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第18話

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「はっ、はあっ、はあっ……」

 ナセルの顔から、俺の胸に汗がしたたり落ちた。


「……っ、あ、あ、あ、あ……!」


 揺さぶられるたびに、出てしまう高い声。

 鼻にかかっていて、媚びるように、甘い声……。


 ――これは、俺の声なのか!?

 
 そして俺は、自分の意識が飛びかけていることに気づく。



「ヨータ、ヨータ、ヨータっ……!」

 うわごとのように、俺の上で繰り返すナセル。


 いつの間にか俺の拘束は解かれており、その代わりに俺はナセルと向かい合うようにして、両脚を大きく開かされていた。

 俺の足首を持ったナセルが、俺をがつがつと貪っている……。


 ――手早く終わらせるっていったの、どこの誰だよっ!


 喘ぎながらも、シーツをつかんだ俺。

 見上げると、ナセルの銀色の髪の下の薄緑色の瞳の色は、すでにいつもとは違っていた。



 ――コイツ、もう正気を失ってる……。


「ああ、奥が熱くうねっているぞ……、ヨータ……」

 俺に顔を近づけ、噛みつくようなキスをするナセルの肩を、俺は掴んだ。



「ナセルっ、もうっ、いいだろっ!? 終わりにしよう……っ、っ、んっ……!」

「終わる……? 何を言ってるんだ、まだまだ、これからだろう、神子?」

「ひゃっ、あっ、痛っ……」

 ナセルは俺の首筋に噛みついた。


「もうっ、目的は果たしたっ……、だろっ!?
もう何回も……っ、ん、あっ、ナセルっ、もう、やめ……!」

「駄目だっ! まだ、全然、足りない……っ」

 言うとナセルは俺の片足を自分の肩にかけ、さらに接合を深めた。


「んああああっ!!」

「ほら、こんなに悦んで……! 私を、全部呑み込んでくれる。
ヨータ、ヨータ、ほら、離したくないと、お前の中が吸い付いてくるようだ!」

 中をかき回すように腰を振られると、俺の中で熱いかたまりが蠢く。



「んんっ、ああっ、嘘だっ、ダメっ、もうっ、本当に……っ!」


「私を拒絶するなど、絶対に許さないぞ、ヨータ!」

 俺の両肩を押さえつけるようにすると、ナセルがのしかかってきた。


「んぐっ、あ、はあっ……」

 俺は顎を逸らせ、大きく息を吐く。


「ヨータ、お前は知らないだろう。
神子の加護を受けるのがどういうことか!?
私は、今こうしてお前と交合したことにより、生涯妃を娶ることができなくなった!」

 ナセルの瞳が俺をまっすぐに見つめている。


「……っ、くっ……!」


「そうだ、私はこの先、子を為すことも許されない……、
ヨータ、神子のお前が私の子供を産んでくれるというなら、話は別だが」

 にやりと笑うと、ナセルは全体重をかけて、俺の中に肉棒を埋めていく。


「ぐ、あ、ああああっ!」

 衝撃にうめき声が漏れる。


「まだ朝までは時間があるな。ちょうどいい。このまま、お前を孕ませることとしよう」


 耳たぶを噛まれ、俺の中に熱い飛沫が放たれる。



「ああ、あああああっ!」

 狂気に濡れた瞳。


 ーーそして、わかった。


 このナセルもまた、この儀式の犠牲者なのだということが。

 神子の加護を受けるものとして、ナセルはこの国に生贄として差し出されたのだと。

 だから……、



「ごめん…‥、ナセル……」

 俺は両手を、ナセルの背中に回した。



「なぜ、お前が謝る必要がある!?」

 ナセルが息を呑む。


「ごめん、ナセル……、俺がここにきたばっかりに、君に……」

 俺の言葉に、


「うるさい! 情けなど……、お前に憐れまれる筋合いなど、ないっ!」

 ナセルは謝る俺をなじるように、さらに激しく腰を進めてくる。


「ぐっ、あ、あ、ああ、あああっ!」


「許さない、許さないぞ、ヨータ。
絶対に、お前は、私の……」


 ナセルが、俺の奥深くを何度も穿つ。


「ああっ、ダメっ、ダメだっ、もうっ……、ああっ、ああああっ!!!!」




  ――結局、七夜の儀式が終わったのは、夜が明けてからのことだった……。















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