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第4話

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 ――って、気になるわ!!!!!!


 俺が教室の入り口に立った途端、ざわめきがピタリと止まる。

 それまでおしゃべりに興じていたクラスメートたちが一斉に静まり返った教室に、俺は仕方なく入っていく。


 ――だってしょうがないだろ! たしかに俺の素性は貴族ではなく、DNAはどこまでも庶民だけど、一応ソールバルグ家の長男ってことになっていて、このクラスにちゃんと席もあるんだ!!


 クラス中にやんわりとシカトされている俺でも、一応礼儀はわきまえているので、隣の席のマルクってやつにだけ挨拶だけはしておく。


「おはよう」

「お、おはよう…‥」

 マルクは悪いものでも見たかのようにうつむく。


 こんな感じでお貴族様たちの集まるきらびやかなクラスでも浮きまくっている平民まるだしの俺だが、露骨にかかわらないようにされているだけで、特にいじめられたり、あからさまに嫌がらせさせたりしているわけではない。


 一応話しかければ、最低限の返事はしてくれるし、お知らせや連絡もちゃんと回ってくる。

 もともとお上品な人間ぞろいだ。俺のような得体のしれない素性のものに関わるの自体が、無意味だと考えているのだろう。



 教室に入ってしまえば、いつも俺は空気のように扱われる。


 平民遺伝子しか持ち合わせていない俺にとって、この学園の授業は難しく、ついていくのがやっとといったところだった。

 だが俺の将来の計画のためにも、算術と経済、歴史の授業には特に力を入れ、予習と復習を怠らないことにしている。
 
 もともと魔力など持ち合わせていないので、俺にとって魔法の授業はまったくの無駄であったが。





 そうこうしているうちに、午前の授業が終わり、ランチタイムとなった。

 俺は素早く教室を抜け出し、カフェテラスへと向かう。


 カフェテラスは混み合っていた。

 ほとんどの学園の生徒が、ここでランチをとるのだから当たり前だけれども。

 周りを見渡すと、どこまでもきらびやかな世界が広がっている。


 貴族の子女たちは、みんなキラキラした華やかな髪色に、宝石のようなカラフルな瞳を持っている。

 そして身につけるのは、それぞれの家のカラーを基調とした、仕立ての良い洋服。


 ちなみに、この世界でも、若者にとってファッションは関心事の一大事らしく、それぞれ自分らしく個性を出し、それでいてお家の品位を損なわないように装うことは、学園生活において勉強よりも大切なことらしい。

 今主流なのは、だんぜん男子は騎士っぽい格好だ。ほら、中世ヨーロッパの軍服みたいなかっちりした服装に方から胸元にかけて金の紐や房がついているようなアレ!

 それに勲章?みたいなブローチや宝石をつけたりして格好つけているの今どきらしい。

 ちなみに俺は騎士団長の息子でありながら、そんな格好が似合うはずもなく、ソールベルグ家のカラーである青色の長めの上着に、中にはふわっとしたタイみたいな飾りがついている白いシャツ、そしてクリーム色のズボンに黒いブーツといった出で立ちである。
 
 お母様はもっと貴族貴族したフリフリのかわいいガウンみたいな感じのものを着せたいらしく、お父様はもっと騎士っぽいいかつい感じのものを着せたいらしいが、いかんせんどちらも壊滅的に似合わない俺。だってマントとか絶対無理だよ。裾を踏んづけて転ぶ自分しか思い浮かばないし……。


 銀の糸の刺繍がほどこされた長めの上着は、まるで文官と貴族のハーフっぽいなんとも微妙な感じであるが、この格好は学園でもいわゆるおとなしめの男子学生にはそれなりに支持されているスタイルなのである!!

 ちなみに全身黒づくめに、銀のゴツいアクセサリーを得意げに身につけているやつも少数いる。どの世界にも厨二病は存在するのだと確信する瞬間だ。


 女子においては、本当に様々。舞踏会に行くようなものすごいドレス姿をしてくる生徒もいれば、機能性重視といった身軽な服装の女子もいるし(でも高級感はすごい!)、はたまた男子みたいな騎士の格好をしている生徒もいる。これは騎士団長である、我が麗しのお母様、シルヴィア・ソールベルグの影響が多大にあるのだとか!



「アントン! こっちだよ!」


 涼やかな声がして振り返ると、澄み切ったエメラルドの瞳と目があった。

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