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第27話
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目を開けるとオリーブ色の瞳が、俺を見つめていた。
「!!!!」
「おはよー、お姫様! 昨日はよく眠れたか?」
そう言って、俺に手を伸ばしてくる色男。
「……ヒッ!」
次の瞬間、俺の視界はぐるりと反転し、今度は深いブルーの瞳が俺を苛立たしげに見つめていた。
「……」
「セ、セファー、お、おはよ……」
「そう睨むなよ、ちっちぇー男だな! 俺は神官様に朝の挨拶をしただけだろ?」
「貴様っ……、何度言ったらわかる!? この人に馴れ馴れしく話しかけるな!」
俺を自分の胸に抱き込むようにすると、セファーはバルロに向かって威嚇する。
「うわっ、こわーい! いいだろ? だって目が覚めたら、騎士様に後ろから抱きつかれた神官様が、俺の方を向いてスヤスヤ眠ってたんだからさ。
ちょっと見てただけだろ? そうカッカするなよ、減るもんじゃなし!」
「減る!! 今度この人の寝顔を見てみろ! 貴様の両目を潰してやる!」
ーーうわあぁー! 俺の寝顔ごときで、どうしてこんなに激しいバトルになってしまうのか?
きっとセファーとバルロの相性が悪すぎるせいなんだ。
……どんな些細なことでも、すぐに口論に発展してしまう。
「セファー、セファー、ほら、そんなに怒らないで、大丈夫だよ」
俺はセファーを落ち着かせるため、ギュッとセファーを抱きしめてやる。
「……」
ーーうーん、セファーは護衛騎士として、俺を守るという使命感に燃えているんだろうなあ……。ちょっと的はずれなところもあるけれど。
俺がセファーをなんとかなだめ、テントの中では朝の腹ごしらえとなった。
「多分明日の夕方には、コストーにつけると思うんだよな。
俺たちはコストーにしばらくとどまって、商売をしてから次の目的地に向かうつもりだ。
あんたらは、どうするつもりだ?」
「俺たちも、しばらくコストーにとどまる。
その間に金を稼いで、ルドビまでの装備を整える。借りた金も、すべて返済するつもりだ」
バルロの問いに、セファーが答えた。
「ふぅん、しっかし、金貨21枚とは、そう簡単に稼げる額じゃないぜ。
別に、金儲けのアテがあるってわけでもないんだろ?
騎士様が身売りするつもりがないんなら、どうやって稼ぐつもりだよ?」
セファーがバルロをギロリと睨む。
「闇ギルドに行くつもりだ」
「闇、ギルド、だってえー?」
バルロが目を剥く。
一緒に朝食をとっていた商人たちも、顔を見合わせた。
「騎士の兄さん、それはちょっとばかり、危険すぎやしないか?」
商人たちもうんうんと頷く。
「闇ギルドが一番手っ取り早い。コストーは大きな町だ。闇ギルドがあることは知っている。
バルロ、もしツテがあるなら紹介してほしい」
「そりゃ、あるっちゃ、あるけどよ……。神官様、アンタはそれでいいのか?
もし、騎士の兄さんの身になにかあったら……」
「俺は、大丈夫だ。この人を残して、俺は絶対に死ねない」
セファーの言葉に、バルロはまたピューッと口笛を吹いた。
「こりゃまた、お熱いことで!
しかし、騎士の兄さん。俺も話でしか聞かないが、闇ギルドってのは、きっとアンタが考えているよりも、もっともっと過酷なところだぜ?」
「この人と一緒に砂漠に出た時点で、もうとっくに覚悟はできている」
セファーの決意に満ちた瞳……。
「セファー……」
俺の護衛を命じられたばかりに、セファーは危険な場所に自ら赴こうとしているのか……?
セファーに守られてばかりの、俺。
何か俺にも、できることは、ないのだろうか?
目を開けるとオリーブ色の瞳が、俺を見つめていた。
「!!!!」
「おはよー、お姫様! 昨日はよく眠れたか?」
そう言って、俺に手を伸ばしてくる色男。
「……ヒッ!」
次の瞬間、俺の視界はぐるりと反転し、今度は深いブルーの瞳が俺を苛立たしげに見つめていた。
「……」
「セ、セファー、お、おはよ……」
「そう睨むなよ、ちっちぇー男だな! 俺は神官様に朝の挨拶をしただけだろ?」
「貴様っ……、何度言ったらわかる!? この人に馴れ馴れしく話しかけるな!」
俺を自分の胸に抱き込むようにすると、セファーはバルロに向かって威嚇する。
「うわっ、こわーい! いいだろ? だって目が覚めたら、騎士様に後ろから抱きつかれた神官様が、俺の方を向いてスヤスヤ眠ってたんだからさ。
ちょっと見てただけだろ? そうカッカするなよ、減るもんじゃなし!」
「減る!! 今度この人の寝顔を見てみろ! 貴様の両目を潰してやる!」
ーーうわあぁー! 俺の寝顔ごときで、どうしてこんなに激しいバトルになってしまうのか?
きっとセファーとバルロの相性が悪すぎるせいなんだ。
……どんな些細なことでも、すぐに口論に発展してしまう。
「セファー、セファー、ほら、そんなに怒らないで、大丈夫だよ」
俺はセファーを落ち着かせるため、ギュッとセファーを抱きしめてやる。
「……」
ーーうーん、セファーは護衛騎士として、俺を守るという使命感に燃えているんだろうなあ……。ちょっと的はずれなところもあるけれど。
俺がセファーをなんとかなだめ、テントの中では朝の腹ごしらえとなった。
「多分明日の夕方には、コストーにつけると思うんだよな。
俺たちはコストーにしばらくとどまって、商売をしてから次の目的地に向かうつもりだ。
あんたらは、どうするつもりだ?」
「俺たちも、しばらくコストーにとどまる。
その間に金を稼いで、ルドビまでの装備を整える。借りた金も、すべて返済するつもりだ」
バルロの問いに、セファーが答えた。
「ふぅん、しっかし、金貨21枚とは、そう簡単に稼げる額じゃないぜ。
別に、金儲けのアテがあるってわけでもないんだろ?
騎士様が身売りするつもりがないんなら、どうやって稼ぐつもりだよ?」
セファーがバルロをギロリと睨む。
「闇ギルドに行くつもりだ」
「闇、ギルド、だってえー?」
バルロが目を剥く。
一緒に朝食をとっていた商人たちも、顔を見合わせた。
「騎士の兄さん、それはちょっとばかり、危険すぎやしないか?」
商人たちもうんうんと頷く。
「闇ギルドが一番手っ取り早い。コストーは大きな町だ。闇ギルドがあることは知っている。
バルロ、もしツテがあるなら紹介してほしい」
「そりゃ、あるっちゃ、あるけどよ……。神官様、アンタはそれでいいのか?
もし、騎士の兄さんの身になにかあったら……」
「俺は、大丈夫だ。この人を残して、俺は絶対に死ねない」
セファーの言葉に、バルロはまたピューッと口笛を吹いた。
「こりゃまた、お熱いことで!
しかし、騎士の兄さん。俺も話でしか聞かないが、闇ギルドってのは、きっとアンタが考えているよりも、もっともっと過酷なところだぜ?」
「この人と一緒に砂漠に出た時点で、もうとっくに覚悟はできている」
セファーの決意に満ちた瞳……。
「セファー……」
俺の護衛を命じられたばかりに、セファーは危険な場所に自ら赴こうとしているのか……?
セファーに守られてばかりの、俺。
何か俺にも、できることは、ないのだろうか?
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