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第27話

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 アルベルトはなだめるように俺の首すじにキスすると、俺ものと一緒に自分のものを握り込んできた。


「あっ、あああっ……」


「気持ちいいっ、でしょっ? 兄さんっ……」


 アルベルトの息も上がっている。


 上気した頬がすごく色っぽい……。



「あっ、はあっ、気持ちいいっ!」


 グチュグチュと音を立てて、アルベルトが大きな手で二人のペニスをこすり合わせる。



「俺も、すごくいい、ああっ、兄さんっ、兄さんっ!」


 アルベルトの手の動きが早くなると、すぐに俺はまたイキそうになってしまう。



「アルベルトっ、もうっ、出る……っ」


「くっ、はあっ、兄さん、ちょっとだけ、我慢、してっ!」


 アルベルトは言うと、俺の根元をぐっと握って、せき止めるようにしてしまった。




「やっ、イキたい、アルベルト、離してっ!」


「兄さん、俺と約束して! ちゃんと約束できたら、イカせてあげる」


 アルベルトが俺の根元をせき止めたまま、反対の手で俺の乳首をつまむ。

 

「あっ……、約束っ、するからっ、早くっ……」


 我慢できなくて、俺は腰をくねらせて耐えた。


「俺が16になるまで、もうちょっとだけ待ってて。それまで、絶対誰にも兄さんのこんな可愛い顔見せちゃ駄目だよ。わかった?」


 アルベルトの人差し指が、俺の鎖骨、乳首、臍をなぞっていく。


「ああんっ、誰にもっ、見せない、見せないからぁっ!」


「約束だよ。兄さんは、俺だけのものだからねっ」


 アルベルトは微笑むと、俺と唇を合わせてきた。

 唾液と舌が絡み合って、淫猥な音を立てる。



 ――アルベルトの舌、気持ちいい。


 俺は夢中でアルベルトの舌を吸った。




「兄さん……、兄さんっ……、渡さないっ、絶対っ、誰にもっ!」



 アルベルトは叫ぶように言うと、俺の戒めをとき、また俺のものと一緒にさばき始めた。



「あっ、はあああんっ、アルベルトっ、イクっ!!!」



「くッ、良すぎるっ……、俺も、もう……、限界っ!」



「あっ、はあっ、あああああっ!」



 俺は快楽を吐き出すと同時に、意識も手放してしまっていた……。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 ――そうだ、アレは夢だ。
 
 アルベルトの言っていた通り、アレは夢だ!


 きっと夢だ!

 絶対に夢だ!

 たとえ俺がどんな風にアルベルトにキスをねだったのか、そしてアルベルトがどんなことをして俺を喘がせたのか、はたまたどんなふうにして俺を追い詰めたのか、鮮明に覚えていたとしても!!!


 その理由に、あんなことがあったにも関わらず、アルベルトの俺に対する態度には全く変化がない。


 アルベルトとあんなことをして気を失った俺が次に目を覚ますと、そこはソールベルグ家の俺の部屋のベッドの上だった。

 いつものように絹の寝間着を着せられ、まるでなにごともなかったかのように俺は日曜の朝を迎えたのだった。


 お母様とお父様の反応からして、俺は王宮で体調を崩して家に戻ってきたっていうことになっているっぽい。


 ――そして、いろんなことを確認したい気持ちはあるのだが、チキンな俺は結局アルベルトには何も言えないまま……。

 


  そして週末はあっという間にすぎて、今は日曜の夜。


 アルベルトはいつものように、俺の部屋で俺への魔力譲渡の準備をしてくれている。



「ベッドにうつぶせになってください」


 相変わらず表情が読めない美貌で告げられ、俺は大人しく指示に従う。


 チラリとアルベルトを伺うと、目を閉じて精神統一しているようだ。手のひらに青白い魔力が集まってきているのが見える。


 アルベルトによると、魔力譲渡にかかる時間はだいたい2,3時間。服の上から、背中に手を当てる処置なので、割と時間がかかる。

 俺はいつも途中で寝てしまうのだが、アルベルトの拘束時間を考えると、申し訳ない気持ちになってしまう。


 それなら、ヴィクトル王子がするみたいに、粘膜接触のディープキスでの譲渡ならもっと短時間で済んでアルベルトも楽なんじゃないか……って、俺は一体何を考えているんだ!!!???


 アルベルトとのあのキスを思い出し、俺は顔を赤くする。


 濃厚接触が嫌だから、アルベルトは時間をかける方を選んでいるのに違いないのに!!!




「兄さん、絶対に一週間は持たせますから、今後はヴィクトル王子に一切関わらないでください。……ちゃんと、わかってますか?」


 低い声で凄まれ、俺はビクリと肩を揺らす。


「わ、わかってる。アルベルト。もう殿下とは会わないようにするから」


 俺の返事に、アルベルトは深く長い溜息をつく。



「……本当にわかっていればいいのですが……」


 背中に暖かい手のひらが触れる。


「……っ」


 アルベルトの魔力が優しく、穏やかに流れ込んでくる。



 ――なんでだろう、すごく落ち着く……。



 俺は目を閉じる。

 そうして俺は、いつもあっという間に眠りに落ちてしまうのだ……。





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