63 / 95
第63話
しおりを挟む
――どうしてこうなってしまったのか……!?
俺の目の前に立つのは、真っ直ぐな金色の髪を垂らした美しいエリアス……。
だか、その儚げで中性的な美しさとは裏腹に、その中心部のイチモツは恐ろしいほど、巨大で、固く、しっかりと天を向いていた。
「アントン、逃げるなんて駄目でしょ! 言ったでしょ!? みんなでお風呂に入るんだって……」
エリアスの言葉通り、俺たちは今、湯船に入った状態だ。そして……、
「アントン、この期におよんで見苦しいぞ。いい加減大人しくするんだ」
魔力が込められた紐で後ろ手に縛られた俺の背後に立ち、俺の腰を支えているのは、その引き締まった体躯に水を滴らせているヴィクトル……。
「離してくださいっ!」
俺の言葉に、エリアスは淡く微笑むと、俺の顎を掴んで上を向かせた。
「いいねえ~、その顔、すごく……、そそられるよ」
俺を見つめるエリアスの瞳……、間違いなく情欲に揺れている。
「エリアスっ、アデラのことはどうなったんだよっ!? こんなことしてる場合じゃないだろ!?」
俺の言葉に、エリアスはふふっと笑う。
「アントン、まだそんなこと言ってるの? 本当に、君は……、救いようがないほど純粋で、愚かだねえ……」
エリアスに頬を撫でられ、俺は顔を背ける。
「どういう意味だよっ!? それにヴィクトル殿下っ! 殿下はアルベルトのことが好きなんでしょうっ!?
なんで俺にこんなことっ……」
「さっきからお前は何を言ってるんだ?」
後ろからヴィクトルの声。俺の尻の部分に、硬いものがさっきから当たっている。これは絶対ヴィクトルの……。
「殿下。アントンは、殿下がアルベルトと一緒に舞踏会に来たから、二人が恋人同士だと思ってるんですよ」
エリアスが楽しげに言う。
「はあっ!? そんなわけがあるか!
舞踏会に入るのに、二人一緒にいる必要があると言われたから、仕方なく入り口付近をうろついていたあのウジ虫と手を組んだまでのこと!
もし俺様がアルベルトと世界にふたりきりになったとしても、俺はあいつと仲良くするつもりなどない!!!」
ヴィクトルの断言に、俺は身体の力がガクンと抜ける。
「……だって、エリアスが……、二人は両思いだって……」
「本当にアントンって純真だよね~! 殿下とアルベルトなんて、想像するのもオエーッな組み合わせじゃん!
世界がひっくり返ったって、あるわけないって!」
「じゃあ、エリアス……、お前知ってて、俺に嘘ついて……」
呆然と見上げる俺の唇を、エリアスはそっと人差し指で撫でる。
「嘘といえば、アデラのことも最初から全部嘘だよ。アデラが他に恋人がいるのを僕は知ってるし、そのことについてとやかく言うつもりはない。
最初からそういう約束だったんだ。
アデラは、とってもいい子だよ。僕の愛する人――、アントンの動向を逐一漏らさず僕に報告してくれるんだ……」
「なんだって……」
俺は自分の耳を疑った。
今、エリアスは俺のことを……!?
「やっと気づいてくれた? そうだよ、アントン。僕は君を愛してるんだ。はじめて出会ったときから、ずっと!」
真剣な瞳が、冗談でないと告げている。
「嘘だ……」
「嘘でこんな回りっくどいことを僕がすると思う? アルベルトが想像以上に手強かったから、結局ソフィア王女とまで手を組むことになっちゃって……。でもいいんだ。ようやく君を僕のものにできる」
エリアスの唇が近づいてくる。
「愛してる、アントン……」
「おい待て! 勝手に二人だけで話を進めるな!」
ヴィクトルの手が後ろから伸びてきて、俺の口を塞いだ。
「アントンは俺のものだ。口づけなど俺が許さない!」
「はあっ!? お姉様に助けてもらってようやくここまでこれただけのおまけの存在のくせに、笑わせるなよ!
お前なんか僕の魔法でっ!」
エリアスが、腕を振り上げる。
「ちょっと待て!」
俺は叫んだ。
「も、もしかして……、殿下も、俺のことを……?」
振り向いた俺に、ヴィクトルは柄にもなく真っ赤になった。
「まあ、そういうことだ。これも王族である俺様の慈悲の心が……」
「あー、はいはい、そういうのもうどうでもいいから、とっととヤッちゃおうか!?
僕が一番ね!」
エリアスの明るい声。だがその内容は俺を絶望の底に叩き落とすものだった。
「アントン、安心して! もう想像の中で何回も犯してるから、手順はバッチリだよ。
それに王室に代々伝わるこの魔法のお湯……、エッチするときの感度を10倍くらいにしてくれるんだって。
……アルベルトより、ずっと良くしてあげるからね!」
俺の目の前に立つのは、真っ直ぐな金色の髪を垂らした美しいエリアス……。
だか、その儚げで中性的な美しさとは裏腹に、その中心部のイチモツは恐ろしいほど、巨大で、固く、しっかりと天を向いていた。
「アントン、逃げるなんて駄目でしょ! 言ったでしょ!? みんなでお風呂に入るんだって……」
エリアスの言葉通り、俺たちは今、湯船に入った状態だ。そして……、
「アントン、この期におよんで見苦しいぞ。いい加減大人しくするんだ」
魔力が込められた紐で後ろ手に縛られた俺の背後に立ち、俺の腰を支えているのは、その引き締まった体躯に水を滴らせているヴィクトル……。
「離してくださいっ!」
俺の言葉に、エリアスは淡く微笑むと、俺の顎を掴んで上を向かせた。
「いいねえ~、その顔、すごく……、そそられるよ」
俺を見つめるエリアスの瞳……、間違いなく情欲に揺れている。
「エリアスっ、アデラのことはどうなったんだよっ!? こんなことしてる場合じゃないだろ!?」
俺の言葉に、エリアスはふふっと笑う。
「アントン、まだそんなこと言ってるの? 本当に、君は……、救いようがないほど純粋で、愚かだねえ……」
エリアスに頬を撫でられ、俺は顔を背ける。
「どういう意味だよっ!? それにヴィクトル殿下っ! 殿下はアルベルトのことが好きなんでしょうっ!?
なんで俺にこんなことっ……」
「さっきからお前は何を言ってるんだ?」
後ろからヴィクトルの声。俺の尻の部分に、硬いものがさっきから当たっている。これは絶対ヴィクトルの……。
「殿下。アントンは、殿下がアルベルトと一緒に舞踏会に来たから、二人が恋人同士だと思ってるんですよ」
エリアスが楽しげに言う。
「はあっ!? そんなわけがあるか!
舞踏会に入るのに、二人一緒にいる必要があると言われたから、仕方なく入り口付近をうろついていたあのウジ虫と手を組んだまでのこと!
もし俺様がアルベルトと世界にふたりきりになったとしても、俺はあいつと仲良くするつもりなどない!!!」
ヴィクトルの断言に、俺は身体の力がガクンと抜ける。
「……だって、エリアスが……、二人は両思いだって……」
「本当にアントンって純真だよね~! 殿下とアルベルトなんて、想像するのもオエーッな組み合わせじゃん!
世界がひっくり返ったって、あるわけないって!」
「じゃあ、エリアス……、お前知ってて、俺に嘘ついて……」
呆然と見上げる俺の唇を、エリアスはそっと人差し指で撫でる。
「嘘といえば、アデラのことも最初から全部嘘だよ。アデラが他に恋人がいるのを僕は知ってるし、そのことについてとやかく言うつもりはない。
最初からそういう約束だったんだ。
アデラは、とってもいい子だよ。僕の愛する人――、アントンの動向を逐一漏らさず僕に報告してくれるんだ……」
「なんだって……」
俺は自分の耳を疑った。
今、エリアスは俺のことを……!?
「やっと気づいてくれた? そうだよ、アントン。僕は君を愛してるんだ。はじめて出会ったときから、ずっと!」
真剣な瞳が、冗談でないと告げている。
「嘘だ……」
「嘘でこんな回りっくどいことを僕がすると思う? アルベルトが想像以上に手強かったから、結局ソフィア王女とまで手を組むことになっちゃって……。でもいいんだ。ようやく君を僕のものにできる」
エリアスの唇が近づいてくる。
「愛してる、アントン……」
「おい待て! 勝手に二人だけで話を進めるな!」
ヴィクトルの手が後ろから伸びてきて、俺の口を塞いだ。
「アントンは俺のものだ。口づけなど俺が許さない!」
「はあっ!? お姉様に助けてもらってようやくここまでこれただけのおまけの存在のくせに、笑わせるなよ!
お前なんか僕の魔法でっ!」
エリアスが、腕を振り上げる。
「ちょっと待て!」
俺は叫んだ。
「も、もしかして……、殿下も、俺のことを……?」
振り向いた俺に、ヴィクトルは柄にもなく真っ赤になった。
「まあ、そういうことだ。これも王族である俺様の慈悲の心が……」
「あー、はいはい、そういうのもうどうでもいいから、とっととヤッちゃおうか!?
僕が一番ね!」
エリアスの明るい声。だがその内容は俺を絶望の底に叩き落とすものだった。
「アントン、安心して! もう想像の中で何回も犯してるから、手順はバッチリだよ。
それに王室に代々伝わるこの魔法のお湯……、エッチするときの感度を10倍くらいにしてくれるんだって。
……アルベルトより、ずっと良くしてあげるからね!」
160
お気に入りに追加
2,639
あなたにおすすめの小説

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜
車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。
春雨
BL
前世を思い出した俺。
外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。
愛が重すぎて俺どうすればいい??
もう不良になっちゃおうか!
少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。
説明は初めの方に詰め込んでます。
えろは作者の気分…多分おいおい入ってきます。
初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫だと……思います(?)
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
5/25
お久しぶりです。
書ける環境になりそうなので少しずつ更新していきます。

あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる