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第50話

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「兄さんっ、兄さんっ、兄さんっ……!」

 アルベルトは俺の上に乗ってくると、そのまま俺の首筋にキスを落とす。


 口づけは優しく、ダンに残された痕をたどるようにゆっくりと降りていく。


「ああ……、アルベルトっ……」

 アルベルトのシャツを肩に引っ掛けただけの、ほとんど全裸の状態で、俺はアルベルトに絡みつく。


「……兄さんっ、あの男にも、こんなふうに積極的だったわけじゃないよね!?」

 疑うアルベルトの唇を、自分の唇でふさぐ。


「アルベルト……、アルベルトだけだよっ、好きっ……、もっとっ……」


「……っ!」

 アルベルトは、身体を起こすとバスローブの帯を解いた。



「兄さん……、俺ももう、我慢の限界……っ」

 アルベルトは荒々しくバスローブを脱ぎ捨てると、俺に覆いかぶさってくる。


 素肌が触れ合うと、俺の中にゾクリとした感覚が生まれる。



 ――アルベルトが欲しい……!



 俺はアルベルトの下腹部に手を伸ばす。

 これ以上なく力強く反応しているそれに、俺は喜びを感じてしまう。


 ――アルベルトが、俺に感じてくれてる……。


「あっ、兄さんっ……」

 俺がそれをさばくと、アルベルトが艶めいた声を上げる。


「アルベルト……っ、もっと気持ちよくしてあげる」

 俺は身体を下ずらすと、そそり立ったアルベルトの剛直に、唇を寄せた。

 そして、アルベルトが反応するより先に、それを口にくわえる。


「んっ、アルベルトのっ、おっきいっ……」


「兄さんっ、なんてことをっ……」

 アルベルトが俺を制止しようとするが、俺はその手を払いのけ、さらにその剛直を強く吸った。


 途端にアルベルトの力が抜ける。

「んっ、はあっ……、兄さんっ……」


 ――アルベルトが俺に感じてくれてる……。


 俺は必死でそれに舌を這わせ、手も使ってアルベルトを慰めた。

 鈴口をすすると、アルベルトの身体が震えた。


「兄さんっ、駄目だっ、あっ……」

 アルベルトの声に耳を貸さず、俺は夢中でアルベルトを舐め続ける。


「んっ……、アルベルトっ、気持ちいいっ?」

 俺がアルベルトを見上げると、

「んっ、くぅっ……、兄さんっ、駄目だって、早く放してっ!」

 アルベルトが低く呻くと、俺の顔に熱い飛沫がかかった。


「あっ……」

「ごめんっ、兄さん、早く拭いてっ!」

 アルベルトの吐き出した精がかかった俺の顔を、アルベルトが拭う。


「大丈夫、だよ、アルベルト」

 俺は言うと、唇にかかったそれをぺろりと舐めた。


「おいしい……、アルベルトの……」



「兄さんっ!!!!!!!!!!!!」


 アルベルトはすごい勢いで俺を押し倒してきた。


「兄さんっ、もしかして、もしかして、あの男に教えられたんですかっ?
無理やりあの男のものを咥えさせられて、あんな淫らな舌使いをっ……。
だとしたら、俺はっ、俺はっ……、あの男を殺しそこねてしまったことを一生後悔しますっ!!!!」

 俺の首を締めんばかりの勢いのアルベルトに、俺は顔をしかめる。

「っんな、わけ、ないだろーがっ! なんで、俺がっそんなこと……っ、
俺はっ、俺はっ、アルベルトのだからっ、……したんだっ」

 最後の方は声が尻すぼみになってしまう。

 だが、しっかり最後まで聞いていたらしいアルベルトは、ぱあっと顔を輝かせた。


「じゃあ、俺が兄さんのお口のはじめての相手、なんですねっ!! よかったっ!!」

「は、はじめての……って……、んっ」

 アルベルトが唇を重ねてくる。


「兄さん、ありがとう! 俺っ、すごく嬉しいっ!」
今度は俺が兄さんを気持ちよくしてあげるからね!」

 アルベルトはチュッと俺に軽いキスを落とすと、反応しきっている俺自身に手を伸ばす。


「んっ、アルベルト……っ」

「兄さんっ、教えて……、それから、あの男に何されたのか」

 アルベルトの青紫色の瞳が、妖しい光を帯びる。


「あっ、アルベルトっ、やあっ、だめっ」

 アルベルトが俺自身を捌く手をどんどん早めていく。

「ほら、教えて。教えてくれたら、もっと気持ちいいことを俺がしてあげるよ」

「んっ、全身っ、舐められてっ、吸われてっ、噛まれてっ……」


「あのド変態がっ」

 アルベルトは凶悪な顔つきになると、俺の乳首に舌を這わせた。


「んっ、そこっ、やぁっ!」

「ここにも噛み跡がついてる。あの男……っ、俺の兄さんに……っ!」

 アルベルトは、俺がダンにつけられた噛み跡を全身くまなくたしかめると、消毒だと言って、ひとつひとつ丁寧に舐めて俺を感じさせた。


「あっ、あっ……、気持ちいいっ、アルベルト……」


「俺が助けに入ったとき……」

 アルベルトは俺の両足を広げると、昏い目をして言った。


「兄さんは犯されそうになってたよね、もしかして、ここ、触られたりしたの?」


 アルベルトの繊細な指先が、俺の後ろの孔に触れた。

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