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第1話 王のお渡り

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 アムルが、今から王のお渡りがあると侍女から聞かされたのは、ちょうど寝台の上で5歳と3歳になる娘に絵本を読んでやろうとしているときだった。

「今から?」

 アムルは怪訝そうに眉根を寄せる。

「今から、です」

 あきれたような口ぶりで、侍女がてきぱきと支度を始める。

「でも確か今夜は、こんど王宮に輿入れされたばかりの方のもとに行くと……」

「シャリーファ様です、シャリーファ様の寝所に行ってから、そのあとでこちらに来られると、王からさきほどお達しが」

 侍女としても、今夜の仕事は終わったと思っていた時に、王のお渡りが告げられて計画が崩れたのだろう。

 侍女はため息をつきながら、アムルのベッドに入り込んでいた5歳のマイイと、3歳のルゥルゥを急かした。

「姫様、陛下がこれからこちらに来られます。姫様たちはお部屋にお戻りください」

「えーっ、嫌よぅ。今日はおかあしゃまと一緒に寝るってお約束したんだもん!」

 まだ3歳になったばかりのルゥルゥは頬を膨らませて、ベッドにもぐりこむ。

「さあ、ルゥルゥ、行きましょ。早くしないとお父様に私たちが怒られてしまうわ。
ご本は私が読んであげるから!」

 しっかりもののマイイがルゥルゥを抱き上げる。

「ごめんね。マイイ、ルゥルゥ」

 アムルは二人の頭を撫でる。マイイは父親譲りの赤毛、ルゥルゥはアムルそっくりの水色の直毛だった。

 いっそのこと、3人でマーリクを迎えてやろうかと考えたが、そんなことをしたら、マーリクにあとでどんな仕返しをされるかわからないとアムルは思い直した。

「またご本読んでね」

「明日いっしょに遊びましょ」

 二つの小さな可愛らしい手を握る。

「うん、明日ね。マイイは本を選んでおいて。ルゥルゥは何して遊ぶか考えておいてね」

 二人に約束しながら、今夜はいったい何回で解放されるのだろうかと、アムルはこれからの自分を憂いた。



 侍女たちの支度が終わった瞬間を見計らったかのように、王がアムルの寝所に入ってきた。

「陛下、今日はいらっしゃらないはずではなかったのですか? おかげで何も準備ができておりません」

 恨めしげに見上げると、マーリクは破顔した。

「ははっ、ここまで私を嫌がる側室はお前だけだぞ、アムル!」

「それなら、もっと陛下の訪問を喜ばれる方の元に行かれては…‥っ、わっ」

 突然マーリクに抱き上げられ、アムルは思わずマーリクの首にしがみついた。

「そうやってお前に憎まれ口をたたかれに、わざわざここまで出向いたのだ」

 アムルを寝台へ落とすと、マーリクはアムルへにじり寄った。

「悪趣味ですね。ほかに陛下を待っていらっしゃる方はたくさんいるのに……、っ……」

 口づけを受け、アムルの身体が寝台へ沈んでいく。

「お前のその水色の瞳が、私を狂わせるんだ……」

 舌を絡ませ合うと、アムルの息も上がっていく。

 アムルの夜着をはぎ取ろうとするマーリクの手を、アムルが止めた。

「今夜はシャリーファ様の元へいらしたんでしょう?」

「もしや妬いてくれているのか? お前が嫉妬とは、珍しいな」

 マーリクは、はだけた夜着からのぞく、アムルの桃色の乳首をきゅっとつまむ。

「ん、あ……」

 アムルの反応に気をよくしたのか、マーリクはアムルの身体の上に乗り上げると、アムルの乳首を舐め始めた。
 片方の手では、固くとがり始めたもう一方の乳首をつまんで捏ね上げる。


「嫉妬では、ありません……っ、聞けば18歳になったばかりの乙女だというではありませんかっ!
そんな方を寝所に一人残して、なぜ、貴方はっ、ここにっ……っ、やっ、あ……」

「ふふ、アムルは本当に可愛いな。まだ年若い乙女に嫉妬しているんだろう?
だが、安心しろ、アムル。18の乙女と言えど、お前の麗しさには到底かなわない……、
ほら、腰が揺れているぞ……」

 マーリクが、夜着の裾から手を差し入れ、たち上がり始めたアムルの陰茎をつかんだ。

「やっ、はぁッ……」
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