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第11話
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凍てつくような寒さの砂漠の夜――。
しかし、衣服でしっかりとミノムシみたいにくるまれた中、セファーの体躯に包まれた俺の身体は、とても暖かかった。
スケベ展開のためだけに用意されていた眉唾話かと疑っていたが、お互いの体温で暖を取る、というのはなかなか合理的な方法であったらしい。
――人肌って、こんなに暖かいんだなあ……。
そういえば、ナセル王子とはあれだけああいうことをしてきたにもかかわらず、彼からこんな風にすっぽりと抱きしめられた記憶はない。
俺は、王宮に想いを馳せる。
――あの儀式も、ロロが引き継いでくれるのかな?
俺が王宮から追放された今、きっとロロが新しい神子として、俺の仕事をしてくれるのだろう。
――ナセルとロロは相思相愛っぽいし、俺なんかいない方がナセルにとってはいいはずだ。
ロロ相手なら、きっとナセルも、あんな薬に頼らなくて済む。
――ということは、ナセルにとっては、俺がいなくなって、とりあえずはめでたしめでたし、ってところかな……?
肌と肌を合わせるというのは、本当に不思議な感覚だ。
今こうして、セファーの体温を感じているだけで、彼のことをすごく身近に感じている。
――まるでずっと前から、こうしてきたみたいに……。
俺がこんなひどい目に遭っているというのに、ナセルのことを憎み切れないのも、彼とはいろいろあったとはいえ、肌を合わせる関係であったからなのかもしれない……。
俺は目を閉じ、セファーの背にしっかりと腕を回す。
――セファーも少しでも、俺の体温で温まりますように……。
俺が太ももをセファーのそれに摺り寄せると、セファーの全身がビクリと震えた。
「……セファー?」
「……っ、神子っ……、お願いだから、あまり……、動かないでほしい……、
その……、反応、して、しまう……、ので……」
「え、あ? ……あっ、うん、ごめん……っ」
その時俺はようやく気付いた。
俺の下腹部に当たる、固くて立派なモノの存在を……。
――そっか、セファーはまだ若いもんな……。
俺相手にどうのこうのというより、若さゆえの生理現象なのだろう。
「気にしないで……。男同士なんだからさ、大丈夫」
俺はセファーの首元に顔を埋める。
「……」
返事の代わりに、セファーはぐっと俺の背を引き寄せて、さらに身体を密着させた。
――うん、お互い下着はつけたままで、よかった、かも……。
かくいう俺も、彫刻のような美しい肉体を目の前に、それなりに反応していた。
いや、俺は取りたてて男が好きってわけじゃないんだが、なんだかわかんないけど、さっきからセファーからはいい匂いがするし、つまりは……、人間だからさ、美しいものには性別を超えて惹かれる……とか……、とにかくそういうことにしておこう!!!!
しかし、衣服でしっかりとミノムシみたいにくるまれた中、セファーの体躯に包まれた俺の身体は、とても暖かかった。
スケベ展開のためだけに用意されていた眉唾話かと疑っていたが、お互いの体温で暖を取る、というのはなかなか合理的な方法であったらしい。
――人肌って、こんなに暖かいんだなあ……。
そういえば、ナセル王子とはあれだけああいうことをしてきたにもかかわらず、彼からこんな風にすっぽりと抱きしめられた記憶はない。
俺は、王宮に想いを馳せる。
――あの儀式も、ロロが引き継いでくれるのかな?
俺が王宮から追放された今、きっとロロが新しい神子として、俺の仕事をしてくれるのだろう。
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今こうして、セファーの体温を感じているだけで、彼のことをすごく身近に感じている。
――まるでずっと前から、こうしてきたみたいに……。
俺がこんなひどい目に遭っているというのに、ナセルのことを憎み切れないのも、彼とはいろいろあったとはいえ、肌を合わせる関係であったからなのかもしれない……。
俺は目を閉じ、セファーの背にしっかりと腕を回す。
――セファーも少しでも、俺の体温で温まりますように……。
俺が太ももをセファーのそれに摺り寄せると、セファーの全身がビクリと震えた。
「……セファー?」
「……っ、神子っ……、お願いだから、あまり……、動かないでほしい……、
その……、反応、して、しまう……、ので……」
「え、あ? ……あっ、うん、ごめん……っ」
その時俺はようやく気付いた。
俺の下腹部に当たる、固くて立派なモノの存在を……。
――そっか、セファーはまだ若いもんな……。
俺相手にどうのこうのというより、若さゆえの生理現象なのだろう。
「気にしないで……。男同士なんだからさ、大丈夫」
俺はセファーの首元に顔を埋める。
「……」
返事の代わりに、セファーはぐっと俺の背を引き寄せて、さらに身体を密着させた。
――うん、お互い下着はつけたままで、よかった、かも……。
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いや、俺は取りたてて男が好きってわけじゃないんだが、なんだかわかんないけど、さっきからセファーからはいい匂いがするし、つまりは……、人間だからさ、美しいものには性別を超えて惹かれる……とか……、とにかくそういうことにしておこう!!!!
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