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第58話
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オスカーは僕をベッドに落とすと、部屋の明かりをすべて消した。
暗闇に、オスカーのシルエットだけが浮かび上がる。
「オスカー……っ」
無言で近づくオスカーを、抱き留める。
しばらく抱き合っていなかっただけなのに、なぜかとても懐かしい想いがこみ上げる。
あれほど憎らしいと思っていたのに、どこかオスカーに依存している自分に気づく。
ルイを殺した張本人かもしれないというのに、オスカーに自分の身を任せようとする愚かな自分。
――心のどこかで、オスカーのことを信頼していることを認めないわけにはいかなかった。
オスカーを知れば知るほど、オスカーとの関係に、言葉には出来ない情のようなものを覚えるようになっている。
でも、それは決して、ディランを想うときに感じるような激しいものではなく、むしろ穏やかで温かいもの……。
オスカーは、ずっと深いところで僕を理解していた。
僕が欲しいものを、いつだってオスカーは僕に与えてくれる。
唇が、重なる。
「あ……、ふ……っ」
舌を絡め合う。
オスカーとの口づけは、僕の思考をあっという間に奪っていく。
パジャマを脱がされ、裸の身体をなで回される。
「身体が……、熱いですね」
耳をねぶられながら囁かれ、僕の息があがる。
「あっ……、オスカー……」
身体がうずく。
早く欲しいと、オスカーの背中に腕を回す。
「あまり、急かさないでください……」
言うと、オスカーは自らの衣服を脱いだ。オスカーの引き締まった裸身が僕に覆い被さる。
オスカーはゆっくりと僕の身体中に唇を這わせる。
「も……そんなことしなくていいからっ」
僕は、オスカーの背中に爪を立てて抗議する。
――早く、オスカーが欲しい。
「ここですか?」
「……あっ」
後ろに指を入れられ、僕は身体を反らせる。
感じるところを探られ、甘い吐息が漏れる。
「ルイ様……」
「ね……、早くっ」
オスカーの首に手を回し、唇を合わせる。
ついばむようなキスを繰り返すと、オスカーがふっと笑う。
「あなたが私を拒絶したとき……、正直心のどこかでほっとしていました」
「……オスカー?」
「もうこれ以上あなたを、私との罪に堕とさずに済むのだと思うと……。
――でも、やはり無理だった」
オスカーは僕の肩をシーツに押さえつける。
暗闇でも、オスカーの目がぎらぎらと光っているのがわかった。
「あなたがディラン様に向ける表情……。嫉妬で自分自身が抑えられなかったっ」
オスカーが僕の首筋に噛みつく。
「痛いっ……!」
今までのオスカーからは考えられない行為だった。
「本当なら私が、あなたを、光の当たる場所に連れて行ってあげたかった……」
僕の後ろに、オスカーのものが押し当てられる。
「えっ……、あっ、ああああっ」
予告もなく、いきなり中に押し入られる。
「んっ、あっ、はあっ」
普段とは全く違う性急さで、オスカーは腰を進めた。
「ルイ様っ……」
「あっ、あああっ」
「後悔してもしきれません……、この私が、あなたをここまで堕としてしまった……っ」
悲痛なうめき声。
「オスカーっ、苦しいっ……」
「でももう、過去を変えることなどできないっ……。だから、私がすべての罰を受けます。あなたの罪も、すべて私がっ……」
激しく突き上げられ、僕の意識が遠のく。
――オスカーの言葉の真意がつかめない。
「オスカーっ、ダメっ……」
「――愛してるんだ……ルイ……」
かすむ意識の中、これ以上無いほど悲しげなオスカーの声を、聞いた気がした。
暗闇に、オスカーのシルエットだけが浮かび上がる。
「オスカー……っ」
無言で近づくオスカーを、抱き留める。
しばらく抱き合っていなかっただけなのに、なぜかとても懐かしい想いがこみ上げる。
あれほど憎らしいと思っていたのに、どこかオスカーに依存している自分に気づく。
ルイを殺した張本人かもしれないというのに、オスカーに自分の身を任せようとする愚かな自分。
――心のどこかで、オスカーのことを信頼していることを認めないわけにはいかなかった。
オスカーを知れば知るほど、オスカーとの関係に、言葉には出来ない情のようなものを覚えるようになっている。
でも、それは決して、ディランを想うときに感じるような激しいものではなく、むしろ穏やかで温かいもの……。
オスカーは、ずっと深いところで僕を理解していた。
僕が欲しいものを、いつだってオスカーは僕に与えてくれる。
唇が、重なる。
「あ……、ふ……っ」
舌を絡め合う。
オスカーとの口づけは、僕の思考をあっという間に奪っていく。
パジャマを脱がされ、裸の身体をなで回される。
「身体が……、熱いですね」
耳をねぶられながら囁かれ、僕の息があがる。
「あっ……、オスカー……」
身体がうずく。
早く欲しいと、オスカーの背中に腕を回す。
「あまり、急かさないでください……」
言うと、オスカーは自らの衣服を脱いだ。オスカーの引き締まった裸身が僕に覆い被さる。
オスカーはゆっくりと僕の身体中に唇を這わせる。
「も……そんなことしなくていいからっ」
僕は、オスカーの背中に爪を立てて抗議する。
――早く、オスカーが欲しい。
「ここですか?」
「……あっ」
後ろに指を入れられ、僕は身体を反らせる。
感じるところを探られ、甘い吐息が漏れる。
「ルイ様……」
「ね……、早くっ」
オスカーの首に手を回し、唇を合わせる。
ついばむようなキスを繰り返すと、オスカーがふっと笑う。
「あなたが私を拒絶したとき……、正直心のどこかでほっとしていました」
「……オスカー?」
「もうこれ以上あなたを、私との罪に堕とさずに済むのだと思うと……。
――でも、やはり無理だった」
オスカーは僕の肩をシーツに押さえつける。
暗闇でも、オスカーの目がぎらぎらと光っているのがわかった。
「あなたがディラン様に向ける表情……。嫉妬で自分自身が抑えられなかったっ」
オスカーが僕の首筋に噛みつく。
「痛いっ……!」
今までのオスカーからは考えられない行為だった。
「本当なら私が、あなたを、光の当たる場所に連れて行ってあげたかった……」
僕の後ろに、オスカーのものが押し当てられる。
「えっ……、あっ、ああああっ」
予告もなく、いきなり中に押し入られる。
「んっ、あっ、はあっ」
普段とは全く違う性急さで、オスカーは腰を進めた。
「ルイ様っ……」
「あっ、あああっ」
「後悔してもしきれません……、この私が、あなたをここまで堕としてしまった……っ」
悲痛なうめき声。
「オスカーっ、苦しいっ……」
「でももう、過去を変えることなどできないっ……。だから、私がすべての罰を受けます。あなたの罪も、すべて私がっ……」
激しく突き上げられ、僕の意識が遠のく。
――オスカーの言葉の真意がつかめない。
「オスカーっ、ダメっ……」
「――愛してるんだ……ルイ……」
かすむ意識の中、これ以上無いほど悲しげなオスカーの声を、聞いた気がした。
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