【完結】前世の記憶が転生先で全く役に立たないのだが?! ~逆チートの俺が異世界で生き延びる方法~

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第34話

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「やめろっ! 嫌だっ! あっ、痛いっ!!!」

 俺の後孔を、ビクトルの指が抜き差ししている。

 不快感と痛みに、俺はうめき声を漏らす。


「キツイな……、これでは入りそうもない……」

 ヴィクトルは舌打ちすると、指を引き抜き、今度はまた俺自身を捌きはじめた。


「やっ、ああっ……、あっ……」

「……泣くな、アントン。俺はちゃんと責任は取るつもりだ……」

 ヴィクトルは、宥めるように俺の頬を撫でた。


「ううっ、くぅっ、なんでっ、こんなっ、ひどいっ!!」

 多分俺の顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。


「もう少しだけ、我慢だ。アントン……、お願いだ。ちゃんと良くしてやるから……」

 困惑したようなヴィクトルの声……。



「嫌だっ、嫌だっ、嫌だっ!」

 俺は叫んだ。

 いくら鈍い俺にだってわかる。

 ヴィクトルは、俺と身体を繋げるつもりだ。

 そうなったら、俺は、いったいどうなる!?



 ――俺が16になるまで、もうちょっとだけ待ってて。それまで、絶対誰にも兄さんのこんな可愛い顔見せちゃ駄目だよ。わかった?

 アルベルトの言葉が頭をよぎる。



「アントン、覚悟を決めて俺のものになるんだ!」

 ヴィクトルが、また俺の脚を大きく開かせた。



 ――こんなのは、嫌だ!!! 俺は嫌だ! 絶対に!!!!


「助けてっ!!!! アルベルトっ!!!」

 声の限りに叫ぶと、パリンっ、とガラスが割れるような音が響いた。


「何を……っ!? アント……ンっ! うわあっ……!!!!」

 目隠し越しでもわかるほどの閃光に、当たりが包まれる。


 とたんに、今まで魔力で拘束されていた身体が自由になる。

 
 俺は慌てて起き上がり、緩んだ手首の拘束のベルトを外し、目隠しをはぎ取った。



「……ヴィク、トル……?」


 ――ヴィクトルは、焦げていた……。



 地面にうつ伏せに倒れているヴィクトル。爆風に吹き飛ばされたかのように、衣服のあちこちが焦げて破れ、髪も縮れている……。


「ぐうっ……」

 俺があっけにとられていると、低いうめき声とともに、ヴィクトルの身体がもぞもぞと動く。


 ――ヤバイ、逃げなきゃ!!

 俺は、乱された衣服を急いで整えると、一目散に温室から逃げ出した。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 そのまま教室には戻らず、寮の自室に戻った。

 まだ、動悸が収まらない。


 ヴィクトルに舐めまわされた体中が不快で、俺は熱いシャワーを浴びることにする。



「くそっ、なんで、なんで……」

 熱いお湯を顔面に浴びていると、またさっきまでのことが脳内によみがえり、涙がとめどなく流れてくる。

 悔しかった。あまりにも弱く、抵抗すらできなかった自分……。


 拘束され、ヴィクトルの手で俺の身体をいいように扱われた。あの不思議な出来事がなければ、今頃俺は間違いなくヴィクトルに犯されていた……。


 何より悔しいのは、強引にではあるが、ヴィクトルの身体に感じさせられてしまった弱い自分……。

 下腹部に手をやると、発散できなかった熱がまだ身体に残っているのがわかる。

 俺は、自分自身に手を伸ばす。



「アルベルト……っ」

 俺は弟の名前を呼ぶ。


 ――アルベルトに会いたかった。会って、抱きしめてほしかった。慰めてほしかった。


 たとえ冷たい言葉で詰られたとしても、アルベルトの根底にあるのは、俺への深い愛情だ。


 ――たとえそれが、家族としてのものだったとしても……。


 俺は自分自身を慰めながら、アルベルトに触れられたあのときのことを思い出していた。

 俺の身体を愛撫するアルベルトの手、指先、舌、唇……。耳元でささやかれた低く甘い声。


 もし俺をまさぐったあの手が、ヴィクトルでなく、アルベルトのものだったら……。




「ああっ、アルベルトっ、アルベルトっ!」

 あの美しい青紫の瞳を思い出し、俺は果てた……。



 そしてわかった。


 ――俺は、アルベルトにどうしようもなく惹かれている……。


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