上 下
49 / 74

第49話(最終話)

しおりを挟む
「ククリ、じゃあ、こっちにおいで……」


 アスランの熱のこもった瞳……。


「……っ」


 俺は悔しげに下唇を噛むと、頭からすっぽりかぶっていたマントを、床に落とした。


「キレイだよ。ククリ……」

 アスランに全身を視姦されている……、そう思うと俺の全身は熱くなった。


「もうっ、あんまり、見ないで……」

「ククリ、こっちに来て、キス、して……」

 命じられた俺は、ベッドの上に横たわるアスランの上に乗り上げると、その柔らかい唇にキスを落とす。


「ククリっ!!」


 それに反応するように、荒々しいキスを返してくるアスラン。
 

「んっ、あっ……!」

 あっという間に体勢は入れ替えられ、俺はアスランの下で、喰らい尽くされるような口づけにあえいでいた。

 
「はっ……、ああ、この間の水色のドレスも可愛かったけど、このカフェテリアのメイド服は、何度見てもいいな」

 アスランは、当然のごとく俺の胸元のリボンを抜き取ると、鮮やかな手つきでボタンをはずし始める。


「アス、ラン……っ」


「メイドさんになったククリは、すごく可愛いよ……、でも…‥」

 アスランは、はだけた俺の胸元に、舌を這わせた。


「あっ……、ん……、あ……、そこ……」

 俺はアスランの頭を抱きしめ、その髪をかき回した。


「こんな姿、もう誰にも、見せちゃ駄目だよ。……わかってるね、ククリ?」

 すっかり快感を覚えこまされた乳首に吸い付かれると、俺の背がビクンと反った。
 


「んあっ、もうっ、じゃあ、俺に、こんな格好、させる、なよっ……!」

 涙目で俺が睨むと、アスランはその美しい唇を引き上げた。


「ククリ、約束したよね?
ルカを騎士団に入れる代わりに、週に一度は必ず俺のお願い、聞いてくれるって……。
俺の好きな恰好をして、思う存分ククリが俺にご奉仕してくれるって……」


 熱くて荒い息を吐き、アスランが俺のスカートの中に手を入れてくる。

「やっ、やだっ……、アス、ランっ」


「やだじゃないでしょ、ほら、ククリも、こんなに、興奮してるくせに……」

 アスランが、からかうような手つきで、俺自身を下着の上から優しく撫でた。


「く、そ……っ、このっ、ヘンタイっ! やっ、ひゃあああああっ!」

 




 そう、俺は騎士団長として、騎士団のため、大きな代償を支払っていた……。

 ほとんど毎日、ベッドを共にしているにも関わらず……、


 ――俺は、こうして毎週毎週、アスランに命じられた服装で、アスランの思うがまま、身も心も弄ばれているのだ……。




「ひゃあっ、あ……っ!」


「このホワイトブリム、魔法騎士団のカフェテリアで見たときから、これをつけたままのククリをめちゃくちゃにしてみたくてたまらなかったんだ……!」

 アスランが、俺の頭の上の白い飾りをつまむ。


「え? カフェテリア……? 見た……?」

 

「ううん、こっちの話。ね、ククリ……、自分でスカート、持ち上げてみせて?」

「……っ」



 ――結婚してようやく、わかることもある。


 それは、いわゆる、愛しい旦那様の可愛い寝顔だったり、優しい気づかいだったり、

 尽きることのない俺への執着だったり……、

 そして……、


「く……っ」


 スカートをたくし上げて、アスランに自分の恥部をすべて晒す……。
 そんな俺に、アスランは低く囁いた。


「ああ、可愛い……、ククリの、ピクピクしてるよ。ククリは俺に……、どうしてほしいのかな?」



「ああ、アスラン……、早く、俺のこと……、めちゃくちゃにして!!!!」


 ――なぜか、この倒錯した状況にとんでもなく昂っている自分自身だったり……!




 俺の悩ましき問題……、それは……、

 なぜかこの屈辱的ともいえる状況を、俺自身もすっかり受け入れて、楽しんでしまっている、ということ!



「ククリ……、可愛い、愛してるよ。ああ、次はどんな可愛い恰好でエッチしようかな?」


「あ、あんっ、あ……、アスラン……っ、アスランっ……、早くっ……」


「ふふっ、昨日の夜もいっぱい可愛がってあげたから、ほら、ククリのココ、まだ柔らかいね。
もう、一気にいれても、大丈夫かな?」

 アスランが俺の後ろに指を入れてかき回す。
 浅いところを抜き差しされると、浅ましい俺は、もっと快感が欲しいと腰を揺らす。


 

「アスランっ、もうっ、焦らさないで、アスランの早く、頂戴!
俺を、アスランでいっぱいにして!!」

 息も絶え絶えにあえぐと、


「ククリ……、君は、どうして、こんなに……」

 アスランはぐっと俺を引き寄せると、俺の膝を割り開き、そのまま俺に押し入ってきた。


「ひぅっ、あ、あああああっ!!!!」

 挿れられただけで、飛びそうになる意識。



「ああ、ククリ……、君はいけないメイドさんだ。こんなに淫らに、俺を誘って……、
お仕置きが、必要だなっ」

「あっ、あああああんっ!!」

 どちゅんと最奥まで穿たれると、もう何も考えられなくなる。


「アスランっ、いっぱいちょうだい! ああっ、んっ、すごい、すごいよぉ……」


「ククリっ、ああっ、愛してる、愛してる……、全部、俺のものだ……、全部……っ!」


 激しく打ち付けられる腰。



「あっ、あんっ、もっと、もっとぉ、アスランっ……!!!!」


 俺の内奥は、アスラン自身をきゅんきゅんと締め付けて……。






 ――どうしてこうなった!?


 俺は、俺はっ……、



 ――俺は、男の娘は、もうやめたはずなのにーー!!!!







 (了)








 







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 最後まで読んでいただきありがとうございます!
 これでこの物語の本編は完結!!ですが、
 ストーリーの構成上、あっさり飛ばされてしまった二人の初夜編、また謎多き男(?)アスラン視点など、
番外編にまだまだ続く予定です!
 ぜひぜひ番外編も併せてお楽しみいただけると、うれしいです!!

 また本編完結いたしましたので、当初の予定通り、感想欄も開けておきますので
読後の感想などお聞かせいただけると大変喜びます!

 お気に入り登録、エール、いいね♡ たくさんありがとうございます。
 更新の糧となりました!! また番外編に向けても、引き続き応援よろしくおねがいします!!


 読んでいただいた皆様へ愛と感謝を込めて!!


 .mizutama.
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。  無言で睨む夫だが、心の中は──。 【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】 4万文字ぐらいの中編になります。 ※小説なろう、エブリスタに記載してます

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

ブレスレットが運んできたもの

mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。 そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。 血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。 これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。 俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。 そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?

【Amazonベストセラー入りしました】僕の処刑はいつですか?欲しがり義弟に王位を追われ身代わりの花嫁になったら溺愛王が待っていました。

美咲アリス
BL
「国王陛下!僕は偽者の花嫁です!どうぞ、どうぞ僕を、処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(笑)」意地悪な義母の策略で義弟の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王子のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?(Amazonベストセラー入りしました。1位。1/24,2024)

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

処理中です...