【完結】前世の記憶が転生先で全く役に立たないのだが?! ~逆チートの俺が異世界で生き延びる方法~

.mizutama.

文字の大きさ
上 下
88 / 95
【番外編】〜その後のアントンとアルベルトを中心に〜

アントンとアルベルトのドキドキクッキング 〜中編〜

しおりを挟む


 アルベルトは騎士団の遠征にもちょくちょくついていっているため、野営の経験も豊富で、そのあたりで狩った動物をそのまま捌いて食べたりすることにも抵抗がないらしい。

 だが、俺は違う!! 前世ではいわゆる現代っ子だったし、文化系だし、インドア派だし、ほら、血の滴る肉とか、そういうの衛生上良くないと思うんだよね!

「やっぱり誰か料理できる人に来てもらえば……」

 俺のつぶやきに、

「駄目、絶対に駄目!!!」

 アルベルトが怖い顔で俺を睨む。俺もアルベルトも筋金入りの貴族のお坊ちゃんのため、料理など自分でしたことがない。
 だが、身の回りの世話をする人たちを、数人屋敷に一緒につれていきなさいというお父様の提案を、アルベルトは頑なに拒んだ。

 ――どうしても、俺とこの屋敷に二人きりでいたいらしい。誰にも邪魔されずに!!


 こんなとき、俺の前世の記憶で、ちゃちゃっとアルベルトに家庭料理なんかを作ってあげたら、更に二人の愛も深まったりするに違いないのだが、いかんせん前世の俺の得意料理(?)は、インスタントラーメンに焼きそばに、冷凍パスタ(チンするやつ)……。

 この世界には電子レンジもなく、焼きそばのもとなんてものも売っているはずもなく、結局俺もアルベルトも、料理に関してはてんでダメ……。

 魔法の能力がずば抜けているアルベルトだが、もともと原理ややり方を知らないものを、一から魔法で作り出すというのは不可能らしい……。

「俺が転移魔法で、町まで行ってなにか買ってくるよ」

 アルベルトが俺の尻の割れ目に指を這わせてきた。

「……っ、でも、あっ……」

「だって、それが一番時間的にロスがないよね……? 俺、もっとたっぷり兄さんと愛し合いたい……」

 つぷりとアルベルトが俺の後孔に指を差し入れる。

「あっ、やめろっ、さっきしたばっかり……っ!」

「週末なんてあっという間なんだよ、ねっ、兄さん」

 中の指を曲げて、俺の弱いところを長い指で刺激してくる。

「あんっ……!!」


 ――まずい、このままじゃずっとアルベルトのペースだ。そして、転移魔法で町との往復を秒で終えたアルベルトに、俺は週末が終わる最後の最後までヤラれ続けられてしまう……。

「じゃ、行ってくるね。すぐに戻ってくるから、いい子で待ってるんだよ」

 アルベルトが俺の頭にキスを落とす。

 その時俺に、この快楽地獄から逃れる名案が閃いた。

「待って! アルベルト!」

 さっそくシャツに手を通しているアルベルトに、俺はすがりついた。

「俺も、町まで連れて行って! 一緒に買い物しよう。それで、一緒に食材を買って、一緒に料理をしよう!」

 アルベルトが青紫の瞳を細める。

「……一緒に、料理……? 兄さんは疲れて動けないんでしょ?」

 不服そうなアルベルト。それはそうだろう。足手まといの俺がいては、その分時間もとられてしまう。それに料理をして時間がとられれば、もちろんセックスの時間もそれだけ少なくなるというわけで……。

「そう! アルベルト。俺たち……、ずっと兄弟だったし、全然恋人らしいことしてこなかっただろ!
だから、俺……、ずっとアルベルトとデートしたり、料理作ったり、一緒にいろんな……、恋人らしいことをしてみたかったんだ!」

「……っ、恋人っ!!!」

 アルベルトが口元を押さえる。間違いなく動揺している!

「ねっ、アルベルト、俺、もっとアルベルトとイチャイチャしたい……」

 俺は上目遣いで、アルベルトを見上げる。俺の上目遣いなんて、何の威力もないとは思ったが、しかし……、婚約者であるアルベルトには、ちょっとは効き目があったようで……。

「よし、行こうか、兄さんっ!」

 アルベルトの瞳がきらめいた。


 ――うまくいった!!!


 だが次の瞬間……、

 俺はアルベルトに、ベッドの上で後ろからのしかかられていた。

 そして、俺の腹の下にせっせと枕を入れ込むアルベルト……。

「え……、あれ……? アルベルト……さん?」

「でも、さきに、これが終わってからね……、料理ができるまでお預けなんて、そんなのナシだよ……」

 腰を高く持ち上げられると、俺の後孔にもうすでにスタンバイオッケーな怒張をあてがった。

「待って、お前、いつっ!? あっ、だめっ、ちょっと待っ……、あっ、やああああああああああああああああっ!!!!!」


 アルベルトは後ろから一気に俺を貫いてきた。

「はっ、すごいっ、兄さんの中っ……、こんなに気持ちいいの、簡単にやめられないよっ……」

「ああっ、あっ、あああんっ!!!! だめっ、もうだめっ……、アルベルトぉ……」

 アルベルトは俺に腰を打ち付けながらも、かがんで俺の耳たぶをゆっくりと舐め始める。

 そして、蕩けるような甘い声で俺にささやきかける。

「さあ、もうひとがんばりだよ。俺が満足したら、町に一緒にお出かけしようね……っ」


 ――一体お前はいつ満足するんだよおおおおおおおっ!!!!!




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 そして、ひとしきり俺を堪能したのち、アルベルトは上機嫌で俺を町へと連れだしたのだった。


「兄さん、大丈夫? 腰が引けてるよ?」

「……」

 俺は恨みがましくアルベルトを見上げる。

 ――いったい誰のせいでこんなになってるんだよっ!?

 俺の腰に手をまわし、ぴったりとくっついてくるアルベルト。

 さっきから道行く町の人たちの視線が痛い!!

「今まで兄さんを閉じ込めて独り占めすることばっかり考えてたけど、
たまにはこうして兄さんと出歩いて、ほかのものたちに俺たちの結びつきを見せつけるのも悪くないかもね!」

 さらりと恐ろしいことを言ってのけるアルベルト。

「ね、ちょっと、ちょっとだけ、離れて、アルベルト……、みんな、見てる……」

 銀髪で青紫の瞳の超絶美形のどっからどうみてもお貴族様のアルベルトと、黒髪黒目の平凡な容姿のどっからどうみても庶民の俺。
 どう見たって不釣り合いで、人目を引いているのは明らかだ。

「は? 何言ってるの? 俺たち、恋人同士、なんだよね? これくらい当然でしょ?
 あんまり可愛くないことばっかり言うんだったら、今ここで押し倒してもいいんだよ!」

「……」

 ここでアルベルトの神経を逆なでするのはどう考えても良くなさそうなので、俺は黙って目当てのパン屋に入った。

「いらっしゃいませ」

 ガタイのいいパン職人のおじさんが、俺たち二人を迎えてくれる。サンドイッチくらいなら料理初心者の俺とアルベルトにも作れるだろう。きっと!

 ハムや野菜をはさんでサンドイッチにするための長細いパンを俺が選んでいると、おじさんがにこにこと話しかけてきた。

「ご主人と一緒にお買い物ですか? 優しいご主人様ですね~」

「ええ、まあ……、ははっ」

 俺の顔はひきつる。


 ――間違いなく俺のことを、アルベルトの家僕かなにかと勘違いしているよね!?


「私たちは新婚なので、いつも一緒なんです」

 そして全く空気の読めていないアルベルトが、トンデモ発言を繰り出した!


 ――今、あえてここで言うコト!!??? しかも新婚ちがうし!!!



「えっ、新婚さんっ……、なの? じゃあ、アンタは……」

 おじさんは口をパクパクさせて、アルベルトと俺を見比べる。

 アルベルトは俺の肩に手をまわし、自分にグイッと引き寄せる。


「ねえ、アントン……、早く家に帰ろう……」

 耳に息を吹き込むようにささやかれ、俺は思わず身をよじった。

「……っ、アルベルトっ!」


「これはこれは……、熱々でうらやましいね~。じゃあパン一個おまけしとかないとね~」

「ありがとうございます」

 すました表情のアルベルト。



 ――くそっ、アルベルト、あとでシメる!!!!


しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

ある日、人気俳優の弟になりました。

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

ある日、人気俳優の弟になりました。2

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。 平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた

マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。 主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。 しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。 平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。 タイトルを変えました。 前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。 急に変えてしまい、すみません。  

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

転生したら弟がブラコン重傷者でした!!!

Lynne
BL
俺の名前は佐々木塁、元高校生だ。俺は、ある日学校に行く途中、トラックに轢かれて死んでしまった...。 pixivの方でも、作品投稿始めました! 名前やアイコンは変わりません 主にアルファポリスで投稿するため、更新はアルファポリスのほうが早いと思います!

処理中です...