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【番外編】

Do Not Disturb【後編】

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「あっ……、はあっ……」

 そのまま下腹部に降りてきたディランの舌は、僕自身にねっとりと絡みついた。


「んっ、くうっ……」

 直接的な激しい快感に、すぐにでものぼりつめてしまいそうになる。

「ディランっ、もっ、離して……」

「ルイ……、ちょっとだけ我慢……な」

 そう言うと、ディランは僕の両足を持ち上げ、僕の後ろを舐め始めた。


「あっ……、そんなとこ、舐めるなっ」

 慌ててディランの髪を引っ張るが、ディランはびくともしない。

 ぺちゃぺちゃと音を立てて、僕の感じるところを舌先でつつく。


「あっ、あああっ、んんっ、やあっ……」

「狭いな……。これじゃ辛いだろ……。もっと、広げておいてやるよ……」

 そう言うと、手で僕の窄みを開かせ、さらにそこにぐっと舌を差し入れた。

「駄目っ、またっ……、あああああ……」

 身体が、爆発する……。


「感じやすいんだな……、マジで狂いそうなくらい、嫉妬してる……、俺……」

 ディランが欲情した瞳で、僕を見下ろす。


「ディラン……。僕は……」

「もう、誰にも、渡さない……!」

 ディランは言うと、また僕の身体をすみずみまで舐め始めた。


「も……ディラン! 我慢、できないっ……」

 僕はディランの肩をつかむ。

「ルイ……?」

「ディランが、欲しいんだよっ! もうっ、焦らすなっ!」

 ディランにすがる。


 早く、欲しい――。
 ディランが――。

 ディラン自身が――。



「ルイ……、お前が悪いんだぜ……」

 ディランは苦しげな表情になると、僕の後ろにゆっくりと指を差し入れた。

「あっ、はあっ……」

 待ち望んでいた刺激に、僕の身体が跳ねる。

「もっともっと時間かけて、優しくしてやりたかったのに……。
お前が、俺をけしかけたんだ……。責任は、取ってもらう」

 僕の中の指が増やされる。


「ああっ……」

「こんなに感じて……、お前の中、俺が欲しいって誘ってるぞ?」

「いやっ、あっ……」

「ほら、もう3本入ってる。……もっと、欲しいのか?」

「あっ、ディラン……」

 ディランが僕の足を抱える。


「いれてやるよっ……。
もう俺じゃなきゃ、駄目な身体にしてやるっ」

 熱くて固いソレが、僕の後ろに押し当てられる。


 ディランは迷わず、僕を一気に貫いた。

「あああああああっ!」

 圧倒的な重量感。
衝撃に、僕は息もできなくなる。



「ルイ……、もっと感じろよ。もっと……俺で……。俺だけで」

 間髪入れず、ディランは動き始める。


「あっ、はあっ……、んっ……」

 ディランに与えられる快感は、想像を絶するものだった。


 奥まで貫かれ、快感が身体中を駆け巡る。


「お前のこと、俺でいっぱいにしてやるっ……」

「ああっ、ディランっ……」

 僕の身体が、ディランですべて満たされる。



 ――僕は、ディランのものだ。



「ルイ……、愛してるんだ……、もうお前しか……見えない……」

 深くつながったまま、ディランが僕を強く抱きしめる。

「ディランっ……」

 ディランを身体の奥で感じながら、僕の心は、愛で満たされていた……。






 ――時間の感覚が、まるでなかった。

 まどろみから覚めると、そこにはディランがいて、僕をまた快楽の淵へと誘った。

 僕たちは絡み合い、何度も何度ものぼりつめた。

 何度抱き合っても、また新しい発見と悦びで、僕はまた満たされる……。

 ディランに何度も啼かされて、声は枯れ果て、ほとんど残っていない体力も、ついには尽き、いつしか僕は泥のような眠りについていた……。








 かぐわしい匂いで、目が覚める。

 カーテンからは、まぶしい光が漏れている。


「よお、起きたか?」

 バスローブを着たディランが、僕の髪を撫でる。


「いいにおい……」

「ルームサービス頼んだんだよ。いい加減、腹減っただろ?」

 銀のワゴンに、パンやオムレツ、サラダが美しく盛りつけられている。


「朝は、紅茶だったよな?」

 ディランの言葉に、僕は部屋時計を確かめる。


「えっ、9時?」

 いつの間に、夜が明けてしまったのだろう?


「身体、大丈夫か?」

 ディランが、ばつの悪そうな顔で聞く。

「たぶん……」
 僕はゆっくりと起き上がる。

 裸の肩に、ディランはバスローブを着せかけてくれた。


「ちょっと、乱暴だったか? ……俺」

 ディランの耳が、赤い。

 僕は首を振った。

「すごく……よかった。……ディラン……好きだよ」

 僕はディランの袖を引き、その頬にキスした。


「……っ! お前はまたっ!」

 ディランは頬を手で押さえ、責めるように僕を見る。


「これ食べたら、ちょうどチェックアウトだね」
 僕は、ディランに微笑みかけた。

「何言ってんだよ?」
 ディランはニヤリと笑った。


「え?」

「……まだ、全然足りない」

「は?」


「この部屋、あと二泊、予約してあるんだよ。もっと……、ゆっくりしていこうぜ?
 ルイ……」

 ディランは人差し指で、僕の鎖骨をなぞる。


「あと……、二泊……?」



 このままずっとここにいるつもりか……?

 ここでこうして、後二日……、
 ずっと……、ディランと……。




「さきに、一緒に風呂に入ろう……」

 ディランは、軽々と僕を横抱きにする。


「わっ……ちょっとっ」

「いや、それより……」
 ディランは僕を見ると向きを変え、そのままベッドに落とした。


「え? ディラン……?」

「まだまだ、イケるだろ? 一眠りしたことだし、俺もそろそろ本気ださせてもらうわ」

 目を見開く僕を上向かせると、ついばむようなキスを唇に落とす。




 ……本気?

 なら、今までのは?





「愛してる、ルイ……。ずっと一緒に、いような?」


 
 青ざめる僕をよそに、ディランは部屋の扉を開け、外のノブに銀のドアサインをぶら下げた。






 ――Don't disturb.








(了)

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みんなの感想(25件)

aoao
2024.09.16 aoao

わ!番外編^⁠_⁠^楽しみです♪ありがとうございます。

.mizutama.
2024.09.16 .mizutama.

ありがとうございます!!

本編であまりいい思いのできなかったディランへの罪滅ぼしの作品です!!笑

楽しんでいただけると嬉しいです😄

解除
ここなっつ
2024.09.12 ここなっつ

完結おめでとう御座います!!!
凄く良い終わり方で胸がいっぱいになりました泣
ほんとにありがとうございます!!泣

.mizutama.
2024.09.12 .mizutama.

感想ありがとうございます!!
最後まで読んでいただきありがとうございます!

物語のラストを喜んでいただけて私もうれしいです!
応援いただきありがとうございます!感謝の気持ちでいっぱいです❤

解除
まきまき
2024.09.12 まきまき

最終話…ネタバレになるので詳しくは…
すごく良い終わりでした😭
よかった…
これで本物のルイが死んでなければ…
でもそれだと物語が始まらないので仕方ないですが…
ルイのぶんまで幸せに!

.mizutama.
2024.09.12 .mizutama.

感想ありがとうございます!!
終わり方!!喜んでいただき感無量です!
そうなんです、もともとのルイが死んで物語がはじまるんですが・・・みんなそれぞれルイの分まで幸せになって欲しいですね!!っていうかなるはず!

ネタバレにも最後までご配慮いただきありがたいです!感謝!!

また番外編もUPしますのでお楽しみください~❤️

解除

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