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【番外編】〜その後のアントンとアルベルトを中心に〜
アルベルト17歳の誕生日 〜その3〜
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「あ、アルベルト……、お前、今、なんて……」
俺はわなわなと唇を震わせていた。
「聞こえなかった? じゃあ、もう一度言おうか?」
目の前のアルベルトは、その美しい唇を釣り上げると、俺の耳元に顔を寄せた。
「ちょ、ちょっと待って、俺……、俺はっ、決してそういうつもりは……っ!!!」
「じゃあ、どういうつもり? これは魔法のカードなんでしょ?」
思わず耳を手で覆った俺のおでこに、アルベルトは優しく口づけてくる。
「だからっ、違うんだって! これはっ、アデラが、ふざけて……」
心臓が口から飛び出しそうだ。
まさか……、まさかアルベルトがこんなことを考えていたなんて!!!!
だって、こんなの……、こんなの……、おかしすぎる!!!
「かわいいアントン……」
アルベルトが耳元で囁く。
「さあ、今すぐ俺の願いを叶えてよ……。この魔法のカードで……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――どうしてこうなった???
アデラと一緒に買い物を終えた俺。
二人っきりの誕生日は週末に持ち越すことにして、ソールバルグ家では家族みんなでアルベルトの17歳の誕生日をお祝いすることとなった。
シェフが腕によりをかけて作った特別ディナーに、クリームとフルーツたっぷりのケーキで俺は満腹状態。
お母様とお父様からは、アルベルトに魔石のはまった豪華な魔剣が贈られた。
――やばっ、これじゃ俺のプレゼントのペアリングが完全にかすんでしまう!!!
という俺の心配もなんのその。
アルベルトは俺が選んだ銀のリングに、びっくりするくらい大げさに喜んでくれたのだった。
俺とおそろい、というのが何よりも嬉しいらしい。
アルベルトの喜ぶ顔を見ていると、俺の顔も自然とほころんでくる。
――うん、やっぱり、好き!
そしてアルベルトと俺が、左の薬指に揃いの指輪をはめたところで、アルベルトが俺を自分の部屋に誘った。
いつもなら、お母様が目くじらを立てるところだが、さすがに今日はお目溢しがあるらしい。見てみぬふりをしてくれるようだ。
「兄さん、もう一つのプレゼントって何?」
扉を閉めた俺に、アルベルトが後ろから抱きついてくる。
「たいしたものじゃないから、あんまり期待するなよ」
俺はポケットから、あのショッキングピンクの封筒を取り出した。
ディナーの席で、アルベルトにもう一つ別の贈り物があるとこっそり伝えていたのだった。
「これ、カード? 兄さんが俺に書いてくれたの? 嬉しいな」
にこにことアルベルトが封を開ける。
「魔法のカードだって言ってたけど……」
――っていうか、アデラからのただのもらいものなんだけどなっ!
アルベルトは封筒から、封筒と同じピンク色のカードを取り出した。
「魔法? なにも魔力は感じないけどな」
そして、その内容を読んだアルベルトの顔色が変わる。
「アルベルト、実はそれ、俺が書いたんじゃないんだよね。なんて書いてあるんだ?」
「これは……、すごい魔法のカードだよっ!」
アルベルトは興奮したように言うと、いきなり俺を横抱きにして、ベッドに運んだ。
「ちょ、ちょっと……、今日は駄目だろ! 下にはお母様もお父様も……」
ベッドから下りようとする俺を、アルベルトが制する。
「兄さん、これを読んで」
俺にカードを見せたアルベルトの青紫色の瞳が妖しく光った。
『~愛する貴方へ~
これは愛の魔法のカードです。
このカードを受け取った貴方のお願いを、何でも一つだけ叶えてあ・げ・る♡』
――なんじゃこりゃぁあ!!!!!
「ははっ……、なにこれ……。アデラってば、冗談きつい……」
――魔法のカードでもなんでもなく、ただのふざけたジョークカードだったようだ。
だが、脱力した俺の上に、アルベルトがいきなりまたがってきた。
「あ、アルベルト……?」
「ねえ、俺……、ずっと……、兄さんにどうしてもお願いしたいことがあったんだ。
今までずっと恥ずかしくて言い出せなかったけど、
このカードをくれたってことは……、いいってことだよね?」
「お願いしたいこと……?」
嫌な予感しかない俺。
いやいや、でもでも俺とアルベルトはすでに婚約済みであるからして、あーんなことや、こーんなことや、ひとしきりいろんなことをやってきたわけであるから、いまさら何か特別にお願いされたところで、驚くこともあるまい!
「言ってみてよ。誕生日のプレゼントに、カードの通り、何でも一つお願いを聞いてやるよ」
俺はアルベルトのその美しい銀の髪を撫でる。
アルベルトは嬉しそうに目を細めた。
「じゃあ、今日だけ、俺のこと『アル兄様』って呼んで!
そう呼ばれながら、俺の弟になった兄さんとセックスしてみたいな!」
――なんですとおおおおおおおお!!!!!??????
俺はわなわなと唇を震わせていた。
「聞こえなかった? じゃあ、もう一度言おうか?」
目の前のアルベルトは、その美しい唇を釣り上げると、俺の耳元に顔を寄せた。
「ちょ、ちょっと待って、俺……、俺はっ、決してそういうつもりは……っ!!!」
「じゃあ、どういうつもり? これは魔法のカードなんでしょ?」
思わず耳を手で覆った俺のおでこに、アルベルトは優しく口づけてくる。
「だからっ、違うんだって! これはっ、アデラが、ふざけて……」
心臓が口から飛び出しそうだ。
まさか……、まさかアルベルトがこんなことを考えていたなんて!!!!
だって、こんなの……、こんなの……、おかしすぎる!!!
「かわいいアントン……」
アルベルトが耳元で囁く。
「さあ、今すぐ俺の願いを叶えてよ……。この魔法のカードで……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――どうしてこうなった???
アデラと一緒に買い物を終えた俺。
二人っきりの誕生日は週末に持ち越すことにして、ソールバルグ家では家族みんなでアルベルトの17歳の誕生日をお祝いすることとなった。
シェフが腕によりをかけて作った特別ディナーに、クリームとフルーツたっぷりのケーキで俺は満腹状態。
お母様とお父様からは、アルベルトに魔石のはまった豪華な魔剣が贈られた。
――やばっ、これじゃ俺のプレゼントのペアリングが完全にかすんでしまう!!!
という俺の心配もなんのその。
アルベルトは俺が選んだ銀のリングに、びっくりするくらい大げさに喜んでくれたのだった。
俺とおそろい、というのが何よりも嬉しいらしい。
アルベルトの喜ぶ顔を見ていると、俺の顔も自然とほころんでくる。
――うん、やっぱり、好き!
そしてアルベルトと俺が、左の薬指に揃いの指輪をはめたところで、アルベルトが俺を自分の部屋に誘った。
いつもなら、お母様が目くじらを立てるところだが、さすがに今日はお目溢しがあるらしい。見てみぬふりをしてくれるようだ。
「兄さん、もう一つのプレゼントって何?」
扉を閉めた俺に、アルベルトが後ろから抱きついてくる。
「たいしたものじゃないから、あんまり期待するなよ」
俺はポケットから、あのショッキングピンクの封筒を取り出した。
ディナーの席で、アルベルトにもう一つ別の贈り物があるとこっそり伝えていたのだった。
「これ、カード? 兄さんが俺に書いてくれたの? 嬉しいな」
にこにことアルベルトが封を開ける。
「魔法のカードだって言ってたけど……」
――っていうか、アデラからのただのもらいものなんだけどなっ!
アルベルトは封筒から、封筒と同じピンク色のカードを取り出した。
「魔法? なにも魔力は感じないけどな」
そして、その内容を読んだアルベルトの顔色が変わる。
「アルベルト、実はそれ、俺が書いたんじゃないんだよね。なんて書いてあるんだ?」
「これは……、すごい魔法のカードだよっ!」
アルベルトは興奮したように言うと、いきなり俺を横抱きにして、ベッドに運んだ。
「ちょ、ちょっと……、今日は駄目だろ! 下にはお母様もお父様も……」
ベッドから下りようとする俺を、アルベルトが制する。
「兄さん、これを読んで」
俺にカードを見せたアルベルトの青紫色の瞳が妖しく光った。
『~愛する貴方へ~
これは愛の魔法のカードです。
このカードを受け取った貴方のお願いを、何でも一つだけ叶えてあ・げ・る♡』
――なんじゃこりゃぁあ!!!!!
「ははっ……、なにこれ……。アデラってば、冗談きつい……」
――魔法のカードでもなんでもなく、ただのふざけたジョークカードだったようだ。
だが、脱力した俺の上に、アルベルトがいきなりまたがってきた。
「あ、アルベルト……?」
「ねえ、俺……、ずっと……、兄さんにどうしてもお願いしたいことがあったんだ。
今までずっと恥ずかしくて言い出せなかったけど、
このカードをくれたってことは……、いいってことだよね?」
「お願いしたいこと……?」
嫌な予感しかない俺。
いやいや、でもでも俺とアルベルトはすでに婚約済みであるからして、あーんなことや、こーんなことや、ひとしきりいろんなことをやってきたわけであるから、いまさら何か特別にお願いされたところで、驚くこともあるまい!
「言ってみてよ。誕生日のプレゼントに、カードの通り、何でも一つお願いを聞いてやるよ」
俺はアルベルトのその美しい銀の髪を撫でる。
アルベルトは嬉しそうに目を細めた。
「じゃあ、今日だけ、俺のこと『アル兄様』って呼んで!
そう呼ばれながら、俺の弟になった兄さんとセックスしてみたいな!」
――なんですとおおおおおおおお!!!!!??????
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