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【番外編】

The bridal night 5(終)

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「やっ、あ、あああっ、アスランっ、アスランっ」

 俺は頭のてっぺんからつま先まで、快感に支配されていた。


 いくら薬と使ったとはいえ、こんなところで感じるなんて……、昨日までの俺に、そんなこと想像できただろうか?



「可愛いよ……、ここもトロトロに溶けてきた……」

 うっとりとした調子で、アスランは俺にかがみ込むと、俺自身の先端にキスをした。


「やっ、駄目っ! アスランっ!」

「いっぱい、気持ちよく、してあげる……」


 どこかかすれたようなアスランの声。

 そのままアスランは、俺自身をその口腔にすっぽりと包み込んでしまった。


「ひゃ、あ、あああああっ!!!!」


 自分じゃないみたいな甲高い叫び声。


 アスランは頭を動かして、俺に舌を絡ませ、そのまま吸い上げる。



「あっ、やあっ、んっ、はっ……、ああああんっ!!」


 一方で、その長い指は、すでに俺の中に三本埋め込まれ、俺の内部をうねうねと広げ続けている。



「駄目っ、アスラン、アスランっ!! 俺もうっ、出るっ、出ちゃうっ!! お願いっ!!」

 俺はアスランの髪を掴んで引っ張る……が、アスランはびくともしない。


 ーークソっ、初めてのくせに、なんでこんなに上手いんだっ!!??


 アスランの超絶テクに、俺はもう、昇天寸前……!!!!



 そんな俺をどこまでも翻弄するアスランは、ようやく俺から口を離すと、その濡れた唇を手の甲で拭った。

 ーーその凄まじい色気といったら……!!



「じゃあ、もう、いいかな? ククリ……、力を抜いて、
ゆっくり、深呼吸だよ……」

 起き上がったアスランが、俺の太ももを撫でる。


「……っ!」

 アスランのいきり立った雄が、俺の後孔にあてがわれた。


「アスランっ!」

 俺はアスランの腕をぐっと掴んだ。


「ククリ、俺の目を見て」

 俺をじっと見つめる紫の瞳。


「アスラン……」


「俺を、信じて。……愛してる、ククリ」



 俺はアスランの言葉に、心から安心して……、
 
 そして、


 ーーアスランとこうなれることに、心から幸せを感じていた……。




「俺も、愛してる……、アスラン……、
いいよ、来て……」


 俺が力を抜くと、アスランがぐっと腰を進めた。


「んっ……、くっ……」

 やはりその衝撃と重量は想像以上で、俺は圧迫感に思わずくぐもったうめき声をあげた。


「ククリ……、ククリの中、キツくて、熱くて……、たまらない……」

 アスランの吐息が俺の唇にかかる。


「アスランっ、キスして!」

 俺の言葉にアスランは微笑むと、奪い尽くすような口づけで俺をとろけさせた。


「ん……、あ……」


「はっ、ククリっ、ちょっと、だけ、力、抜いて……」



 眉根を寄せるアスランの顔が悩ましげで、俺はしばし見とれた。

 でも……、


「うわっ、あ、ああああ!」


 アスランが俺の肩をつかみ、更に中へと進むと、俺の背は反り、やり場のない感覚に襲われた。


「ククリ、大丈夫? つらくない?」


「大丈夫っ、だから……っ」


 俺は、アスランの背中に手を回す。



「俺に、アスランを、全部、頂戴っ……!」



 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「あっ、ああっ、んっ、あ、ああああ!」


 アスランに揺さぶられている。


 最初は圧迫感しかなかったはずなのに、ゆっくりと中をこすられると、俺の身体は次第に快感を拾い始めた。



「気持ち、いい……、アスラン……!」



「ああっ、ククリっ、ククリっ……!」


 俺の頬の上に、熱いしずくが落ちる。



「アス、ラン……?」


 目を開けると、俺の上でアスランは、


 ーー泣いていた……。



「ククリ、ありがとう。俺を受け入れてくれて……、ありがとう……、俺を、好きになってくれて……」


「アスラン……っ」

 繋がったまま、俺はアスランの頬を拭う。


「ククリ……」


「アスラン、アスランをもっと、俺に、ちょうだい!
アスランで、俺をいっぱいにして!」



 アスランを抱き寄せ、今度は俺からアスランにキスをした。



 それから、それから……、




 アスランは本当に、そのあと俺を、もう嫌っていうくらいアスランでいっぱいにして……、



 ーー俺たちが船を降りたのは、結局それから一週間経ったあとだった……。










 ーーこれが、俺とアスランの初夜のお話。






 (了)










※次回からは、アスランsideのストーリーです!





 


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