【完結】前世の記憶が転生先で全く役に立たないのだが?! ~逆チートの俺が異世界で生き延びる方法~

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【番外編】〜その後のアントンとアルベルトを中心に〜

アルベルト17歳の誕生日 〜その1〜

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「ねっ、アルベルト! 話せば分かる! お前はなにか勘違いしてるだけだっ!
そうっ……、あれは絶対誤解なんだって! だから俺の話をちゃんと……っ!!」


「兄さんのそのセリフは、もう聞き飽きたよ」

 冷淡な表情をしたアルベルトは、その青紫色の目を細めて俺を見た。


「あ、アルベルト……、お、お願いだから、この、魔法の拘束、解いてよ……」

「駄目」

 俺の情けない懇願を、アルベルトは一蹴した。


「なんだよっ、そんなに怒ることないだろっ! だいたい、はじめからアルベルトが心配するようなことなんてなんにもない……っ」


「へえ……、あのエリアス卿にシャツのボタンを4つも外されておいて、それがまだなにもないと?」

「ヒッ……」

 アルベルトは、四肢をベッドに拘束された俺のシャツのボタンをゆっくりと外していき、そのまま胸元に手を這わせた。


「だからそれはっ、木の下にいたら、小さいクモが俺のシャツの中に入ってきたから……っ、それをエリアスが取ってくれようと……っ、やっ、そこっ……、んっ……」

「その小さなクモ自体が、あの男の魔法によるものだとは気づかなかったの? 本当に兄さんは……、どれだけ……、騙されやすいのかな?」

 アルベルトが俺の乳首をキュッとつねる。


「んっ、あんっ……、だから、違うっ……」

「何も違わないよ……。あの男に、この肌を触らせたんでしょ? こうやって、クモが逃げ回ったって、そんな見え透いた嘘を兄さんは……、信じて……っ、それで、あちこち触らせて……、こんな声を聞かせたの?」

「やっ……、そんなこと……っ」

 ――そういえばたしかに、あちこちエリアスに触られたような気は、する。だが、そんなこと認めたら、ますますアルベルトの怒りは燃え上がることは間違いないわけで……。


「俺があのとき兄さんを見つけなかったら、間違いなくクモは兄さんの下着の中にも入り込んで、エリアス卿にもっといろんなところも触られていたんだよ? こんなふうに……っ!!」

 アルベルトは俺のズボンを下着ごと下ろすと、そのまま俺自身を握り込む。


「あんっ、だって、エリアスは盟約してるんだから、俺にそういう意味で触れたりはできな……っ、はっ、ああっ!」

「アイツらに盟約なんて、兄さんが思うほど大した意味なんて持っていないよ。いくらだって抜け道はあるんだ。そもそも、兄さんとセックスするためなら、命の一つや二つ、簡単に差し出すような奴らなんだからっ……、それに……」

 アルベルトは俺自身を擦る手を早めた。


「あっ、アルベルト……、動けないっ! やだっ! お願いっ、んんっ、拘束、解いてよっ!!!」

 アルベルトの魔法のせいで、まったく手足を動かせない。アルベルトにされるがままの俺は、悔しさに唇を噛みしめる。

 アルベルトはそんな俺に、息がかかるほど顔を寄せた。


「それに……、俺が気づいてないとでも思ってる? ……今日、ヴィクトル王子とキスしたね?」

「……!!!!!!!」

 俺は目を見開く。まさか……、見られてた? 


「やっぱりね……。魔石の色味で、わかるんだよ。兄さんの身体に、俺以外の魔力が流れてることが……。
まさか、ヴィクトル王子が病気だとか、まだ信じてるわけじゃないよね?」

 アルベルトは唇を歪めると、俺自身の根本を指で締め付けた。


「んっ、くぅっ……、だって、だって……、本当に苦しそうで……、魔力が暴走しそうだっていうから仕方なく……、でもっ、最初は背中に手を当ててたんだ……っ、でも……」

「どうせ粘膜接触のほうが、効果が高いって言われたんでしょ? このままじゃ命が危ないって言われた? 見殺しにする気かって脅された? やましいことはなにもないからって……?」

 アルベルトの瞳が昏く光る。


「ご、ごめんっ、アルベルト……っ、でも本当に、そういう意味じゃなくって……、だいたい舌も入れられてないし!!」

「兄さん……、本当に、兄さんは全然わかってない!! せっかく婚約できたっていうのに……っ、俺が、毎日、どれだけ……っ」

 アルベルトの顔……、泣きそうだ。


「アルベルト、ごめんっ! 本当に……っ、いっつも俺が不甲斐なくて、お前を不安にさせてごめんっ!
でも俺、絶対、アルベルト以外と絶対こんなことしたくないしっ、好きなのは一生お前だけだし、だから、要するに……っ、愛してるからっ!!!!」


「兄さん……」

 アルベルトの手が緩む。


「ね、だから、もうそんなに怒るなよ。あと、いい加減に拘束解いて?
俺……、俺も、アルベルトを抱きしめたい……」

「そうだね……」

 アルベルトが俺の唇にやさしいキスを落とす。

 ホッとして力を抜いた俺だったが……。


「なーんてね。もういい加減に、俺も学習したよ。一度、兄さんにはちゃんとしたお仕置きが必要だってね」

 アルベルト優美な微笑み……。


「あの……、アルベルト……?」

 アルベルトは、どこからかちいさな小瓶を取り出した。

「この兄さんが素直になれる薬で、今日はゆっくり反省してもらおうかな? 兄さんが一体誰のものかって、きちんとわかるまで、じっくりね!」



 ――とりあえず、終わった……。




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