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第43話
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「セファーっ、一体どうしたんだっ!?」
宿屋に戻ると、薄暗い部屋の中、セファーがベッドの上でうめき声をあげていた。
「……っ、大丈夫だっ、少し眠れば治る……っ」
まるで手負いの獣のように、身体を丸めるセファー。
「何言ってるんだっ、全然大丈夫なんかじゃないだろ!」
俺は強引に被っていた掛布を剥ぎ取る。
セファーは、黒いマントを着たまま、ベッドに横たわっていた。
「身体が熱いっ、すごい熱じゃないか! ちょっと見せて」
「必要ない……っ!」
俺は嫌がるセファーのマントをめくり、セファーの身体を確認する。
「……っ!!」
俺は絶句した。
シャツをめくると、セファーの上半身のほとんどは、紫色に変色していたのだ。
「これ、毒、だよね……? セファー、毒を持った魔獣と戦ったのか!?」
王宮の図書室の書物で読んだことがある。
この世界には強烈な毒をもった魔獣が存在しており、一度その毒に侵されると、全身が紫色に変色し、やがては死に至ってしまう……。
「少しかすった程度だ……、寝ていれば治る……っ」
だがセファーの息は荒く、身体は汗で湿っていた。
このままでは、毒が全身に回るのは時間の問題だ!
「駄目だよ! すぐ専用の薬で解毒しなきゃ、手遅れになる! 俺すぐに買ってくるから、待ってて!」
「この解毒薬はそのあたりの薬屋には売っていない……、もし売っていたとしても……、高価すぎて手が出せない……」
セファーが苦しげに眉間にシワを寄せる。
だからセファーは、どうすることもできず、ここに戻って寝ていたのだ。
「大丈夫、俺がなんとかする! だからここで待ってて!」
銀貨の入った革袋を俺は握りしめる。
最悪足りなければ、俺の足を切って、ナセルからもらったアンクレットと引き換えにしたっていい!!
ーー俺は、町へと駆け出していた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
セファーの言った通り、屋台に出ている薬屋には、専用の解毒薬はおいていなかった。
「あの薬は滅多に出ないからなあ。しかも、高すぎてこの辺のやつじゃ、誰も買えやしねえ。
……あ、でも待てよ、今この町に来てるあの店の商人なら、扱ってるかもしれねえ。
なにしろデカい商売をしてる有名な大店だからな!」
そう言って店の男に教えてもらった場所に出向いた俺。
そこは、借りの店舗となっているらしい白いテントが張られていた。
「あれっ、誰かと思えば先生じゃん! 慌てた顔してどーしたの?」
テントから顔を出したのは、なんと、俺の算術の生徒であるボルカだった。
「え、ボルカ? どうして、ここに?」
「ここ、兄貴の店のこの町での出張所! 私も手伝いに出るようになったんだよ!」
得意げに胸を張るボルカに、俺は心底ホッとしていた。
「お願いだ、ボルカ! バルロさんに……、君の兄さんに話があるんだ!」
宿屋に戻ると、薄暗い部屋の中、セファーがベッドの上でうめき声をあげていた。
「……っ、大丈夫だっ、少し眠れば治る……っ」
まるで手負いの獣のように、身体を丸めるセファー。
「何言ってるんだっ、全然大丈夫なんかじゃないだろ!」
俺は強引に被っていた掛布を剥ぎ取る。
セファーは、黒いマントを着たまま、ベッドに横たわっていた。
「身体が熱いっ、すごい熱じゃないか! ちょっと見せて」
「必要ない……っ!」
俺は嫌がるセファーのマントをめくり、セファーの身体を確認する。
「……っ!!」
俺は絶句した。
シャツをめくると、セファーの上半身のほとんどは、紫色に変色していたのだ。
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「少しかすった程度だ……、寝ていれば治る……っ」
だがセファーの息は荒く、身体は汗で湿っていた。
このままでは、毒が全身に回るのは時間の問題だ!
「駄目だよ! すぐ専用の薬で解毒しなきゃ、手遅れになる! 俺すぐに買ってくるから、待ってて!」
「この解毒薬はそのあたりの薬屋には売っていない……、もし売っていたとしても……、高価すぎて手が出せない……」
セファーが苦しげに眉間にシワを寄せる。
だからセファーは、どうすることもできず、ここに戻って寝ていたのだ。
「大丈夫、俺がなんとかする! だからここで待ってて!」
銀貨の入った革袋を俺は握りしめる。
最悪足りなければ、俺の足を切って、ナセルからもらったアンクレットと引き換えにしたっていい!!
ーー俺は、町へと駆け出していた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
セファーの言った通り、屋台に出ている薬屋には、専用の解毒薬はおいていなかった。
「あの薬は滅多に出ないからなあ。しかも、高すぎてこの辺のやつじゃ、誰も買えやしねえ。
……あ、でも待てよ、今この町に来てるあの店の商人なら、扱ってるかもしれねえ。
なにしろデカい商売をしてる有名な大店だからな!」
そう言って店の男に教えてもらった場所に出向いた俺。
そこは、借りの店舗となっているらしい白いテントが張られていた。
「あれっ、誰かと思えば先生じゃん! 慌てた顔してどーしたの?」
テントから顔を出したのは、なんと、俺の算術の生徒であるボルカだった。
「え、ボルカ? どうして、ここに?」
「ここ、兄貴の店のこの町での出張所! 私も手伝いに出るようになったんだよ!」
得意げに胸を張るボルカに、俺は心底ホッとしていた。
「お願いだ、ボルカ! バルロさんに……、君の兄さんに話があるんだ!」
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