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第28話 〜アルベルトside〜

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~アルベルトside~


「兄さん、兄さん……」


 呼びかけるが、うつ伏せになった兄は、じっとしたまま動かない。

 アルベルトがかけた催眠魔法により、意識の奥深くまで眠ってしまったようだ。

 この魔法は、アルベルトが耳元で呪文を唱えるまで、解けることはない。



 ――これで、いい。


 アルベルトはアントンの背中に置いていた手を離す。




 寝息を立てている兄の背中をなでると、アルベルトはアントンを仰向けの体制に変えた。

 そして、自分もベッドの上にあがり、そのままアントンの身体にまたがった。


「兄さん……」


 アルベルトは青紫色の瞳を、愛しげに細め、眠っている兄の頬をゆっくりと撫でた。


「可愛い兄さん、俺だけの兄さん……」


 絹の寝間着のボタンをひとつずつ外していくと、アントンの細身の身体があらわになる。


「綺麗だよ……、兄さん」


 前を開いてアントンの裸の胸に手を這わせる。



「俺には、全部見せてくれるよね……?」


 うっとりとした調子でアルベルトは言うと、アントンの衣服を下着ごとすべて取り去った。


 全裸にされたアントンだが、魔法で深い眠りに落ちているため、ピクリともうごかなかった。


「はあっ……、たまらないよ、兄さん。こんなそそる身体、誰にも見せていないよね?」



 アルベルトは、アントンの脇腹から腰にかけてさすると、その身をかがめて、アントンの細い首筋にキスをする。


「素敵だよ……、兄さんっ……」


 荒い息を繰り返しながら、アルベルトはアントンの身体中に口づけを落としていく。




「兄さん、今日もいっぱい感じてね……」


 アルベルトはうっとりと言うと、アントンの乳首に手を伸ばす。


 深い眠りに落としているとはいえ、アントンの肉体は全くなにも感じていないわけではない。


「んっ……」


 アルベルトが、乳首をつまむと、アントンの唇からくぐもった声が漏れた。



「兄さん、ここ反応してくれるようになってくれたんだね?」

 
 アルベルトが乳首に吸い付くと、アントンの身体がピクリ、ピクリと動く。


「んっ、んっ……」


「可愛い、可愛いよ、兄さん……」



 アルベルトは自身の衣服も全て脱ぎ捨て裸になると、アントンの身体に絡みついた。


 両手で兄の身体を思う存分まさぐり、固くなってきたその秘部を握ってすりあげてやる。


「ふぁっ、ああ……っ」


「はあっ、はあっ、兄さんっ、兄さんっ……」


 薄く開いたアントンの唇から、自分の舌を差し入れ、思う存分蹂躙していく。



 アルベルトの熱い舌がアントンの歯列をこじ開け、上顎を舐めあげ、舌をきつく吸い上げた。



「んっ、あっ……」


 ――魔力譲渡と称して、毎週弟にこうして身体を弄ばれていると知ったら、アントンはいったいどんな顔をするだろう?

 怯えてもう二度と口を聞いてくれなくなるか、絶縁を言い渡されるかもしれない……。


 ――だが、

 こうして自分の欲望を発散する手段がもし得られていなかったら、自分はいまごろアントンを攫って、森の奥深くに監禁していたに違いない。



 この細い足首に、魔力を込めた銀の足かせをはめさせて……。

 家も、家族も、騎士の地位もすべて捨てて……。


 アントンが帰りたいと泣きじゃくっても、絶対に許さず、どろどろに溶けるまで抱いて、死ぬまで解放しない。



「絶対に、誰にも渡さない、兄さんは、俺のものだ……」


 青紫の瞳に暗い焔がともる。





「兄さん、また俺に可愛い声を聞かせて?」


 アルベルトは、アントンの下腹部にかがみ込むと、その屹立を口に含んだ。


「んっ、あっ……」


 反応するアントンの太ももをなで上げ、脚を大きく開かせる。


「あの時みたいに、可愛い声で啼いてほしいな」



 ――アルベルトは、媚薬に犯された昨日のアントンのことを思い出していた。

 いつもは、アントンに一方的な欲望をぶつけていただけのアルベルトだっだが、あのときのアントンは積極的にアルベルトに応えて、身をくねらせ、喘ぎ、懇願した。



 ――あんな声を聞かされて、あんなふうにねだられたら……。



 ヴィクトル王子に計られた結果とはいえ、あんな背徳的な兄と性的な接触を持てたことは、あまりに大きな褒賞だった。




 ――でも、もし相手が自分でなかったら……。



 考えると、アルベルトは正気ではいられなくなる。



 ――約束の日までもう少し。


 ――だが、それまでアントンを守りきれるのだろうか?





 ――アントンに群がる厄介極まりない男たち……。


 ヴィクトル王子は、王子自体はそこまで脅威ではないが、その背後にいるソフィア王女の存在が懸念材料だ。

 ソフィア王女は慈悲深く慎み深い女性として知られているが、巷の評価をそのまま鵜呑みにするほど、アルベルトは愚かではない。その微笑みの裏で考えていると思われることは、アルベルトを猜疑心を強めるには十分だ。そして、魔力が高いだけではなく、王族としての権力まで持っている。

 それに、アントンの右耳の魔石は、彼を守護するのに充分な力を持っているはずだったが、学園でヴィクトル王子に魔力譲渡の接触を許していたという事実も気がかりだ。



 魔法大臣の息子、エリアス・ファルセンは今の所表立った動きはないようだが、それが逆にアルベルトを不安にさせている。

 それだけ、水面下で巧妙に何かを企んでいる可能性が高い。従姉のアデラの婚約者という立場を利用し、アントンに安心感を抱かせているところも要注意だ。また、魔法の能力が高すぎるため、アルベルトにも気づかれない術や呪いを行使してくる可能性もある。



 そしてさらに、厄介なのがもう一人……。




「ん、あ、あああ……っ」


 甘い声を上げて、アントンがアルベルトの口内に精を放った。


 アルベルトは喉を鳴らしてそれを飲み込んだ。


「いっぱい出たね。美味しかったよ、兄さん……。
今度は、俺も気持ちよくしてくれる?」


 アントンの両腿をピッタリとくっつけると、そこにそそり立った自身を差し入れ、動かし始める。



「んっ、はあっ……、兄さんの中に、入ってるみたいで、気持ちいいよっ」


 腰を動かすと、いいところに擦れるのか、アントンの息も上がってくる。



「兄さん、もうちょっとだけ、俺が16になるまで、待っててね……、そしたら俺が、兄さんを……っ!」



「んっ……」



 激しい動きとともに、アルベルトがアントンの腹に精を撒き散らした。




「もうすぐだよ……、兄さん。全部俺のものにして、俺が中にいっぱい出してあげるからね……、もうすぐだから……」


 アルベルトは、吐き出した精をアントンの腹に塗りつけると、恍惚とした表情で繰り返した。



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