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第40話
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
前世の俺は、職業柄いろんな人間と知り合うことも多く、交友関係は非常に広かった。
また見た目もそこそこ良く、性格も明るく開放的だったせいもあり、女性だけでなく男性からもそういう誘いを受けることもあった。
だが、そこそこ派手に遊んでいそうな外見とは裏腹に、俺は……、
性的な触れ合いに、極度の嫌悪感を抱いていた……。
それは、俺が専門学校を卒業してすぐ、有名スタイリストのアシスタントとして働きだしてすぐの頃だった。
俺は、そのスタイリストに昔から憧れていて、その人のもとで働けることになって本当に舞い上がっていた。職場では毎日新しいことが学べたし、きらびやかな芸能人や有名人と知り合えることも刺激的だった。
俺は、そのスタイリストにとても可愛がられていた。でもそれは、俺の仕事ぶりを認めてくれていたわけでは決してなくて……。
『なあ、いいだろ? お前も一回くらい男も試してみろよ。案外いいもんだぜ……』
仕事打ち上げと称したサシ飲みの帰り、人気のない裏道に引きずり込まれて、その既婚で娘もいるその男にベロチューをかまされ、尻を揉みしだかれた俺は……、
男をぶん殴ってアシスタントの仕事をクビにされた挙げ句、極度の人間不振と、性嫌悪症を発症してしまったのだ!!!!
だから……、
もし俺の今生の「ククリ・ベリーエフ」と、俺の前世で共通するものがあるとすれば……、
それは「性的なものへの耐性のなさ!」それにつきるだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺を横抱きにしたルカは、そのまま屋敷の二階に上がっていった。
すべての動きを封じられた俺は、ただそのルカの美しい顔を見上げることしかできなかった。
「ククリ様、怯えないで……。
大丈夫、何も心配いりませんよ」
自室に入ったルカは、その奥の寝台に、俺の身体をそっと落とした。
「……」
「ククリ様……、この日をどれほど夢見たことか……。
ふふ、そんなに怖がらなくても、取って食ったりはしませんよ……」
シーツに埋もれた俺の身体は、小刻みに震えていた。
もし前世を思い出していなければ、きっと俺はまだルカに何をされるか、わかっていなかっただろう。
だが、今の俺は、ルカが俺に何をするためにここに連れてきたのか、わかりすぎるくらいよくわかっていた。
ーーまさか、ルカが、俺を!?
ーーでも、どうして?
目で訴えかける俺に、ルカは喉を鳴らした。
「ああ、もちろんアスランは、貴方と肌を合わせたことなど、一度もないのでしょうね。
あの愚か者は、バカ正直に言いつけを守り、ククリ様に手を出さず、ずっと辛抱強く待っていた……。
で、その結果が、これだ!
ククリ様の純潔は、今から私によって散らされる……。
くくっ、あいつの絶望する顔が目に浮かぶようだ……」
ルカは俺の頬を愛しげに撫でた。
前世の俺は、職業柄いろんな人間と知り合うことも多く、交友関係は非常に広かった。
また見た目もそこそこ良く、性格も明るく開放的だったせいもあり、女性だけでなく男性からもそういう誘いを受けることもあった。
だが、そこそこ派手に遊んでいそうな外見とは裏腹に、俺は……、
性的な触れ合いに、極度の嫌悪感を抱いていた……。
それは、俺が専門学校を卒業してすぐ、有名スタイリストのアシスタントとして働きだしてすぐの頃だった。
俺は、そのスタイリストに昔から憧れていて、その人のもとで働けることになって本当に舞い上がっていた。職場では毎日新しいことが学べたし、きらびやかな芸能人や有名人と知り合えることも刺激的だった。
俺は、そのスタイリストにとても可愛がられていた。でもそれは、俺の仕事ぶりを認めてくれていたわけでは決してなくて……。
『なあ、いいだろ? お前も一回くらい男も試してみろよ。案外いいもんだぜ……』
仕事打ち上げと称したサシ飲みの帰り、人気のない裏道に引きずり込まれて、その既婚で娘もいるその男にベロチューをかまされ、尻を揉みしだかれた俺は……、
男をぶん殴ってアシスタントの仕事をクビにされた挙げ句、極度の人間不振と、性嫌悪症を発症してしまったのだ!!!!
だから……、
もし俺の今生の「ククリ・ベリーエフ」と、俺の前世で共通するものがあるとすれば……、
それは「性的なものへの耐性のなさ!」それにつきるだろう。
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俺を横抱きにしたルカは、そのまま屋敷の二階に上がっていった。
すべての動きを封じられた俺は、ただそのルカの美しい顔を見上げることしかできなかった。
「ククリ様、怯えないで……。
大丈夫、何も心配いりませんよ」
自室に入ったルカは、その奥の寝台に、俺の身体をそっと落とした。
「……」
「ククリ様……、この日をどれほど夢見たことか……。
ふふ、そんなに怖がらなくても、取って食ったりはしませんよ……」
シーツに埋もれた俺の身体は、小刻みに震えていた。
もし前世を思い出していなければ、きっと俺はまだルカに何をされるか、わかっていなかっただろう。
だが、今の俺は、ルカが俺に何をするためにここに連れてきたのか、わかりすぎるくらいよくわかっていた。
ーーまさか、ルカが、俺を!?
ーーでも、どうして?
目で訴えかける俺に、ルカは喉を鳴らした。
「ああ、もちろんアスランは、貴方と肌を合わせたことなど、一度もないのでしょうね。
あの愚か者は、バカ正直に言いつけを守り、ククリ様に手を出さず、ずっと辛抱強く待っていた……。
で、その結果が、これだ!
ククリ様の純潔は、今から私によって散らされる……。
くくっ、あいつの絶望する顔が目に浮かぶようだ……」
ルカは俺の頬を愛しげに撫でた。
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