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第10話
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ヴィクトルとこういう経緯になったのには、深い深~いわけがある!
元はと言えば、俺の悩み多き体質にそれは起因している。
俺は魔法が使えない。だが、魔力が全然ないわけではない。
どんなに魔力のレベルが低かろうと、人は少なからず魔力を持っている。
これはこの世界に生きている人間にすべて共通することである。
魔力のレベルというのは人によって個人差であり、一般的に貴族は総じて魔力が高くて魔法が使えるものが多いが、一般人でも魔力が高いものはまれにいる。
そして、魔法が使えないごく普通の人なら、体力と同じように、眠ったり食べたりすれば魔力は自然と回復する。
生活するうえで、魔力のことは何も気にすることはない。
だが俺は何の因果か、魔力欠乏症という体質のため、自分で魔力を回復することができない。
俺は5歳でこの症状が始まってしまった!
もし魔力を回復することができず、魔力がゼロになってしまった場合、その人間は死ぬ……。
そのため俺は、魔力の高いものに定期的に魔力を補ってもらう必要があるのだ。
しかも!
魔力は誰のものでもいいというわけではない!
血液型と同じで、型が合わない魔力を注がれると、回復どころかさらに悪くなってしまうのだ。
そのため、俺は貴族学校に入学した後も、毎週末実家に帰り、魔力の型があうアルベルトに魔力を補ってもらうことにしていたのだ。
だが、この学園に入学して3週間たったころ事件は起こった!
一週間は絶対に持つくらい魔力は補充されていたにもかかわらず、おれはたった3日で、魔力切れを起こしかけてしまったのだ!
どうやら魔力というのは、ストレスに非常に弱いようで、この学園でクラスのみんなからいないもののように扱われ続けた結果、俺のデリケートなハートはぎったんぎったんに傷ついてしまっていたらしい。
魔力切れで、死にかけの俺は、迷い込んだ温室で王子のヴィクトルに助けられた。
ヴィクトルと魔力の型が合ったのは、偶然なのか、それとも王族の魔力はオールマイティに使える万能魔力だったからのかはわからない。魔力の型が合うのは、数十人に一人くらいの確率といわれているから、アルベルト以外に魔力の型が合う人間がいて俺は本当にラッキーだった……。
しかし、家族以外には秘密にしていた魔力欠乏症のことをヴィクトルに知られてしまった。
ヴィクトルのことだから、これをネタにゆすられでもするのかと俺は怯えたが、何を思ったのかヴィクトルは毎週水曜日に「施し」として、誰にも内緒で俺に魔力を与えてくれることになった。
そしてそれは、もうすぐ進級しようという今になってもずっと続いている……。
おかげで俺は家族に無用な心配をかけることもなく、学園生活を続けられているのだ。
アルベルトが不本意ながら毎週末行っている魔力譲渡で足りないことがバレてしまったら、ますます俺はアルベルトに疎まれてしまうに違いない。
それに、過保護な両親は、ストレスフルな俺の学園生活に、きっといらぬ心配をするに違いない。
ヴィクトルは、性格に多少……いやかなりの難ありの男だが、わりと人情に厚いところがあるのだろう。
もしかしたら、基本的に悪い奴ではないのかもしれない。
だ、が!
魔力譲渡のたびに、わざわざべろちゅーする必要など全くないわけで!!!
家でアルベルトから魔力譲渡されるときは、服の上から背中に手を当てられるだけだし、いくら粘膜接触のほうが効率が高いと言っても、唇を重ねるだけでも十分なはずだ!
現にはじめのうちは、触れるだけのキスだったわけだし……。
――しかし、与えられるのみの俺が、ヴィクトルに文句を言うことなど、できるわけがない……。
俺は袖口で唇をごしごしとこすりながら、教室に戻った。
元はと言えば、俺の悩み多き体質にそれは起因している。
俺は魔法が使えない。だが、魔力が全然ないわけではない。
どんなに魔力のレベルが低かろうと、人は少なからず魔力を持っている。
これはこの世界に生きている人間にすべて共通することである。
魔力のレベルというのは人によって個人差であり、一般的に貴族は総じて魔力が高くて魔法が使えるものが多いが、一般人でも魔力が高いものはまれにいる。
そして、魔法が使えないごく普通の人なら、体力と同じように、眠ったり食べたりすれば魔力は自然と回復する。
生活するうえで、魔力のことは何も気にすることはない。
だが俺は何の因果か、魔力欠乏症という体質のため、自分で魔力を回復することができない。
俺は5歳でこの症状が始まってしまった!
もし魔力を回復することができず、魔力がゼロになってしまった場合、その人間は死ぬ……。
そのため俺は、魔力の高いものに定期的に魔力を補ってもらう必要があるのだ。
しかも!
魔力は誰のものでもいいというわけではない!
血液型と同じで、型が合わない魔力を注がれると、回復どころかさらに悪くなってしまうのだ。
そのため、俺は貴族学校に入学した後も、毎週末実家に帰り、魔力の型があうアルベルトに魔力を補ってもらうことにしていたのだ。
だが、この学園に入学して3週間たったころ事件は起こった!
一週間は絶対に持つくらい魔力は補充されていたにもかかわらず、おれはたった3日で、魔力切れを起こしかけてしまったのだ!
どうやら魔力というのは、ストレスに非常に弱いようで、この学園でクラスのみんなからいないもののように扱われ続けた結果、俺のデリケートなハートはぎったんぎったんに傷ついてしまっていたらしい。
魔力切れで、死にかけの俺は、迷い込んだ温室で王子のヴィクトルに助けられた。
ヴィクトルと魔力の型が合ったのは、偶然なのか、それとも王族の魔力はオールマイティに使える万能魔力だったからのかはわからない。魔力の型が合うのは、数十人に一人くらいの確率といわれているから、アルベルト以外に魔力の型が合う人間がいて俺は本当にラッキーだった……。
しかし、家族以外には秘密にしていた魔力欠乏症のことをヴィクトルに知られてしまった。
ヴィクトルのことだから、これをネタにゆすられでもするのかと俺は怯えたが、何を思ったのかヴィクトルは毎週水曜日に「施し」として、誰にも内緒で俺に魔力を与えてくれることになった。
そしてそれは、もうすぐ進級しようという今になってもずっと続いている……。
おかげで俺は家族に無用な心配をかけることもなく、学園生活を続けられているのだ。
アルベルトが不本意ながら毎週末行っている魔力譲渡で足りないことがバレてしまったら、ますます俺はアルベルトに疎まれてしまうに違いない。
それに、過保護な両親は、ストレスフルな俺の学園生活に、きっといらぬ心配をするに違いない。
ヴィクトルは、性格に多少……いやかなりの難ありの男だが、わりと人情に厚いところがあるのだろう。
もしかしたら、基本的に悪い奴ではないのかもしれない。
だ、が!
魔力譲渡のたびに、わざわざべろちゅーする必要など全くないわけで!!!
家でアルベルトから魔力譲渡されるときは、服の上から背中に手を当てられるだけだし、いくら粘膜接触のほうが効率が高いと言っても、唇を重ねるだけでも十分なはずだ!
現にはじめのうちは、触れるだけのキスだったわけだし……。
――しかし、与えられるのみの俺が、ヴィクトルに文句を言うことなど、できるわけがない……。
俺は袖口で唇をごしごしとこすりながら、教室に戻った。
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