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第22話
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「あっ、アスランっ、どうしてっ!?」
慌てて俺が振り返って、兄・ジェノを確認すると……、
なんとジェノ兄様は、アスランが引き連れていたはずの女性陣に囲まれ、ニヤけ顔かつ上機嫌でなにやら演説をぶっていた!!
ーーくそっ、アスラン、いったいどんな魔法を使ったんだ!?
「駄目だよ、ククリ、夫である俺に試食もさせていないものを、赤の他人にむやみに食べさせたりしたら……」
まるで怒ってもいないような穏やかな顔で俺に言うと、アスランは当然のごとく、ルカが手にしていたクッキーを取り上げ、自分の口の中に放り込んだ。
「アスランっ、それはっ!!!!」
「ん……っ」
一瞬目を見開くアスラン。
だが、即座にその顔はいつも通りになり、咀嚼を終えてDEATHクッキーを飲み込んだアスランは、俺に向き直った。
「あ、アスラン……、これは、その、つまり……」
ーーもしや、アスランには俺の計画、すべてお見通しなのか!?
狼狽する俺に、アスランはいつもの優しげな笑みを向けた。
「ほら、ククリ、やっぱり塩と砂糖を間違えてたみたいだよ。
また今度、家で俺と一緒に二人で作り直そう?
ルカ、悪いがこれは回収させてもらうよ。
今度、他人である君には、俺の手作りクッキーをごちそうしよう!」
「おのれ……っ、アスランっ……、せっかくククリ様が、私だけのために……っ」
ギリリ、と歯ぎしりするルカ。
ーールカっ、お前はアスランのおかげで命拾いしたんだぞ!
っていうか、あんなものを飲み込んだアスランの身体は大丈夫なのかっ!?
不安げにアスランを見上げる俺に、アスランはかがみ込み、俺だけに聞こえるように耳元で言った。
「大丈夫だよ、ククリ。塩と砂糖を間違えた以外は、すごく美味しかったから!」
ーー絶対、嘘だろぉおおおおおおお!!!!
もしかして、アスランの味覚が異次元にぶっ飛んでいるのか、それとも、やばいものを調合しすぎた結果、奇跡が舞い降りて偶然にもそこそこ美味しいクッキーを作り上げてしまった、とか……!?
やばい、今生の俺ってもしかして、料理の天賦の才が備わっていたりする!?
「ククリ、行こうか。ルカ、また明日」
呆然とする俺の背中に手を置くと、アスランはくるりとルカに背を向ける。
「アスラン、そうやってすました顔をしていられるのも、今のうちだからな……」
ルカは忌々しげに低い声で、そうアスランの背中に呟いた……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、すべてのミッションを失敗に終えた俺……。
だが、コミュニケーションパーティ自体は無事終えた今……、
「突然なんだけどさ、アスラン、俺たち、離婚しよう!」
俺は夕食の席で、アスランについに離婚を切り出した!!
「……」
何事もなかったようにフォークとナイフを動かし続けるアスラン……。
ーーアレ? 聞こえなかったのか?
「アスラン、あの、俺たち、離婚……」
「ちゃんと聞いてるよ。ククリ」
アスランの落ち着いた声音。
「あの、さ、それで、アスランは、どう……」
「ククリ、離婚は、できない」
静かに俺に告げるアスラン。
その唇には、笑みさえ浮かんでいた……。
「え、でも……、なんで……?」
「俺達は神聖な教会で、神の前で、一生添い遂げると誓い合ったよね。
あれは、軽はずみな気持ちからだったの?」
アスランの紫色の瞳の奥に浮かぶ感情……。
それがなんなのか、今の俺にはわからない。
「いや、そういうわけじゃない。俺はけっしていい加減な気持ちで、アスランと結婚したわけじゃ……」
「それなら、好きな人でも、できたの?
俺のことをあれほど好きだと言っていたのを、忘れてしまうくらい……」
「違うよっ!!」
俺は大声でいうと、ガタンとその場に立ち上がった。
ーーそれは、アスラン、お前が、アナスタシアと……!!!!
「俺に好きな人なんて、そんなの……、ありえないよ……!!」
「じゃあ、離婚する意味なんて、ないよね、ククリ。
それなら、やめておこうよ」
まるで俺が無駄な買い物をしようとするのを止めるような軽い物言い……。
「でも、アスラン……」
「たとえ何があろうと、俺は絶対にククリとは離婚しない。さ、話はこれで終わり。
そんなことよりククリ、今日のデザートはレモンパイだよ。ククリ、昔これに目がなかったよね!」
「……っ!」
快く離婚を承諾するどころか、アスランに話し合いすらも拒絶され、俺はあえなくそのまま椅子に座るしかなかった……。
慌てて俺が振り返って、兄・ジェノを確認すると……、
なんとジェノ兄様は、アスランが引き連れていたはずの女性陣に囲まれ、ニヤけ顔かつ上機嫌でなにやら演説をぶっていた!!
ーーくそっ、アスラン、いったいどんな魔法を使ったんだ!?
「駄目だよ、ククリ、夫である俺に試食もさせていないものを、赤の他人にむやみに食べさせたりしたら……」
まるで怒ってもいないような穏やかな顔で俺に言うと、アスランは当然のごとく、ルカが手にしていたクッキーを取り上げ、自分の口の中に放り込んだ。
「アスランっ、それはっ!!!!」
「ん……っ」
一瞬目を見開くアスラン。
だが、即座にその顔はいつも通りになり、咀嚼を終えてDEATHクッキーを飲み込んだアスランは、俺に向き直った。
「あ、アスラン……、これは、その、つまり……」
ーーもしや、アスランには俺の計画、すべてお見通しなのか!?
狼狽する俺に、アスランはいつもの優しげな笑みを向けた。
「ほら、ククリ、やっぱり塩と砂糖を間違えてたみたいだよ。
また今度、家で俺と一緒に二人で作り直そう?
ルカ、悪いがこれは回収させてもらうよ。
今度、他人である君には、俺の手作りクッキーをごちそうしよう!」
「おのれ……っ、アスランっ……、せっかくククリ様が、私だけのために……っ」
ギリリ、と歯ぎしりするルカ。
ーールカっ、お前はアスランのおかげで命拾いしたんだぞ!
っていうか、あんなものを飲み込んだアスランの身体は大丈夫なのかっ!?
不安げにアスランを見上げる俺に、アスランはかがみ込み、俺だけに聞こえるように耳元で言った。
「大丈夫だよ、ククリ。塩と砂糖を間違えた以外は、すごく美味しかったから!」
ーー絶対、嘘だろぉおおおおおおお!!!!
もしかして、アスランの味覚が異次元にぶっ飛んでいるのか、それとも、やばいものを調合しすぎた結果、奇跡が舞い降りて偶然にもそこそこ美味しいクッキーを作り上げてしまった、とか……!?
やばい、今生の俺ってもしかして、料理の天賦の才が備わっていたりする!?
「ククリ、行こうか。ルカ、また明日」
呆然とする俺の背中に手を置くと、アスランはくるりとルカに背を向ける。
「アスラン、そうやってすました顔をしていられるのも、今のうちだからな……」
ルカは忌々しげに低い声で、そうアスランの背中に呟いた……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、すべてのミッションを失敗に終えた俺……。
だが、コミュニケーションパーティ自体は無事終えた今……、
「突然なんだけどさ、アスラン、俺たち、離婚しよう!」
俺は夕食の席で、アスランについに離婚を切り出した!!
「……」
何事もなかったようにフォークとナイフを動かし続けるアスラン……。
ーーアレ? 聞こえなかったのか?
「アスラン、あの、俺たち、離婚……」
「ちゃんと聞いてるよ。ククリ」
アスランの落ち着いた声音。
「あの、さ、それで、アスランは、どう……」
「ククリ、離婚は、できない」
静かに俺に告げるアスラン。
その唇には、笑みさえ浮かんでいた……。
「え、でも……、なんで……?」
「俺達は神聖な教会で、神の前で、一生添い遂げると誓い合ったよね。
あれは、軽はずみな気持ちからだったの?」
アスランの紫色の瞳の奥に浮かぶ感情……。
それがなんなのか、今の俺にはわからない。
「いや、そういうわけじゃない。俺はけっしていい加減な気持ちで、アスランと結婚したわけじゃ……」
「それなら、好きな人でも、できたの?
俺のことをあれほど好きだと言っていたのを、忘れてしまうくらい……」
「違うよっ!!」
俺は大声でいうと、ガタンとその場に立ち上がった。
ーーそれは、アスラン、お前が、アナスタシアと……!!!!
「俺に好きな人なんて、そんなの……、ありえないよ……!!」
「じゃあ、離婚する意味なんて、ないよね、ククリ。
それなら、やめておこうよ」
まるで俺が無駄な買い物をしようとするのを止めるような軽い物言い……。
「でも、アスラン……」
「たとえ何があろうと、俺は絶対にククリとは離婚しない。さ、話はこれで終わり。
そんなことよりククリ、今日のデザートはレモンパイだよ。ククリ、昔これに目がなかったよね!」
「……っ!」
快く離婚を承諾するどころか、アスランに話し合いすらも拒絶され、俺はあえなくそのまま椅子に座るしかなかった……。
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