだっ、アミードっ……」
「わかる? アムルのせいでこうなってるんだよ」
「アミード、だめだ……っ、んっ……」
「アムルのここ、濡れてきてる……、わかる? 俺に感じてくれてるの、うれしい」
アミードはほほ笑むと、アムルの乳首に舌を這わせて、ゆっくりと舐め始める。
しだいにアムルの息が上がっていく。
「だめ、だめ、アミード……、こんなこと……っ」
「アムル……、俺を受け入れて…‥、アムルと一つになりたい。戻りたいんだ……、俺たちはもともと一つだ…‥」
73
お気に入りに追加
584
あなたにおすすめの小説
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
祝福という名の厄介なモノがあるんですけど
野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。
愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。
それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。
ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。
イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?!
□■
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
完結しました。
応援していただきありがとうございます!
□■
第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される
田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた!
なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。
婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?!
従者×悪役令息
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる