【完結】オメガの半身 〜王太子と公爵家の双子〜

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第11話 狂気

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 アミードがアムルの首筋に、唇を這わせる。

「やめろっ!」

「アムルは何もわかってない、俺がこれまでどれだけ苦しんだか! 俺が、どれだけアムルを愛しているか!」

 アムルは、口づけようとするアミードから顔をそむけた。


「僕が何も知らないとでも思ってるのか? マリークとよろしくやってるんだろ!? なにが、愛してる、だ! 信じるもんか!」

 アムルの言葉に、アミードの動きが止まった。

「……そうか、マーリク、ね……」

 アミードの声が一段低くなる。アミードの顔に影がかかって表情が良く見えない。

「……アミード?」

「アムル、俺だって、本当は全然信じてないんだよ。ーーアムルは、ずっと前から、俺よりマリークが好きなんじゃないのか? だから、側室に内定してから、髪も伸ばして、服装も変えた……。俺は前のアムルのほうが好きだったのに、まるで、マーリクに媚びるみたいに……」

 アミードがアムルの真っ直ぐな水色の髪に口づけた。

「違う! あれは母上が!」

「アムルは昔からそうだ。俺はずっとアムルと二人だけがよかったのに、アムルはいつもマーリクを誘って、それで俺たちは結局3人でいつもいなければいけなかった」

「なにを、そんな、子どものころのことを……」

「マーリクがアムルを側室に決めたときだって、そうだよ!俺はあんなに反対したのに、アムルは黙って何も言わなかった。
もしかして、本当は嬉しかった? オメガとして、マーリクに選んでもらって。
マーリクの側室になれて。マーリクに抱かれて、番になりたかった?」

 アミードの様子がおかしい。金色の瞳に浮かぶのは……、狂気。


「何わけのわからないことを言ってるんだ! そんなわけ、ないだろ! 僕は誰とも番になんかなりたくない! 僕は……っ」

「信じない、信じられないよ、アムル。そんなこと言って俺から逃げて、本当はマーリクのところに行って抱いてもらうつもりなんだろう?
でもそんなことは絶対に許さない! アムルの番は、生まれたときから俺だって決まってるんだ!!
……だから、俺は今ここでアムルを俺の番にすることにする」

 
 アミードはアムルの夜着を強引に引きちぎった。

「やめろ!!!」


「アムル……、俺の運命……」

 アミードがアムルに口づける。

「……っ!!」

 触れた唇から、強い魔力が流れ込んできて、アムルは首を振って抵抗した。

「なにっ、する気だっ…‥!」

「傷つけたくないんだ。……アムル。大丈夫、アムルは何もしなくていいから……。俺のことだけ感じてて……」

 アミードの手が、アムルの裸の胸の上をすべっていく。アミードの魔力が、アムルの全身にいきわたっると、アムルの身体から力が抜けていく。


「何考えてるんだ! こんなことに魔法を使っていいと思ってるのかっ!?」

 
 アミードの魔法によって身体の自由をなくしたアムルが、アミードをなじる。

「アムルに抵抗されたら、きっと俺はアムルを酷く抱いてしまうから……。だからこれはアムルのためでもあるんだよ」

 独善的な言い分に、アムルは眉根を寄せる。


「アミード、落ち着くんだっ! お前っ、自分が何をしようとしてるかわかってるのか!?
僕は……、僕はマーリクの……っ、あ、ああ…‥」

 アミードがアムルの両の乳首をつまんだ。

「許さないよ、アムル。マーリクに純潔をささげるなんて……。
大丈夫、アムルは何も心配しなくていいよ。最初から、こうするつもりだったんだ。
俺が、全部、始末をつけるから!」

「あっ、くっ、う……」


 アミードがアムルの首筋をきつく吸った。

 アミードはアムルの身体の自由を奪ったが、感覚はそのせいでむしろ研ぎ澄まされてしまっていた。 



 ――アミードが触れた部分、全部が熱い……。


 すでにアミードには、感じるところを知り尽くされている。



「アムル、そんなに怯えないで。一つになることは、すごく素晴らしいことなんだよ……」

 自らも全裸になったアミードがアムルの手をとり、自分のたぎった一物に導いた。


「やだっ、アミードっ……」

「わかる? アムルのせいでこうなってるんだよ」

「アミード、だめだ……っ、んっ……」


「アムルのここ、濡れてきてる……、わかる? 俺に感じてくれてるの、うれしい」

 アミードはほほ笑むと、アムルの乳首に舌を這わせて、ゆっくりと舐め始める。
 しだいにアムルの息が上がっていく。


「だめ、だめ、アミード……、こんなこと……っ」


「アムル……、俺を受け入れて…‥、アムルと一つになりたい。戻りたいんだ……、俺たちはもともと一つだ…‥」


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