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【番外編】〜その後のアントンとアルベルトを中心に〜
アルベルト17歳の誕生日 〜その2〜
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「えーっ、それでアルベルトにあの薬を使われちゃったの?
それはアントンも災難だったわね~」
アデラは、驚いた様子で口元に手を当てた。
「あの薬って……、アデラ、なにか知ってるの?」
俺が疑惑の視線を向けると、
「そりゃ知ってるわよ。あの薬は私が、アルベルトに教えてあげたんだもーん。
ほら、アルベルトって、学校でも最近イライラしてたでしょ?
だから、ちょっと気分転換にどうかなって」
色っぽい流し目を俺に向けてくる。
俺は思わず眉根を寄せた。
「はあっ? あれが気分転換だって!?
アデラのせいで、俺が昨日どんな目にあったかわかってるのかよっ!!」
明け方まで続いたアルベルトとの狂乱に、俺の身体はどこもかしこも悲鳴を上げている。
「またまたぁ~!! ふたりでしっぽり楽しんだんでしょ?
恥ずかしがり屋のアントンも、あれのおかげですごく情熱的になれたでしょ?
アルベルトも喜んで、機嫌もすっかりなおったんじゃない?」
まったく悪びれず俺に微笑みかけるアデラ。
そう……、あの薬のせいで俺は言うもはばかられるような恥ずかしい恰好をいっぱいさせられたり、
思い出すだけでもこの場から逃げ出したくなるようなセリフをアルベルトにたくさん言わされて……。
――もう、考えるのはやめよう。
俺はため息をついた。
「たしかに、アルベルトは今朝まではすごーく機嫌が良かった。
でも、今朝ダン兄様から俺に手紙が届いてるのを見て、また急に機嫌が悪くなっちゃって……」
「あらら、あのアルベルトの嫉妬深さもどうにかならないものかしらね~。
ほら、着いたわよ。この店よ」
もうすぐ、アルベルトの17歳の誕生日。
俺は、アデラに頼んで、洒落た貴金属店に案内してもらっていたのだった。
昨年の失敗もあり、おおいに反省した俺は「アルベルトの誕生日プレゼントを、アデラと一緒に買いに行ってくる」と予めアルベルトには伝えてある。
サプライズでプレゼントを渡したいのはやまやまだが、放課後の別行動についてアルベルトにちゃんと報告しておかないと、こっそり後をつけてくる恐れもあるので致し方ない……。
アデラにうながされ、店内に入る。ショーケースにはキラキラした宝飾品がところせましと並べてあった。
「いらっしゃいませ。ソールバルグ様」
アデラの姿を認めた店員が、そそくさと近寄ってくる。
「話していたものをお願いね」
「すぐにお持ちいたします」
店員が奥の部屋に消える。
「ねえ、本当にあんなシンプルなものでいいの? もっと宝石がいっぱいついた派手な指輪にしたらいいのに!」
アデラが耳打ちしてくる。
「いいんだよ、毎日つけるものなんだから!」
俺が考えたアルベルトの17歳の誕生日プレゼントは、二人お揃いのペアリング!!
ベタすぎるかもとは思ったが、こちらの世界には結婚指輪の習慣はないようなので、それが逆に新鮮でいいかもしれない! との考えからだ。
ほら、アルベルトだって、こっそり俺におそろいのピアスをつけさせていたくらいなんだし!
それに二人でおそろいのものをつけていれば、少しはアルベルトの不安や嫉妬心も落ち着くかもしれないし……。
「こちらでございます」
「わあ……」
店員がビロード張りの小箱を開けると、銀色に輝くリングが二つならんでいた。
――うん、すごく婚約者っぽい!! ……よくわからんけど。
とにかく、これで今年のアルベルトの誕生日は堂々とプレゼントが渡せるというものだ!
すっかり満足した俺は、サイズを確認したあと、綺麗に箱を包装してもらった。
「はあ、アルベルトも本当に大変よね……」
プレゼントを手にして上機嫌の俺に、アデラがつぶやく。
「え? どういう意味?」
「だって、せっかく婚約したっていうのに、エリアス様もヴィクトル王子も、全然アントンのこと諦める様子がないじゃない。
それに、アントンってば相変わらずふらふらして危なっかしいったら……」
「お、俺はふらふらなんて、してない!」
思わず俺は反論する。
「そうかしら? もうこの際、エリアス様ともヴィクトル王子とも、一回ずつヤっちゃったら?
想いを遂げられたら、案外二人もおとなしくなるかもしれないわよ!? そしたらアルベルトも落ち着いて一石二鳥!」
アデラの目がいたずらっぽく輝く。
「はあーーーっ!? ありえないし! だいたいなんだよ、その言い方はっ! それにっ、俺の気持ちはどうなるわけ?」
「あーあ、エリアス様、おかわいそう。このままじゃ、一生童貞のままだわよ。
妄想の中では超一流なのに……」
「ええっ、エリアスって……、そうなの?」
俺は驚きを隠せない。
「そりゃそうよ。だって、エリアス様の身体って、アントン以外では反応しないんだもの! あーあ、本当におかわいそう。
アントン、もったいぶらないで一回くらいお相手してあげなさいよ!」
アデラが俺を睨みつける。
俺は思わず後ずさった。
いや、ちょっと待て。これじゃ俺が悪者みたいじゃないか!!!
「もったいぶるとか、そういうことじゃないだろ!!!
それに、俺はアルベルトの婚約者なの!!」
「ふーん、でもその割に、アルベルトは納得してないみたいだけど」
「どういう意味だよっ!?」
「アルベルトの気持ち、私にはよくわかるわ~。せっかく手に入ったと思ったら、すり抜けて行ってしまいそうなもどかしい気持ち!
肝心のアントンは、アルベルトの気持ちなんてお構いなしに、いろんな男をたぶらかして……!!!
自分の想いばかりが募って、ますます狂おしく燃えさかる愛の炎!!!!
……もしかしてアントンってば、恋の名手? 魔性の男???」
「おいっ! 人聞きの悪いこと言うなよ!
断じて、俺はたぶらかしてなんか、ない!! だいたい、いっつもアルベルトに、その……、愛してるって、ちゃんと伝えてるし!
毎週末一緒に過ごして……、その、いろんなこともしてるしっ!!! アルベルトを不安になんてさせてないしっ!!!!」
「ふーん、へえー、そーお?」
全然信じてないアデラの顔。
「だから、この指輪を渡して、俺たちの……、愛をっ、ますます深めてっ……」
「アントーン、そんなことより、これ、アルベルトに渡してあげなさいよ」
「これ……?」
アデラに渡されたのは、目が覚めるようなピンク色の封筒。きっちりと封がしてある。
封筒は薄っぺらく、おそらくカードか何かが一枚入っているようだ。
「ああ、アントンが開けちゃだめよ。そのリングと一緒に、アルベルトに一緒に渡してあげて。
愛が深まる魔法のカードよ! 特別にアントンにあげる!」
「え、ああ……、うん。ありがとう」
この時の俺は知る由もなかった。
この封筒が、のちにあんな結果をもたらすことになるなんて……!!!!!
それはアントンも災難だったわね~」
アデラは、驚いた様子で口元に手を当てた。
「あの薬って……、アデラ、なにか知ってるの?」
俺が疑惑の視線を向けると、
「そりゃ知ってるわよ。あの薬は私が、アルベルトに教えてあげたんだもーん。
ほら、アルベルトって、学校でも最近イライラしてたでしょ?
だから、ちょっと気分転換にどうかなって」
色っぽい流し目を俺に向けてくる。
俺は思わず眉根を寄せた。
「はあっ? あれが気分転換だって!?
アデラのせいで、俺が昨日どんな目にあったかわかってるのかよっ!!」
明け方まで続いたアルベルトとの狂乱に、俺の身体はどこもかしこも悲鳴を上げている。
「またまたぁ~!! ふたりでしっぽり楽しんだんでしょ?
恥ずかしがり屋のアントンも、あれのおかげですごく情熱的になれたでしょ?
アルベルトも喜んで、機嫌もすっかりなおったんじゃない?」
まったく悪びれず俺に微笑みかけるアデラ。
そう……、あの薬のせいで俺は言うもはばかられるような恥ずかしい恰好をいっぱいさせられたり、
思い出すだけでもこの場から逃げ出したくなるようなセリフをアルベルトにたくさん言わされて……。
――もう、考えるのはやめよう。
俺はため息をついた。
「たしかに、アルベルトは今朝まではすごーく機嫌が良かった。
でも、今朝ダン兄様から俺に手紙が届いてるのを見て、また急に機嫌が悪くなっちゃって……」
「あらら、あのアルベルトの嫉妬深さもどうにかならないものかしらね~。
ほら、着いたわよ。この店よ」
もうすぐ、アルベルトの17歳の誕生日。
俺は、アデラに頼んで、洒落た貴金属店に案内してもらっていたのだった。
昨年の失敗もあり、おおいに反省した俺は「アルベルトの誕生日プレゼントを、アデラと一緒に買いに行ってくる」と予めアルベルトには伝えてある。
サプライズでプレゼントを渡したいのはやまやまだが、放課後の別行動についてアルベルトにちゃんと報告しておかないと、こっそり後をつけてくる恐れもあるので致し方ない……。
アデラにうながされ、店内に入る。ショーケースにはキラキラした宝飾品がところせましと並べてあった。
「いらっしゃいませ。ソールバルグ様」
アデラの姿を認めた店員が、そそくさと近寄ってくる。
「話していたものをお願いね」
「すぐにお持ちいたします」
店員が奥の部屋に消える。
「ねえ、本当にあんなシンプルなものでいいの? もっと宝石がいっぱいついた派手な指輪にしたらいいのに!」
アデラが耳打ちしてくる。
「いいんだよ、毎日つけるものなんだから!」
俺が考えたアルベルトの17歳の誕生日プレゼントは、二人お揃いのペアリング!!
ベタすぎるかもとは思ったが、こちらの世界には結婚指輪の習慣はないようなので、それが逆に新鮮でいいかもしれない! との考えからだ。
ほら、アルベルトだって、こっそり俺におそろいのピアスをつけさせていたくらいなんだし!
それに二人でおそろいのものをつけていれば、少しはアルベルトの不安や嫉妬心も落ち着くかもしれないし……。
「こちらでございます」
「わあ……」
店員がビロード張りの小箱を開けると、銀色に輝くリングが二つならんでいた。
――うん、すごく婚約者っぽい!! ……よくわからんけど。
とにかく、これで今年のアルベルトの誕生日は堂々とプレゼントが渡せるというものだ!
すっかり満足した俺は、サイズを確認したあと、綺麗に箱を包装してもらった。
「はあ、アルベルトも本当に大変よね……」
プレゼントを手にして上機嫌の俺に、アデラがつぶやく。
「え? どういう意味?」
「だって、せっかく婚約したっていうのに、エリアス様もヴィクトル王子も、全然アントンのこと諦める様子がないじゃない。
それに、アントンってば相変わらずふらふらして危なっかしいったら……」
「お、俺はふらふらなんて、してない!」
思わず俺は反論する。
「そうかしら? もうこの際、エリアス様ともヴィクトル王子とも、一回ずつヤっちゃったら?
想いを遂げられたら、案外二人もおとなしくなるかもしれないわよ!? そしたらアルベルトも落ち着いて一石二鳥!」
アデラの目がいたずらっぽく輝く。
「はあーーーっ!? ありえないし! だいたいなんだよ、その言い方はっ! それにっ、俺の気持ちはどうなるわけ?」
「あーあ、エリアス様、おかわいそう。このままじゃ、一生童貞のままだわよ。
妄想の中では超一流なのに……」
「ええっ、エリアスって……、そうなの?」
俺は驚きを隠せない。
「そりゃそうよ。だって、エリアス様の身体って、アントン以外では反応しないんだもの! あーあ、本当におかわいそう。
アントン、もったいぶらないで一回くらいお相手してあげなさいよ!」
アデラが俺を睨みつける。
俺は思わず後ずさった。
いや、ちょっと待て。これじゃ俺が悪者みたいじゃないか!!!
「もったいぶるとか、そういうことじゃないだろ!!!
それに、俺はアルベルトの婚約者なの!!」
「ふーん、でもその割に、アルベルトは納得してないみたいだけど」
「どういう意味だよっ!?」
「アルベルトの気持ち、私にはよくわかるわ~。せっかく手に入ったと思ったら、すり抜けて行ってしまいそうなもどかしい気持ち!
肝心のアントンは、アルベルトの気持ちなんてお構いなしに、いろんな男をたぶらかして……!!!
自分の想いばかりが募って、ますます狂おしく燃えさかる愛の炎!!!!
……もしかしてアントンってば、恋の名手? 魔性の男???」
「おいっ! 人聞きの悪いこと言うなよ!
断じて、俺はたぶらかしてなんか、ない!! だいたい、いっつもアルベルトに、その……、愛してるって、ちゃんと伝えてるし!
毎週末一緒に過ごして……、その、いろんなこともしてるしっ!!! アルベルトを不安になんてさせてないしっ!!!!」
「ふーん、へえー、そーお?」
全然信じてないアデラの顔。
「だから、この指輪を渡して、俺たちの……、愛をっ、ますます深めてっ……」
「アントーン、そんなことより、これ、アルベルトに渡してあげなさいよ」
「これ……?」
アデラに渡されたのは、目が覚めるようなピンク色の封筒。きっちりと封がしてある。
封筒は薄っぺらく、おそらくカードか何かが一枚入っているようだ。
「ああ、アントンが開けちゃだめよ。そのリングと一緒に、アルベルトに一緒に渡してあげて。
愛が深まる魔法のカードよ! 特別にアントンにあげる!」
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