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【番外編】

アスランの物語 11

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 そうこうしているうちに、魔法騎士団のコミュニケーションパーティ当日となった。

 ククリはこの日のために、なんと俺にきらびやかな礼服をプレゼントしてくれた!


 俺には少し派手かと思われたその礼服だが、袖を通してみると意外にもすっきりと着こなすことができた。



 ――さすが、俺のククリ!! ここまで俺のことをわかってくれているとは!

 やはり、ククリと離婚するなどもってのほか!

 
 だが、俺が心を込めてククリに礼を言っても、ククリはどこか上の空だった。





 ――俺は、ある仮説を立てていた。

 ククリの突然の変化、それは誰かの差し金によるものではないのか……と。



 俺の頭に、思い当たる人物の顔が浮かぶ。


 ――以前からククリに執着し、いまだどんな縁談も断り続けているという、蛇のように執念深いあの男……。

 ――いや、それとも、実の兄という立場でありながら、ククリに邪念の入った眼差しを向け続けているあの男か……。

 ――一番疑わしいのは、ククリの誕生日までに俺との離婚をなんとしても成立させたい、ククリの産みの親である元王女…‥。



「アスラン、もう出なきゃ、間に合わないよ?」

 ククリに袖を引っ張られ、俺は我に返る。


「ああ、ごめん、ククリ。
じゃあ、行こうか。楽しみだね」


「……」


 ドレスから、紳士用の礼服姿に変わったククリは、やはり俺の目にはまぶしすぎ、かつ刺激的すぎて、俺は馬車の中で何度も精神統一しなければならないほどだった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 パーティ会場に到着したククリは、俺のことなどそっちのけで、誰かを探しているような様子だった。


 例年、このコミュニケーションパーティでは、ククリはずっと俺の側から離れず、話しかけてくる女性たちににらみを利かせてくれていたのだが、今年は俺とは腕も組んでくれない。

 おかげで、団員の家族のご令嬢や女騎士たちが、あっという間に俺の周りに集まり始めてしまった。

 
 女性たちをかわしながらも、俺はククリに目を光らせていたのだが、魔法騎士団のエリザ団長から声をかけられたククリが、彼女の後姿をいつまでもぼおっと見つめていることに気づき、ついに平静ではいられなくなってしまった!!




 ――もしかして、ククリはエリザ団長のことを!?

 ――だから、急に女装を辞めたのか!?

 ――あまり表立って人を褒めることのないエリザ団長も、ククリの今の姿を賞賛していた……。

 ――だが、あの厳格で有名なエリザ団長に限って、人の配偶者に手を出すなど……!

 ――しかしもし、本当にエリザ団長が相手だった場合、決闘を申し込んだ俺は勝利を収めることができるのか!?





「……アスラン?」

 気づくと、ククリの怪訝そうな瞳が俺を見上げていた。


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