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第15話
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アルベルトは基本的に喜怒哀楽を顔に出すタイプではない。
いうなれば、ポーカーフェイス、仏頂面、鉄面皮……。
だが、この一見穏やかそうな微笑みの裏側から流れ出るただならぬ冷気……。
これ絶対めちゃくちゃ怒ってるヤツだよね!?
「あ、アルベルト。その手紙はいったい、なん、なの、か、……な?」
とりあえず状況を把握しなければいけない俺は、ひとつひとつ言葉を選んでアルベルトに問いかけた。
対応を間違えると、とてもややこしいことになりかねない。
「これは、ソフィア王女から兄さんへの手紙ですよ」
「へっ!? ソフィア王女っ!?」
予想外の答えに、俺の鼻の穴が思わずふくらんでしまったらしい。
アルベルトを包む冷気が、また何度か下がった気がした。
「……ええ、ソフィア王女です。兄さんと王女が、手紙のやりとりをされるほどほど親しかったとは知りませんでした」
や、やばい。アルベルトの額の青筋がぴくぴくと痙攣している……。
ちなみに俺とソフィア王女は面識はあれど、知り合いというほど親しくもないわけで、何であのソフィア王女から俺にお手紙がくるのか、俺にもさっぱりわからない。
そして、俺宛の手紙なのに、なぜか当然のようにアルベルトに開封されているのはなぜなのか?
俺には人権すらないのか・・・?
だが、俺にとってはソフィア王女からお手紙がくるということは、今をときめく人気アイドルから突然メールがくるようなもの!?
この世界の男で、あの慈愛に満ちたお美しい王女様にあこがれないヤツなんていない!
なにがどうなっているのかはさっぱりわからないが、ついに俺にも転生者にありがちな「チートボーナス」が与えられたのか!?
まったく冴えない俺だが、あの次代の女王には転生者としての俺の何か特別な魅力を感じ取れることができるとか?
俺は、憮然とした表情のアルベルトから手紙を奪い取ると、鼻息荒く中身を確認した。
ーーーーーー
前略、いつも愚弟と親しくしていただきありがとうございます。
ヴィクトルはああいう性格ですので、親しい友もおらず常々心配しておりましたが、アントンさんのような心優しい方に大変仲良くしていただいていると聞いて、とても安心しております。
さて、このたび突然お手紙を差し上げましたのは、先日ヴィクトルと約束されたお品を、僭越ながら姉の私がご用意させていただいたからでございます。急で申し訳ないのですが、土曜日のお茶の時間に王宮までお越しいただければ大変うれしく思います。
首を長くしてお待ちしております。
かしこ
ーーーーーー
「??????」
ってこの手紙、ヴィクトルのことしか書いてなくない?
お誘いの文章っぽいけど、俺が明日の土曜日王宮に出向くことは半ば決定事項になっているような雰囲気。
さすがは王女様! 優しい文面ながらも、そこはかとなく漂う威圧感と王族オーラ!
下民の俺には断る権利などなく、従うしかないのだろう……。
そして密かに期待していたウフフ展開が見事にはずれ、俺は静かに落胆した。
それにしても、読めば読むほど意味不明の内容だ。
俺はヴィクトルと、いったいなにを約束したというのだろう。あのヴィクトルの性格からして、ヴィクトルが俺と仲良くしているなんて、お姉様に報告するわけがないだろう!
それに、そもそも俺とヴィクトルは仲良くなんてしていない!
たとえ、成り行き上べろちゅーをすることがあったとしても!!!!
――ということは、またあの偏屈王子が、あることないこと、姉のソフィア王女に報告したのかもしれない。心優しいソフィア王女のこと、ヴィクトルのことを思ってなにかしてあげようと心を砕いたのかもしれない……。
「あっ、ちょっと!」
アルベルトは俺からその手紙を取り上げると、その青紫の瞳をすっと細める。
「兄さんが、あのヴィクトル王子と親しくされているなんてちっとも知りませんでした……。
……それで……、約束された内容というのを、聞かせていただけますか?」
こ、怖い……、怖いよアルベルト!
いうなれば、ポーカーフェイス、仏頂面、鉄面皮……。
だが、この一見穏やかそうな微笑みの裏側から流れ出るただならぬ冷気……。
これ絶対めちゃくちゃ怒ってるヤツだよね!?
「あ、アルベルト。その手紙はいったい、なん、なの、か、……な?」
とりあえず状況を把握しなければいけない俺は、ひとつひとつ言葉を選んでアルベルトに問いかけた。
対応を間違えると、とてもややこしいことになりかねない。
「これは、ソフィア王女から兄さんへの手紙ですよ」
「へっ!? ソフィア王女っ!?」
予想外の答えに、俺の鼻の穴が思わずふくらんでしまったらしい。
アルベルトを包む冷気が、また何度か下がった気がした。
「……ええ、ソフィア王女です。兄さんと王女が、手紙のやりとりをされるほどほど親しかったとは知りませんでした」
や、やばい。アルベルトの額の青筋がぴくぴくと痙攣している……。
ちなみに俺とソフィア王女は面識はあれど、知り合いというほど親しくもないわけで、何であのソフィア王女から俺にお手紙がくるのか、俺にもさっぱりわからない。
そして、俺宛の手紙なのに、なぜか当然のようにアルベルトに開封されているのはなぜなのか?
俺には人権すらないのか・・・?
だが、俺にとってはソフィア王女からお手紙がくるということは、今をときめく人気アイドルから突然メールがくるようなもの!?
この世界の男で、あの慈愛に満ちたお美しい王女様にあこがれないヤツなんていない!
なにがどうなっているのかはさっぱりわからないが、ついに俺にも転生者にありがちな「チートボーナス」が与えられたのか!?
まったく冴えない俺だが、あの次代の女王には転生者としての俺の何か特別な魅力を感じ取れることができるとか?
俺は、憮然とした表情のアルベルトから手紙を奪い取ると、鼻息荒く中身を確認した。
ーーーーーー
前略、いつも愚弟と親しくしていただきありがとうございます。
ヴィクトルはああいう性格ですので、親しい友もおらず常々心配しておりましたが、アントンさんのような心優しい方に大変仲良くしていただいていると聞いて、とても安心しております。
さて、このたび突然お手紙を差し上げましたのは、先日ヴィクトルと約束されたお品を、僭越ながら姉の私がご用意させていただいたからでございます。急で申し訳ないのですが、土曜日のお茶の時間に王宮までお越しいただければ大変うれしく思います。
首を長くしてお待ちしております。
かしこ
ーーーーーー
「??????」
ってこの手紙、ヴィクトルのことしか書いてなくない?
お誘いの文章っぽいけど、俺が明日の土曜日王宮に出向くことは半ば決定事項になっているような雰囲気。
さすがは王女様! 優しい文面ながらも、そこはかとなく漂う威圧感と王族オーラ!
下民の俺には断る権利などなく、従うしかないのだろう……。
そして密かに期待していたウフフ展開が見事にはずれ、俺は静かに落胆した。
それにしても、読めば読むほど意味不明の内容だ。
俺はヴィクトルと、いったいなにを約束したというのだろう。あのヴィクトルの性格からして、ヴィクトルが俺と仲良くしているなんて、お姉様に報告するわけがないだろう!
それに、そもそも俺とヴィクトルは仲良くなんてしていない!
たとえ、成り行き上べろちゅーをすることがあったとしても!!!!
――ということは、またあの偏屈王子が、あることないこと、姉のソフィア王女に報告したのかもしれない。心優しいソフィア王女のこと、ヴィクトルのことを思ってなにかしてあげようと心を砕いたのかもしれない……。
「あっ、ちょっと!」
アルベルトは俺からその手紙を取り上げると、その青紫の瞳をすっと細める。
「兄さんが、あのヴィクトル王子と親しくされているなんてちっとも知りませんでした……。
……それで……、約束された内容というのを、聞かせていただけますか?」
こ、怖い……、怖いよアルベルト!
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